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3 Aquarius

Aquarius・・・水瓶座

「日本の道って狭いわねぇ。曲がりくねってるし、運転に集中してないとダメね」

「疲れましたか?運転、替りましょうか」

 田舎道を走る車の運転席で零すジーナの愚痴に、空は助手席から言葉を掛ける。

「ううん、大丈夫。もう直ぐ着くんじゃない?」

「そうですね・・・ああ、海が見えてきました」


 それは真と小夜子の、休憩中の話から始まった。

「前田から久しぶりに連絡が来たんだが、覚えてるだろ前田」

「ああ、去年警察を辞めて郷里に帰ったのよね。前田君」

 この夫婦はFOIの嘱託捜査官だが、警視庁の刑事としての身分はそのままだ。

「そうそう。で、実家の後を継いで民宿をやってたんだが、あんまり上手くいってないみたいでな」

 前田の郷里は、S県にある半島の漁村だった。水瓶湾という風光明媚な景色と、穏やかな海が自慢の小さな村だ。観光客は近くの街から来るのが殆どで、あまり知られていない隠れた場所でもあるので民宿は数軒ある程度だった。

「日帰り観光客ばかりで、民宿の方は赤字続きらしい。他の民宿は、漁もやってるからそっちで何とかなるらしいんだが、前田のトコは漁師だった親父さんが亡くなってんだろ。しかも、アイツは刑事だったうえに船酔い体質なんだそうだ」

「成程ねぇ・・・で、何て言ってきたの?」

「良かったら、遊びに来ないかってな」


「おや、夏の計画ですか?」

 そこに局長である博が、マグカップを片手に声を掛けてきた。

「すみません、聞こえちゃったのですが、その話良いじゃないですか」

 FOIの仕事は一応年中無休なので、捜査官やスタッフの休日はスケジュールを各自で調整して取るようになっている。

「今年の夏は、世間並みにお盆休暇とかは出来そうにないので、全員で一斉に取るのは難しいですが、やはり少し長めの休暇はとって欲しいんですよ」


 そこで博は、その民宿の1部屋を1か月間確保することにした。その間に、それぞれの捜査官たちが行かれるときに行けば良いというシステムにしたのだ。当然使わない日の方が多いが、何時でも急に思い立った時に行かれるのは助かるだろう。当然その間の宿泊代はかなりの額になるだろうが、その辺りは博が上手くやっている。


 そんな訳で、最初は真と小夜子の夫婦が2泊3日で利用し、その数日後、今度は博と空が行く予定だった。けれど、博の方が急な会議が入り行かれなくなってしまう。それなら延期で構わないという空に、ジーナが代りを申し出た。

「1泊だけならスケジュール空いてるから、一緒に行くわ。博は、会議が終わったら来ればいいのよ」

 そんな彼女の提案に、博はいささか心配になる。ジーナの空に対する気持ちは、重々承知しているのだ。

 そんな彼の心中を察して、ジーナは傍に来て耳打ちをする。

「安心して、変な事はしないと誓うから」

 確かに日本支局に赴任してから、彼女はちゃんと節度を持って行動している。空と博の関係を理解したうえで、空の気持ちを大事にしていることは解っていた。

「・・・では、そうしましょうか」


 そんな訳で、空とジーナは朝に支局を出て、昼頃には水瓶湾に到着した。

「あ、お待ちしてました。ジェラルディーナ・ハートさんと菊池空さんですね」

 民宿『前田』の玄関に入ると、奥から日に焼けた精悍な男性が出てくる。

「山口先輩達からも、伺っています。どうぞ」

 目つきが鋭いのは、刑事時代の名残なのだろう。まだ民宿の親父という雰囲気が身についていないようだ。

 そこに、台所にいた彼の母親らしい初老の女性が出て来た。

「まぁ、ようこそお出で下さいました。お部屋は奥の『真砂』になっておりますが、縁先からそのまま小道を抜ければ直ぐに浜に出られます。生憎、昨晩通過した台風の影響で海は少しうねりがありますけど、沖に出なければ大丈夫ですよ」

 にこやかに話しながら案内を引きついだ母親は、民宿と言う長年の仕事に慣れているようだ。しかも、窮状を助けてくれたお客様なのだから、出来る限りの接待はしたいのだろう。

「ここの浜は海の家も1軒しかなくて、街からくる家族連れが多いんです。のんびりできますが、お若い方には物足りないかしらねぇ」

 そんな話をしながらお茶を淹れてくれた母親は、それではごゆっくりと言って部屋を出てゆく。

「それじゃ、着替えて浜に行きましょ」

 ジーナはウキウキと荷物から水着を引っ張り出した。


「空・・・その水着って・・・」

「はい、本部の訓練時のものです・・・これしか持っていませんが、拙いですか?」

 ああ、失敗したとジーナは額に手をやった。少し考えれば思い至る事だった。こんな事なら途中で買ってきても良かったのだ。

「拙くはないけど・・・せっかくリゾートで海に来てるんだから」

 実用1点張りのスイムウェアではなくて、もっと露出度が高いビキニとかの方が良かったと思う。

「それじゃ、これ貸したげる。少しは違うから、上から羽織りなさい。泳ぐときだけ脱げばイイから」

 ジーナは、今年トレンドのかぎ編み風クロップド丈トップスを渡した。白い網目から覗く水着が、羽織るだけで何となくリゾート風にになる。

 そんなジーナは眩いほどのゴールドのビキニで、女性の魅力が惜しげもなく溢れかえっていた。


 そんな2人が浜に出ると、弥が上にも人目を引く。快晴の真夏の太陽は容赦なく照り付けているが、そんな灼熱の光さえ彼女たちを輝かせているようにも見えた。

 けれど金髪碧眼で素晴らしい身体の女性では、かえって気が引けるのだろう。軽いナンパこそ何度かはあったが、特に問題はなく海を楽しんだジーナと空だった。


 民宿の夕飯は海辺の家庭料理と言う雰囲気だったが、母親が頑張ったのだろう、様々な種類の海の幸が食卓に並べられ、空とジーナは十分堪能した。狭いユニットバスを交替で使い、明日は早朝の浜辺散歩をすることにして2人は早々に布団に横になる。


 タオルケットを掛けて目を瞑ったジーナだったが、すぐ隣の布団で直ぐに健やかな寝息を立て始めた空が気になって、なかなか寝付くことが出来ない。

(・・・誓っているんだから、何かする気は無いんだけど)

 妙な気分になったわけでは無い。今のこの状況が、ただ嬉しいだけなのだ。


 自分がしでかしたことを後悔しているわけでは無いが、あんな鬼畜な真似をした相手を許してこんな風に無防備に傍で寝てくれることが奇跡のように思える。

 ジーナはそっと起き上がると、彼女の顔を覗き込んだ。

(うん、良く寝てる・・・)

 胸の中に暖かいものがこみあげてくる。愛しいと思う気持ちは、ただそれだけで幸せになれるものかもしれない。

(ありがとうね、空。・・・愛しているわ)

 ジーナは静かに優しく、空の前髪にキスを落とした。


(・・・唇くらいなら、構わなかったんですが)

 ジーナが自分の布団に戻り寝息を立て始めると、空は瞼を上げてそっと彼女の方を見た。

(すみません。気持ちに応えることが出来なくて)

 彼女の気持ちは痛いほど解っている。けれど自分はそういう方面には不器用なのだ。ただ1人の愛する人にさえ、『愛しています』の言葉さえも与えられないのだから。

(ごめんなさい、ジーナ・・・でも、ありがとう)

 申し訳ないとは思うけれど、それでも嬉しさは湧き上がる。そんな自分をどうすれば良いか解らないまま、空は再び瞼を閉じた。


 次の日の早朝、2人は浜に散歩に出た。

 海は昨日のうねりも無くなり、穏やかに朝日を反射している。弧を描く波打ち際には、台風の影響なのか沢山の漂流物が転がっていたが、美観を損ねるようなものでは無い。右手には漁港が、左手には遠く磯が見えている。

「・・・あら?何かあったのかしら」

 先に波打ち際まで駆けて行ったジーナが、左手の磯の辺りに人だかりを見つけた。こんな早朝だが、漁村の朝は早いのだろう。10人ほどの村人たちが集まっている。半数以上が女性で、皆軍手をはめてバケツを2つずつ持っていた。


「何かあったのですか?」

 ジーナが問いかけるより自分の方が驚かれないだろうと、空が1人の女性に問いかけた。

「あ、ああ・・・日吉さんトコの肇さんがね、死んでるみたいなんだよ」

 砂浜と磯の境の辺りに、男性のうつ伏せになった身体がある。浜の方角からだと、丁度岩陰になる場所だった。足を海側に向け、頭と両腕は陸側の繁みの方を向いている。

「アタシら、岩ノリ採りに朝来るんだけど、ビックリしちまってさぁ」

 空とジーナは、人だかりの間から様子を窺う。遺体は全裸で、岩の間には脱ぎ捨てたらしい衣類が丸めて突っ込んであった。村の駐在らしい警察官と、民宿の主である前田がその傍に立っている。

「ああ、菊知さん、ハートさん」

 空とジーナに気づいた前田は、警察官に2人が捜査官であることを耳打ちする。

「もう直ぐ街から刑事たちが来ると思いますが、何かお気づきになったことがあったら教えていただけませんか。休暇中なのに、申し訳ありませんが」

 前田が元刑事であることを、村の人たちは皆知っている。駐在さんに知らせるついでに、彼も呼んできたのだろう。

 空は小さなポシェットから、いつも持ち歩いている手袋を取り出してはめると、遺体の傍にしゃがみこんだ。真夏の海辺に放置されていた遺体は、既にかなりの臭いを放っている。頭側にはここまで引きずられて来たような跡が、砂の上に筋になって残っていた。


「・・・死亡推定時間は、昨日の正午より少し前でしょうか。死因は・・・」

 うつ伏せになっている男の背中には、棘の付いた鞭で打たれたような傷跡が縦横無尽に走っていた。棘の感覚は狭く、1㎝にも満たない程度で数が多い。その上から薄い引っ掻かれた跡のようなものが幾つも残っている。

「・・・ショック死、或いはアナフィラキシーショックではないかと思います。詳しい事は、鑑識の方で調べるでしょう」

 空はそこまで言うと、遺体が引きずられた跡を迂回して繁みの方に向かった。


 繁みに少し入ったところに、踏み分けられたような場所が見つかった。おそらくここが、殺害現場なのだろう。空はその場にしゃがみこむと何かを拾い上げる。そして再び遺体の方に戻ったが、前田達ではなく岩ノリ採りに来ていた女性の1人に問いかけた。

「いつも、バケツ2杯分も採るのですか?」

「えっ・・・ああ、いやそんなに採っちまったら、無くなっちまうさ。アタシらは、大体バケツの半分も採りゃしないよ。バケツ1つはゴミ拾い用だぁね」

 観光客が来るようになってから、浜の掃除もかねてゴミ拾いもついでにやっているのだと言う。

「帰るのは何時ごろですか?」

 空の再度の質問に、女性は屈託なく答えてくれた。

「人によるけど、大抵は1時間くらいで帰るのが多いねぇ。女の朝は、忙しいからさぁ。でも、遅い人は昼前までやってるね。訳アリだって知ってるから、誰も何も言わないよ」

 そこに、呼ばれて来たらしい2人の女性が走って来る。

「ああ、あれが日吉の娘さんたちさ。ネェさんの方が、肇さんの女房だぁね」

 それを聞くと、空は前田に近づいて話しかけた。

「鑑識の方たちが来たら『カツオノエボシ』とお伝えください。後は、左程難しくなく捜査は進むと思いますので、私たちはこれで失礼します」

 そして空は、ジーナを促して民宿に戻った。


 朝食の席で、前田の母親はもう日吉の件は知っているとみえて、親し気に色々と話をしてくる。

「日吉の誠子ちゃん、姉さんの方だけどね。早くに両親を亡くしちまって、妹を抱えて頑張ってたんだよ。その妹ってのが美人だけど少し頭が弱くてね、幼稚園児程度だったから一生面倒見るつもりだったんだね」

 肇と言う男はこの村の出身ではなく街から来たらしいが、そんな男が誠子と結婚することになった時は驚いたものだった。けれどこれで男手が出来るなら誠子も楽になるだろうと、村の人々は喜んだ。肇は漁港で働くことになったが、あまり評判は良くなかった。

「妹の舞子の方に気があったみたいでね、そんな言葉を漏らしてもいたからね。まぁでも、これからは姉妹2人になちまったけど、何とかなるさ。漁村って言うのはね、海で死ぬ男もいるから、昔っから後家さんには皆親切なんだよ。あら、いけない。お食事時にこんな話をしてしまって、ごめんなさい」

 誰かと話したくて仕方がなかったらしい母親は、慌てて謝ると席を外した。


 朝食を済ませて部屋に戻ると、早速ジーナが問いかけてくる。

「ねえ、さっきの遺体。何が解ったの?」

 空としてはもうこれ以上の事をするつもりはなかったが、真剣な彼女の態度に負けた形で話した。

「被害者は、カツオノエボシに刺されて亡くなったのだと思います」

「カツオ・・ノエボシ・・・何それ?」

「別名を電気クラゲとも言います。実はクラゲではなくヒドロ虫の群体なのですが・・・」


 カツオノエボシの触手に触れると、刺胞から小さな毒針が飛び出す。これがいわゆる猛毒で、人が刺されると激痛に襲われる。けれど、それだけで死に至ることは滅多に無い。

「ただ、激痛でパニックを起こしたり、ショック死に至る例はあるそうです。後は、蜂に刺された時にも起こるアナフィラキシーショックが出た場合ですね」

 空は、推測が多いですがと前置きして、話を進めた。


 昨日の早朝、ソラたちがまだこの海辺の村に来る前、村の女たちは朝のひと仕事で岩ノリ採りに来る。軍手を付けて2つのバケツを持って。その中には、日吉誠子と妹の舞子もいたのだろう。女たちは浜に打ち上げられたゴミを拾いながら磯に向かう。

 台風が過ぎた後には、砂の上に打ち上げられたカツオノエボシがあった。

「カツオノエボシは海面を漂う生活をしますが、陸に打ち上げられることも多いんです。死んでいても、触手の刺胞は物理刺激で発射されるので危険です」

 女の1人は、カツオノエボシの死体を見つけると危ないので拾ってバケツに入れる。分厚い軍手をしていれば大丈夫だろう。


 日吉の家は、肇の入れる生活費だけではかなり苦しかった。誠子はいつも昼過ぎまで時間をかけて岩ノリを採り、家計の助けにしていた。舞子は一緒について来ていたが、直ぐに飽きてその辺りをブラブラしていた。その日も誠子は昼前まで岩ノリを採り、2つのバケツを持って舞子を探しながら戻って来る。

 そして繁みに連れ込まれて、自分の夫に暴行されている舞子を見つけた。

 誠子は持っていたバケツの中のカツオノエボシを、妹に覆いかぶさっている男の背中にべシャリと落とす。猛毒であることは知っていたはずだが、痛みだけでまさか死ぬとは思わなかったのだろう。

 激痛に悶える亭主を残し、誠子は妹を連れて家に逃げ戻った。妹の手当てをしてやると、怒り狂って帰ってくる筈だと思った夫は戻らない。様子を見に行ってみると肇は死んでいた。

 何とか自分が殺したと思われないようにしようと、誠子は肇の足を持って引きずり波打ち際近くまで運ぶ。そして彼の衣類を集めて、岩の間に詰め込んだ。ここなら、裸で海に入ってカツオノエボシに刺されたと思って貰えるかもしれない。

 細かいことなど考えられず、誠子はそのまま家に帰って泣きじゃくる妹を宥めて過ごした。


 ひと晩眠れずに過ごした誠子は、日が昇る前に肇の遺体を見に行ってみる。昨日の午後は、太陽が照り付けていた。遺体の背中に張り付いていたカツオノエボシは、その日射に炙られて完全に水分を失っている。乾燥したクラゲの類が、とても小さくなることを知っていた誠子は、持ってきた箒で遺体の背中の残骸を掃きとり海に捨てた。


「繫みの中で、これを見つけました」

 空はポケットに入れておいた小さな薄い破片を取り出して、ジーナに見せる。

「カツオノエボシの一部が、男に掛けた時に千切れて残っていたのだと思います」

 へぇ、と空の摘まむ透明な破片をつくづくと見ていたジーナだが、そこでハッと気づいた。

「ちょ、ちょっと。触って平気なの?」

「はい、乾燥していれば刺胞は発射されませんから。湿気を含むと危ないですが」

 これもある意味、携帯できる凶器かもしれません。真面目な顔でそういう空に、ジーナはホッと息をつくと、自分も真面目な顔になって言った。

「今の話が事実だったとしたら、その姉の方の気持ちは解るかもだわ。もし空がそんな風な事されてて、ちょうどカツオノエボシを持ってたら、アタシだってそうすると思うわよ」

 ニンマリ笑うジーナに、空は確かにやるだろうなと思った。

 Ripper事件で殺されかけた時に、ジーナは組み伏せた犯人を射殺しようとさえしたのだから。


 空とジーナは、また浜辺に来ていた。

 早朝に死体が発見された浜は、そんな気配を微塵も感じさせず、普段と同じように人々がリゾートを楽しんでいる。まだニュースにもなっていないのだろうし、日帰りの観光客が気付くはずもないのだ。

 昼近くまで海を楽しんだジーナが民宿で借りた茣蓙の上に寝転がっていると、ふいに声が掛かった。

「どうですか、海辺の休暇は?」

 それは、大急ぎで仕事を終わらせて駆けつけた博の声だった。


「あら、早かったのね。もっとゆっくり来てくれても良かったのに」

「何も、変わったことはありませんでしたよね。・・・空は?」

 のんびりとしたジーナの言葉に、それでも一応『昨晩は何もしなかったでしょうね』の意味を含めて念を押す。一緒にいる筈の空が居ないのが気にかかった。

「何もしてませ~~ん。空なら、泳いでいるんじゃない?・・・ああ、気付いたみたいだわ」

 空は海から上がると、急いで駆け寄って来た。

「早かったですね。もう会議の方は良いのですか?」

「ええ、朝一で報告書を上げてタクシーを飛ばしてきましたよ」

 博は濡れた彼女の肩に両手を置くと、その頬に優しくキスをする。

 そんな2人を見て、ジーナは自分の荷物を取り上げた。

「それじゃ、ワタシは帰るわ。車は置いてくから帰りに使いなさいね。バスの時間があるからもう行くけど、ひと晩離れていた間の積もる話もあるだろうから、ゆっくり民宿に戻るといいわ」


 背を向けて悠然と歩いてゆくゴールドのビキニ姿は、雄々しく美しく真夏の太陽の下で輝いていた。


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