【第4話】異世界転移した理由
「お前ソニアではないだろ。」
ガイルの何もかもを見透かしたような言葉に俺は言い訳の言葉が見つからなかった。
静寂の空気が5人の間を漂っているともう一度ガイルが口を開いた。
「これをお前にやる。」
ガイルが俺に渡してきたものは文庫本ほどの本だった。
「これは?」
「それを説明する前にちょっと話を聞いてくれ。」
俺は小さく首を縦に振った。
「ソニアは血筋に縁があるやつで預言者と魔法生成師の間にできた子供なんだ。昔から魔法の扱いも予言の能力も非凡の才だった。だから予言師としても我が騎士団で活躍してもらっていてその予言は外れたことがなく皆ソニアの予言は信頼している。
そのソニアが一昨日我が王国の王オルセ様がある王国に攫われると予言した。そしてその王国の勢力は凄まじくソニア自身では物足りないのでソニア自身がその勢力に負けないほどの魔力の器を持った者と入れ替わると言い出した。俺たちはやめとけと言ったがあいつは決めてしまったら周りの声が聞こえなくなるタイプだからもしやと思ったら。
案の定中身が変わっているとは。」
ガイルが頭を抱えてため息をついた。
(言っていることが無茶苦茶だ。王が攫われる?魔力の器がある?昨日までいた世界とここの世界ではギャップがあり過ぎて話を聞いているだけでも精一杯だ。)
「そしてもし私がその魔力の器を持った者と入れ変わるっていたらこの魔法書を渡しといてとソニアから言われていてお前に渡したってことだ。」
「なるほど。」
(全く分からん。)
「俺はソニアほどの戦力であったら何も不満はない。まぁ、”ソニアほど”だがな。もし戦力にならないなら、、、」
その含みのある言い方にゾッとした。
そもそも魔法初心者の一般人と魔法の扱いが非凡の才である元のソニアを勝るわけがない。
どのような思考回路で俺を魔力の器があると思ったのか分からないが間違いなく言えるのは俺にそんな器などない。
返す言葉が見当たらず黙っていると、
「まぁ、どのくらい戦力になるかも気になるけどそれより入れ替わる前はどんな人だったか気にならない?」
大人の色気をムンムン放っている女性が割って入ってきた。
俺にとって返す言葉を探していた最中だったためこの割り込みはありがたい。
「あ、自己紹介忘れていたわね。私はジェリー。ヘイル王国第一騎士団の団長です。よろしくね。」
「せっかくだから、残りの人たちも紹介するわね。メガネかけた陰気臭いのはヘイル王国第三騎士団長ケビン。」
「陰気臭いとは侵害だぞ。ケビンだ。よろしく。」
メガネの賢そうな男性が俺に小さく会釈した。
「そして長老みたいな見た目のお方は、ヘイル王国騎士団総長テオス様です。」
「よろしくじゃ。」
満面の笑みでおじいちゃんが手を振った。
(このおじいちゃんが総長でいいのか。)
「今、このおじいちゃんが総長で大丈夫かって思ったでしょ。」
(聞こえていたのか。)
「こう見えてもヘイル王国の中で一番強いお方なのよ。」
「全然思ってませんよ。」
首と手を振りながら否定した。
(よくアニメとかである老人の見た目のキャラクターが最強的な感じなのかな。)
「それで入れ替わる前はどんな人だったのよ。」
顔色が一瞬のうちに暗くなったのを自分でも感じる。
ジェリーはそれを察知してくれたのか、
「まぁいいわ。二人の時じっくりお話ししましょ。」
俺は今男なのかと錯覚するほど色気を出してくる。
「今日の要件は魔法書を渡すことだけだったからもう帰っていいぞ。」
ガイルがジェリーが創り出す空気感が居心地悪いかのように遠回しに帰ってくれと言った。
分かりましたと答えて出口の扉を探すが見当たらない。
「出口の扉はどこですか?」
と聞くと、
「ここはワープでしか来れない部屋なんだ。帰るときはお前の部屋までワープしてくれ。」
とガイルが答えた。
(ワープとかやり方すら教えられてないんだが、、)
ここで魔法が使えないと知られるとさっきガイルから戦力外の烙印を押されかねないので一か八かやるしかない。
どうにでもなれ。と思い勢いに任せてマギアブックを開き『ワープ』と叫んだ。
しかし何も起こらずワープの声が部屋中に響いた。
「なぜ、水魔法のページを開いて空間魔法を唱えるんだ?」
と、ケビンに言われた。
(なるほど、ワープは空間魔法で空間魔法のページを開いてワープを唱えるとワープが出来るってことか。)
急いで空間魔法のページを探したが見つけられずケビンに空間魔法のページを開いてもらった。
周りから「こいつ本当に魔力の器なのか。」と言う視線を向けられるが気にしてられない。
改めて、『ワープ』と叫ぶと自分の周りが紫色に光だし朝起きた時に初めて見た部屋にワープした。
(やばいことに巻き込まれている)
大きなため息を吐くと、「おーい、おーい。」と聞こえてくる。
なんだと思い声がする源を探すとさっきガイルからもらった魔法書が淡い光を放ちながら「おーい、おーい。」と呼んでいる。
ゆっくり淡く光る魔法書を開くと魔法書から画面が浮かび上がり赤髪の女が写っている。
『初めまして。ソニアです。』
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