【第3話】ヘイル王国第二騎士団の集会
「集会を始める。」
ガイルが短く言い放つと目の前にいる兵士の格好をした人たちが膝まずき、装備のすれる音が集会の場に力強く響いた。
「来たる4月10日我々ヘイル王国第二騎士団はネオン王国と同盟を組むべく出発する。」
(何を言っている。同盟?そもそも今は何月何日だ。)
「皆も知っているだろうがネオン王国までに鬼門が二つある。一つ目の鬼門は魔炎の丘、二つ目の鬼門は誘惑の森だ。一つ目の鬼門はマーキャ率いるマーキャ隊が騎士団の先頭に立ってほしい。」
「はいは〜い、任せてガイル騎士団長!」
声がした方向を見ると、ワープしてきたときに一番最初に目に入った五人の中の一人、水色の髪の女が自信満々に手を上げていた。
(絶対水の魔法得意だろ。)
髪色的に判断したが多分間違っていないだろう。
「二つ目の鬼門はラム率いるラム隊が騎士団の先頭に立ってほしい。」
「任せろガイル兄貴!」
この威圧的な感じは見なくても分かった。髪が赤いワープしてきたときに俺のことをめちゃくちゃ睨んできてた奴だろう。
直感的に五人の中で一番苦手な人物だと思っていた。
「ソニア、火魔法は俺の方が優秀とガイル兄貴は見たようだな。」
何を言っているのかよく分からなかったがなんとなく俺になる前のソニアが馬鹿されてる気がして腹が立った。
かといって言い返す勇気もなく無視していたら、ラムが無視かよ。と言い捨てた。
(やはりコイツは苦手だ。)
「我々ヘイル王国とネオン王国はこの二つの鬼門が原因で一万年もの間交流がほとんどない。交流のための道を開拓する点でも責任が大いにあることをしっかりと胸に刻んでおくように。」
短い返事が集会の場に響いた。
「これで集会を終わる。」
兵士の格好をしている人達が一斉に立って、
『ワープ』
と叫んだ。
すると場が紫色になって一斉にこの場から消えた。
(この世界では魔法はみんな使えるんだ。)
そういえば気になっていたことがあったのでロゼに問うてみた。
「今何月何日だ?」
「は?そんなことまで忘れているのですか。私たちの隊長がそこまで抜けていたら部下達ついてこなくなりますよ。まぁいいです。4月9日です。」
「4月9日?」
「はい。昨日早く10日になってくれないかなってウキウキの顔で言ってたじゃないですか。」
「そうだったそうだった。」
(明日になったらネオン王国とやらに出発するのか。魔法もろくに使えないのに生きて帰ってこれる気がしない。どうせ死ぬなら昨日までいた世界で死にたかった。)
「ソニア、来い。」
ガイルが顔色ひとつ変えないで俺を呼んでいる。
また遅刻したこと怒られるのか。と思いながらガイルに近づいた。
「ワープするぞ。」
え?と声が出る前に豪華な部屋へとワープした。
そこには、年寄りと綺麗な女と賢そうな男がいた。
「ソニア、お前どこで生まれた?」
ガイルの問いに体が固まった。
(そんなことわかるわけもない。昨日まで別世界にいたんだぞ。)
ガイルはやっぱりなと言いもう一度俺の目をしっかり見て言った。
「お前ソニアではないだろ。」
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