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87話 対人間

「う、ぐっ!」

「ははは! かったいなあっ! 本当に人を殴ってるのか疑うレベルだぞ! だが……攻撃してこない相手ならどうということはないがな!」


 錦さんは攻撃する手を一切止めようとせず、ガードに使っている俺の両腕をひたすらに殴ってきている。


 ステータスの差があるため、ダメージは大きくないが一撃一撃の衝撃に臓物が揺れ、口から何かが出そうになる。


「遥君!」

「陽葵さん、あれに混ざるのだけはやめた方がいい。剣の1本2本折られるだけならまだしも、探索者としての活動がしばらくできなくなるよ。錦さんは戦いってなると手加減しない人だから」

「でも……。なんであの人、急に――」

「ただ戦いたいだけってわけじゃないはず。錦さんは脳筋って言葉がぴったりの人間だけど、考えなしであんなことする人じゃないよ」

「明らかに強い人なら、私だったら、戦いたいってなったら……。なんかむずむずしてきた」

「苺、今は落ち着いて」


 俺と錦さんの攻防に陽葵さんたちは動揺を見せたが、結局手を出す気はないようだ。


 俺としてもそれはありがたい。

 というのも錦さんは俺だけじゃなく、陽葵さんたちにも注意を向けていた。

 万が一陽葵さんたちが攻撃を始めるようであれば、錦さんはまずそっちを片付けるつもりで、そうなればそれを阻止するために『本気で攻撃してしまう』かもしれなかった。


「流石は宮平。俺をしっかり理解してくれている。ただ、俺としては全員襲ってきてくれてもそれはそれで楽しそうではあるな、って。ま、ずっと冷静に見てるあいつ……ハチ?だったか、あいつは何があっても混ざってきてくれないのだろうけどな」

「まさか、宮平さんの言葉を裏切って、楽しむためだけってわけではなないですよね?」

「さぁ、どうだろうな。もしかしたら殺すつもりかもしれないぞ。だから……もっと本気でこいよ。『重ね着』……『超身体強化』!」

「!? 同じスキルを重ねた……」

「これが俺のユニークスキル『重ね着』。ちょっとは焦ってくれたか、なっ!」


 威力の高まった連打。

 流石にこのままだと身体がアザだらけになるかもしれない。


 モンスターが相手の場合と違って殺せないから、魔法もスキルも極力セーブして……今使っている『超身体強化』も解いて……。


「まずは攻撃を弾いて……腹を掌底打ちなら大丈夫か」

「スキル解いて、ぶつくさぶつくさ……舐めるのも大概にして――」


 ガードしていた両腕を広げるように動かして、錦さんの拳を弾くと、驚いた顔をみせる錦さんはいきなり無防備に。


 鳩尾は致命傷になる可能性もあるから、少しだけずらして……すっと腕を伸ばすイメージで、打つ。


「う、ぐっ!!」

「……。やっぱり、人間相手、しかもモンスターと契約していない人間だと、レベル差、ステータス差が顕著だな」


 錦さんの屈強な身体は勢いよく壁までぶっ飛び、外まで響いているんじゃないかと思うくらいの金属音が鳴り響いた。

お読みいただきありがとうございます。

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