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70話 発生源

「きゃっ!」

「大丈夫ですか、陽葵さん」

「だ、大丈夫よ。それにしても凄い威力ね。これ、モンスターの力を借りてるわけじゃないのよね?」


 地面には大きな亀裂がいくつも作られ、その衝撃によって砂埃や大きめの石等は高く一気に舞い上がっていった。


 地面に残されたダースウルフェンたちは、脳震盪を起こした上に、亀裂に挟まれ、身動きのとれない状態。

 よく見れば未だに細かく振動し、様子がおかしくなった個体もいる。


 いくらとんでもない衝撃が伝ったとはいえ、この反応は不可思議。


「となると、『振動』が苺のユニークスキルか」

「ご明察。振動を著しく増幅、そのパワーをより広く伝達させ、剣を交わした相手の腕全体を駄目にする。今回の攻撃も理屈は同じだね」

「私が腕に受けた攻撃の最大火力がこれってわけね」

「そうなるね。でも、あれを受けてもう腕が普通に動かせているなんて……陽葵さんのユニークスキルは回復?」

「違うわ。でもユニークスキルを否定するってことである程度察することができるでしょ?」

「なるほど、それがモンスターによる効果ってわけか。そうなると、陽葵さんはとんでもなく優秀なモンスターを飼っているようだね」

「ボス、討伐完了した」

「あ、お疲れさま」


 そんな会話をしている間に、苺はそのユニークスキルでボスをも脳震盪に追いやり、その身体を地面に落とした。


 落下死した、ダースウルフェンのボスの首根っこを掴んで見せびらかすその仕草は、どこか可愛気でしかし狂気に満ちている。


「残りは……あなたたちにあげる。ふふ……。これ、言ってみたかった」


 苺はボスの目を抉り、牙を折ると、死体を投げ捨てて、その場にいた他の探索者に向けて、声を低くして言い放つと満足気に俺たちの元に戻ってきた。


 ランク10にとっては、3階層はまだまだ1人で余裕な範囲ってことか。

 心配したり、忠告したりしたのが、馬鹿みたいだ。


「さ、早く統率モンスター殺しにいこ。多分だけど、今回のは大分臆病。もっともっと先にいる。それで……仲間が殺されたって分かれば、一斉に仕掛けてくる。……全部感だけど」

「感、か」


 俺はさっきボスの位置を当てた苺の言葉を確かめるように『神測』を発動させた。


 すると……


『神測。3階層。モンスター異常発生中。群れとの衝突まで残り2475m。発生源までの距離計測……ここから3000m先』


 どうやら苺の感は全て正しいようだ。


 それにしても、俺たちがダースウルフェンを倒したことを知ってこちらにモンスターを差し向けたのだろうが……その方法はなんだ?


 しかも発生源という表現。


 今回の統率モンスターはただモンスターを従えているというだけではなく、それぞれを生み出し、俺とハチのように全てを共有している可能性があるのかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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