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54話 もどかしい

「はぁ、それにしても揃いも揃って隠しごと……。て、でもそれ私にバラしていいの? 探索者協会の会長と遥君がモンスターと契約してるなんてことが万が一触れ回ったら――」

「ランク10の探索者は実力、実績、それだけでなく、その人格も考慮されています。オロチが壊した区画の復興ボランティアに参加していたこと、私を含め探索者協会の人間は全員知っていますよ。そんな人が折角生きていた恋人を陥れるようなことはしませんよね」

「その言い方、まるで私の弱みを握ったみたいに……。って私たち別に恋人なんかじゃないですよ!確かに一緒に暮らすことにはなりましたし、こうして秘密も共有することにはなりましたけど……彼、遥君は私にも嘘をついていたんです。確かに時には冷たいことを言ったこともありましたが、私は信用されてすらいないのかも……」

「そんなことないです。俺、陽葵さんのことは憧れに思っていて――」

「憧れ……。憧れの人だから信用している、とは限らないでしょ。それに、ランク10って偉そうな称号ばっかりで、私は遥君とは比べ物にならないくらい弱くて、もうその憧れにも……」

「確かに戦闘におけるその強さにも憧れていました。ですが、一緒に戦いたいと、背を任せられる存在になりたいと思ったのは何もそれだけが理由じゃないですよ」

「じゃあそれは何?」

「それは、言葉にするのは難しいですね。なんというか、可憐さとか余裕な態度とか、えっと……」

「ほら、言えないじゃない。私なんてもう……」

「そんな卑屈にならないでください。えっと、そのこんな時どうすれば……。ってなんだよその反応」


 俺が四苦八苦していると、ハチと京極さんがニヤニヤとこちらを見ていることに気付いた。


 この光景を見て喜ぶとかどうかしてないか?


「オロチ……ハチさん。私、こういう気付いていないのは本人だけみたいなもどかしい状況大好物なんですけど、もしかしてハチさんも……」

「ふふ、気が合うわね。私もこんな初なやり取りは好きよ。ドラマとか漫画とかこういうシチュエーション堪らないわよね」

「そうなんですそうなんです!……あれ?でも何でハチさんがそんな……。あっ!そういえばスマホ持ってましたっけ」

「無料漫画とか、見逃し配信はよく利用してるわ。でもそれ以外はコイン?みたいなのが必要で……」

「それも課金でなんとかなりますよ!初めてモンスターの素材を売却したときは、並木さんが代わりにしてくれていたようですが、もう探索者になれるので、それも不要。ガンガン自分で稼いで課金しましょう!実はオススメの漫画があってですね。あ、これですこれ」

「あ、それ最初の3話まで見たやつよ!ずっと続き気になってたのよね――」


「こっちが大変なときに2人で和気あいあいするのやめてちょうだい!」

「陽葵さん落ち着いてくださ――」

「遥君は黙ってて!」


 俺たちを他所目に盛り上がるハチたち、これには流石の陽葵さんも頭に来たのか、声を荒げた。


「やれやれ、それをこっちに向けられるとちょっとだけうるさいわね。しょうがない。枠はこれでなくなるけど……。あなたが遥様のいう『あの人』だから特別に、契約してあげるわ。これで私たち3人は一蓮托生。あなたの求める信用も強さもある程度は手に入るわ。みんな手を貸して!新しい契約者の誕生のために」

「ちょっと……ハチさん!」

「ハチ!?」


 ハチは顕現させていた竜たちに指示をして、陽葵さんの身体を拘束。そのまま、持ち上げて俺の頬、そして自分自身の唇へと陽葵さんの唇を無理矢理当てさせたのだった。

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