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52話 拳

「こちらを攻撃するよりも先に、人間を守りましたか。人間の街を襲いながらも、殺しは行っていなかったので、性根はそこまで悪くないと思っていましたが……。『リンドヴルム』の言っていた通りのモンスターのようですね。ただ、その目……やはり過去に戦ったもの同士だと強く反発してしまうのでしょうか?」

「自分の主人を攻撃されて怒らないわけないでしょうが。それで、私は合格でいいのよね?」

「そうですね。探索者としての活動とここでの生活を許しましょう。後で下の階で手続きできるようにしましょう。ですが……折角オロチ本体がここにきているのだから、私としてはもう少し戦いたい。もし私に勝つことができればご主人と同じランクを与えてあげてもいいですよ」

「それはずいぶん太っ腹ね。出てきなさい皆!」

「お、おいハチ!」


 会長は一度発動した魔法を解除すると、両手を強く握り、腰を落として戦闘体勢に入った。


 それを見たハチは少し興奮した様子で、7匹の竜全てを解放。

 荒々しい鳴き声が部屋中に響き渡った。


「オロチ……なんで生きているの?遥君、これどういうことなの?」

「えーと、実はですね。オロチは俺と主従契約を結んでいて……昨日の戦闘も、実は俺たちの作戦。ハチが人間の社会に馴染むため、それと俺を馬鹿にした奴らをちょっと見返してやろうと思ってですね……」

「私たちを騙していたってこと?じゃあ遥君のレベルが4000っていうのは……」

「いえそれは事実、です!」


 会長が一歩踏み込むと同時に、俺も竜たちに混じり攻撃を仕掛けた。


「神話級魔法を使えないみたいなので、私もこの拳でお相手します」

「それはどうも。ですが、ハンデを与えてくれるほど差はないと思いますよ。それどころか……」


 竜たちのなぎ払い攻撃や水魔法を華麗に避けながら、俺と対面する形になった会長は、容赦なく正拳突きを繰り出す。

 俺はそれを敢えて避けずに、思い切りはたき落とした。


「とんでもない力、ですね。ただ……」


 そのまま身体を地面に落としそうになった会長。

 だが、その身体に風が纏わりつき、地面に落ちるどころか、宙に浮くとその体勢から蹴りを放ってきた。


 しかも、風の力により、その蹴りのスピードは恐ろしいものに。

 紙一重で直撃は避けられたが、掠めた肌は切れ、やや血が流れた。


「そっちもなかなかじゃないですか」

「はは。普通だったらその腕が使い物にならないほどの威力だと思うのですが……。レベル4000というのは本当みたいですね」

「2人とも私を忘れて楽しまないでよね!」


 ハチが会長を狙って頭上から殴り掛かる。

 それを見た俺は会長の腕を掴み羽交い締めにする。


「ちょ、放さないとあなたまで……」

「大丈夫です。俺は死んでも死なないので」


『ハチ。本当に殺すなよ』

『分かってるわ。でもあれだけ攻撃してくれたんだから、思いっきりビビらせて――』


「オ、オオオオ、オロチさん。それはちょっとやりすぎです!」


 その時俺たちの間に、両腕に鱗を生やした京極さんが割り込んできた。

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