50話 専属
「ふぅ。えー、それでは早速褒賞金をお渡しさせていただきます。封入額の違いについては、報告内容からさっき役員全員で協議したものになるので、少ないとかそういうった言葉を私だけに、というのはやめてくださいね。一応言っておくと私は一律でいいのではと……。はは。こんな話をするよりも先にお渡ししますね」
部屋に到着して全員で一息つくと、会長がその場を仕切り始めた。
だが役員との協議内容に不服な点があったのか、早口で言い訳をする会長は、何とも言えない表情で茶封筒を取り出した。
味気ないそれが、褒賞金というよりも日雇いバイトの給料渡しに見えてしまう。
「今回は本当に助かりました。まさかあのオロチを倒していて頂けるなんて、思ってもいませんでした。それでですね。リーダーさんさえ良ければ今後も危険なモンスターの討伐を主とするチームとして、探索者協会専属になって頂けたら、と思っていてですね……」
「なるほど、それで俺もここまで連れてきたと。正直なところ褒賞金は振り込みでも構わなかったわけで、資格調査に関して俺は部外者。それなのにここに招かれたことに違和感があったんですよ」
「いやいやいや、その、それだけでリーダさんをお連れしたわけじゃなく、やっぱり感謝は直接お伝えしたいじゃないですか」
「……。まぁそういうことにしておきます。専属チームのお話ですが、私としてはオロチのような脅威を産み出さないためにも、今後も精力的に活動はしていきたいと思っていたので、個人的にはお受けしたいと思いました。ただ私だけで決められる話ではないので、お時間頂いてもよろしいですか?」
「勿論です。専属となった場合の活動内容、報酬についてはこれにまとめたので是非読んで貰えると助かります。いやぁ、もっと渋られると思っていましたが、案外あっさり受けて頂けて良かったです」
「元々ボランティアに近い活動だったのが、お金を受け取れるように、しかもより援助を受けられるようになる専属契約が出来る機会が貰えたのですから、こちらも嬉しい限りですよ」
「それは良かった。では一度話を持ち帰るということではありますが、ほぼ契約できたということでよろしくお願いします。リーダーさん」
「はい、こちらこそ」
リーダーと握手をかわす会長。
その表情はやはり、不気味さを感じる笑い顔だ。
「……。じゃあ俺は、他に用事もあるので。みんな資格調査がどんなものかは知らないが、頑張れよ。会長、今日は褒賞金ありがとうございました」
リーダーは自分はもう用なし、と言いたげな様子で、颯爽と部屋を後にした。
そもそもこの緊張感に苦手意識を感じていたのか、その顔は晴れやかにも見えた。
俺もさっさと済ませて、気を楽にしたい。
やっぱり上の立場の人と一緒というのはそれだけで緊張感が高まってしまう。
「さて、それでは資格調査を始めましょうか」
「それはいいんだけど、私ステータスを見られるのは嫌で……」
「大丈夫ですよ。ステータスの確認はしません。ただし……」
会長はハチに向けて手をかざす。
この仕草はまさか……
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