40話 圧
『あの男を懲らしめて嬉しいのは分かるけど、まだ私の目的は達成してないのよね。それに他の子たちにもご褒美をあげる約束……。まさかだけど、忘れてないわよね』
「遥君。慎二のことを気にするのは勿論なんだけど、そろそろその強さとか生きてた理由とか……一番はあの子。どういう関係なのか、教えてもらってもいいかな?」
ハチと陽葵さんから、掛けられる圧。
2人ともずっとこれご聞きたかったのか、作り笑いが少しだけ怖い。
『忘れてない。ダンジョン街に戻ったら1番にそれは済ませるよ。ただ、どうしても課金するには現金が必要になるから、それようにモンスターの素材を集めておいてくれ。モンスターの素材イコールガチャの回数だと思ってくれて構わな――』
『!? なんでそれを早く言ってくれないのよ! だったら……ちょっとモンスター殺しまくってくるわね!』
行ってしまった。
一応オロチにやれれていた可哀想な女性、という立場がある以上あんまり無理はしないで欲しいのだが……
「ねえ聞いてるの? いくらか強くなったのは分かったけど、堂々と無視するのはどうかと思うわ。私、剣技以外にもそういった最低限のモラルとかマナーについても教えていたつもり――」
「す、すみません陽葵さん。まだちょっと身体と心がリンクしていないというか、なんというか……。生き返ったばっかりなので」
「生き返った、ね。慎二に対して『殺した』って言葉を使っていたけど、遥君は本当に1度死んだってことなのね。だとして、やっぱり疑問なのよね。生き返るなんていうとんでもスキルを、私は聞いたことがないわ」
「生き返るスキル……。実はそれが正確なスキル効果じゃなくて……。それも、俺の強さも、全部ユニークスキル『神測』によるものなんです」
「『神測』?以前聞いていたユニークスキルとは違うみたいだけど……」
「死んだことで『覚醒』したみたいなんです。あまりこれについて話すと自慢みたいになってしまうし、また大きく取り沙汰されると嫌だなって思うんですけど……。陽葵さんには、『探索者はやめた方がいい』と進言してくれた陽葵さんには、話しておきます。これのお陰で俺のレベルは今、4000を越えてます」
「4000……。あははははははっ。強くなって気持ちに余裕が出たのかしら? 面白い冗談言うようになったじゃない。生きていてくれたのは勿論嬉しいけど、そうやって真面目ばっかりじゃなくなったのも、私にとっては嬉しいことよ」
「いや、あの、別に冗談じゃなくてですね――」
「遥様! そっちにモンスターが!」
陽葵さんにレベル4000を冗談と勘違いされて笑われていると、ハチがモンスター数匹を追い回しながらこちらに向かってきた。
ダークウルフ。
素材としての価値もそこそこ高いモンスター。
丁度いい機会だから、改めて強さの証明、レベル4000の証明でもしておこうか。
それとハチにはまだ周りに他の人がいるんだから、はしゃぎ過ぎないようにと注意して――
「遥、様?そんな風に呼ばせてるんだ、遥君は」
ハチに俺の呼び方変えてもらえるよう相談しよう。
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