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344話【山吹視点】電気信号

「あれあれ? あれだけ活きが良かったのが、急に黙りかい?まさか、自慢の攻撃が通じなくて萎えてしまったとか?漢にしてはあまりにも情けないなあ」

「守って逃げてばっかのお前に言われたかないね」

「そうか……。確かに防御ばかりだとつまらない。こんな風に思い切り運動できる機会なんて最近じゃ多くもないし……それになにより時間が勿体ないからね。……限定空間移動」



 障壁を張ったまま、神宮はその場で屈伸運動。


 そしてそれが終わるとポツリと呟いてその場から消えた。


 そこに残されたのは障壁だけ。


 あれだけのものを簡単に放棄すること、さらに手を掲げるでもなくそれを維持させられることから、保有する魔力が膨大だってことが分かる。


 そんでもって、そんな膨大な魔力を持った奴がいくら頑張ったところで、俺のテリトリーからは逃れられない。



「ここだろ?」



 右後の死角を目指して俺は腕を振った。


 そうすると、やはり神宮は移動場所をそこへ決めていたのか姿を現して目を丸くする。


 そう、その顔が見たかったんだよ俺はさあ!



「――限定空間移動」

「ちっ。そんなこともできるのかよ」



 神宮は咄嗟にスキルを連発。


 俺の攻撃を一時別の場所へ移動させてこれをかわしてみせた。


 これはかなり厄介だ。

 対策として雑な攻撃は避けて、面倒でも疲れてもそれを無効にするだけの魔力を帯びさせるスキルを常に発動しておいたほうがいい――



「――限定空間移動」

「まっ!?」



 一旦攻防に区切りが出来たと思って、思考を巡らせようとすると、神宮はさらにスキルを連発。


 俺の懐に潜り込んでその細腕を突きつけてきやがった。


 こいつの性格……マイペースってのは別にゆっくりなことじゃねえ。


 あくまで事を起こす、止めるを自由奔放にする、それだってマイペース。


 こんな当たり前のことを実際に肌で感じさせられることになろうなんざ思わなかったぜ。


 流石に防御が間に合わん。

 だが……。



 ――バリ。



「防御が自慢なのは何も神宮、お前に限ったことじゃないのさ」

「……これは一杯喰わされたね。そのスキル……いやこれも特性と言うのかな? いいものを持っているみたいじゃないか。しかも、攻撃に合わせて威力を変えているのかな?」

「ご明察……ちっ、察しが良すぎてネタバラしがつまんねえだろうが」



 俺の身体をぶん殴ってくれた神宮の右拳。

 それが触れた直後電気信号が瞬時に送られ、俺の身体からは防衛機能として雷の刺が作られ、拳を串刺しにする。


 神宮の言うように威力の調整が勝手になされるのは、一回駄目でもこれならいけるんじゃないか? こっちならどうだ?みたいにこの刺を攻略しようとドつぼに嵌まらせる戦略。


 馬鹿みたいに言われまくるけど、そんなことまで考えてこっちは今回の身体を作ってんだっての。


 神宮みたいにステータスを自由にいじくれる訳じゃねえけど、新しく生まれ変わることで見た目も中身も俺なりにカスタマイズされてるってわけよ。



「この特性……俺と相性がいい。欲しいなぁ」

「あんまし気持ち悪いこと言うのは止めろ、っての!」



 黒雷重槌を使って、動けない神宮をまず上から襲う。


 それに反応した神宮は頭上で風をうねらせて障壁を生み出そうとする、が……俺の狙いは背後。


 距離が縮まったことで死角に収まっていた尻尾を地面に潜らせ、俺は神宮の背後から今度はその胸を貫いてやろうとその先をできる限り尖らせた。

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