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334話 異常反射神経

「別物ね……。うーん、それが凄い力ではあることは認めるけどさ、今の一撃を当てることが出来ないんじゃ宝の持ち腐れだと思うな」

「……言ってくれル」



 ――にょん。



 スキルイーターはなぜだか少し楽しそうな声色になると、急ぐように薙刀を振った。


 お得意の奇襲か、と滾らない気持ちが言葉になりそうなところをぐっと堪えて、俺は音のする方を見た。


 結局のところ薙刀の攻撃はこの音ともに空間の出口を作らなければならない。


 だから冷静になってそれを追ってやればなにも怖くない。


 それどころかどんな攻撃がどの方角から飛んでくるか分かりやすい分、反撃がしやす――



 ――にょん、にょんにょんにょんにょん。



「なっ!?」

「誰が一振デ、一つノ場所シか攻撃できないト言った?」



 移動先が作られる独特の音が連なる。


 そしてその音がまだなり止んでいないというのに、俺の視界には薙刀の刃が映った。


 初撃というか、1度目の登場はかわせた。

 だが消えては現れ、消えては現れを高速で繰り返し、しかもあらゆる方向から襲ってくるたった1回の斬撃は、通常の振り下ろされる速度から変えず、襲ってくるため避けるのは容易ではない。


 致命傷には至らなかったが、主に胴体を斬られすぎた。


 これ、もしも連続で発動できるとなると、かなり厄介だな。



「ハハハハ!ドレダけ切れ味ノ良い武器ヲ持ってイヨウとも、無駄ダというコトダ! フフ、コレのためとはいえ、ワザワザ扱いにくい武器ヲ選ンダ甲斐があった。……サテ」



 スキルイーターは一呼吸すると薙刀を再び構え、そして切り落とされた腕、その断面に力を込める。


 するとポタポタと垂れていた血は止まり、ボコボコと音を立てて空白を埋めるが如く腕が生える。



「今度は全力ってことか。なら……」

「……フン、真似事を。ただ斬られヤスクなるだけだトイウのに……」



 スキルイーター同様に俺も失くなった腕をイメージして力を込める。


 ハチが、他の竜が、1匹でも死んでいない限り俺の身体は元に戻るが、その速度や部位を操れるようになったのは最近。


 神測によれば存在位の上昇だとかなんだか言われてたような気もするけど……詳しい原因はイマイチ分からなかった。


 ただ当たり前のように再生するこいつを見ていると……いや、そんなことを考えるのは止めよう。


 今はこいつを因縁の敵を全力で叩き斬れることにただただ感謝して……構えるだけ。



「空間ヲ、飛べ!ソシテ……ソノ自称ヲ繰リ返セ!」

「神測。攻撃地点と俺の……限界の反射速度」



『――攻撃地点高速神測。補完、高速神経伝達。限界反射速度高……。補完、コンマ以降にある0の数を可能な限り増やしました。反射速度、竜を神を越え……異常』



 ――にょん。



 スキルイーターのより素早い動きに合わせて無数の攻撃出口が目では捉えきれないほど展開されて俺の身体を切り刻もうとする。


 さらにそれを後追いして同じ攻撃が繰り返されるから面倒。


 だけどある程度攻撃場所が分かり、反応速度が上昇している今なら、これを最小限に押さえられる。



「くっ。当たってイルのに……なぜ?」

「これなら再生を急ぐ必要はなさそうだ」



 皮膚を裂き血が滲むその瞬間、痛みが電撃のように伝達され身構えることができている俺の身体は、意識が通うよりも先に僅かに刃が食い込むことを避け、引いた。

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