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314話 パターン赤

映像からモンスターの鳴き声や人の声がかっ消え、スキルイーターたちが進む足音と地響きだけが聞こえ、何人かの人たちは呆気にとられて後退りを始める。


 これから戦うって人たちを鼓舞する意味でも映像を映し出したが、逆効果だったかもしれない。


 様子見の結果から敵の体躯、数、強さをおおよそ仮定。


 そこから戦う人を隊に割り振って……この階層でもこれだけの数が到達する、という予想のもと人を集めたけど……もしこのまま進軍した場合、戦力は足りないかもしれない。


 罠も、あれだけデカいのが相手となれば機能してくれないものも出てくる。



「まさか、あの奥にこんないるなんて……。地上にもそれだけの数を待機させていたのかしら?」

「地上とダンジョン街を繋ぐのはエレベーター……地上にもわんさかいたとしても、直ぐにこの数が流れてくるとは思えません」

「……つまりはスキルを使ってあのスペースに、気付かれないように詰め込んでいたというわけね。ただ対象を小さくしたり大きくしたりするスキルって聞いたことがないけど……」



 そういいながら陽葵さんは宮平さんを見る。


 誤解という、変化をもたらすスキルを持つ宮平さんに自分の見解を聞いているのだろう。



「俺の『誤解』を強化すれば……ものにもよるだろうけど出きると思う。それに彼らのことだ、より上位のスキルを持っていたとしてもおかしくはないかな」

「もう……地上の人間ってどれだけレアなスキル持ってるのよ。なんか、ずるじゃないんだけどズルされてるみたいでもやもやするわ」



 ぷっくりと頬を膨らませる陽葵さん。

 その気持ちはすごい分かる、けど俺も神測なんてスキル持っているだけに文句言いにくいんだよな。



「――あ、あの。相談なんですけど、作戦にあった罠……あれを今からもっと上、1層階でも扱うべきでは?あの数を間引くとなるとここだけでは……。確か、遠隔での発動も出きるんですよね?」



 なんだかんだ余裕が見える陽葵さんのおかげで少し心にゆとりできた時、他の女性探索者が俺の元に寄ってきて意見をくれた。


 そしてそれを見守るように背後に立つその仲間たち。


 どうやら陽葵さんとは違って皆にはそんな余裕はないようだ。

 罠について、余計なスキル説明しなければ良かった。



 しかも使えるには使えるけど、その分体力持ってかれるし、威力も低くなるから、苺の件がなくてもあまり気が乗らないんだよな。



 はぁ。苺と宮平さん、大人数の探索者たちの板挟み……さてどうしたもんかな?



『――電気信号。対象、パターン赤』



 ため息を1つ溢すと、まるで心配すんなとでも言うかのように山吹がスキルを口に出し、発動させた。


 見慣れた電気回路が至るところに張り巡った。


 いや、描かれるようにではなく浮かび上がるように現れたってことは、事前に仕掛けてたものか。


 スキルの持続時間凄いな。

 それに……。



「この赤色が派手でそれも違う意味で凄い」



 真っ赤に染まった電気回路はモンスターや探索者たちの足元だけでなくその頭上、空中にも描かれ、それらを照らす。


 すると、俺はあることに気付く。



「赤色に照らされてるはずなのに、モンスターたち全然赤くならない。なってるのは薄くだけど様子見の人たちと山吹、それと……苺は果物のほうの苺みたいに真っ赤っか。これ、ただ面白くするためだけにやってる……わけないよな」

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