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301話 達成?

「――よし! こんなもんでいいだろ! しっかしまぁモンスターの墓を立てる時がくるなんて思わなかったぜ」

「……こういうことすると、もしかしたらモンスターを殺すことに抵抗が生まれるかもだけど、私はあくまで41から50階層のモンスターたち、意志疎通ができる個体を守るだけだから、気にしすぎないで」

『うんうん。全部のモンスターを保護しようなんて誰が考えても不可能よね。条件反射で殺してくるような奴らはやられる覚悟もなきゃ駄目よ。だから遥様は余計なことは考えないで経験値を稼ぐの』



 グレンデルの頭を埋めた辺りに一先ず膝くらいの高さがある岩を置き、俺の作った剣で名前を掘った。


 なんとか字の読める程度の簡素なものだけど一応はこれで格好がついたし、グレンデルも俺たちも安心、ようやく一息つこうとすると、ハチが今までにないくらい経験値を催促してきた。



 確かに今回は思ったよりも楽ができなかったから仕方ないけど。


 ま、会長たちと戦うには残りの期間、俺もまだまだ強くなる必要があるってことがわかったのは収穫だったんじゃないか?



「それで、そうやって言うってことはポチはここに残るんだな?」

「うん。みんなのために何かしたいけど、今はここを離れられないから。まずは階層の作り替えをしないとだし……人間の大勢いる場所に行くのはちょっと勇気もいる」

「そっか。ポチが今度の戦いで戦力になってくれれば心強かったんだけど……」

「ごめんね。ここまで連れてきてもらって、ご主人様を戻す手伝いもしてくれたのに……」



 少し落ち着いた頃になんとなくダンジョン街の状況をポチに話してみたが、ハチたちと違ってなかなかその一歩を踏み出すのは抵抗があるらしい。


 ポチの場合なまじ人間に対する知識や、ああなったグレンデルを見ているから余計にそう思ってしまうのかもしれないけど。



「その代わり、コロシアムがちゃんと整備できたら人間にも解放しようかなって思ってて……多分殺し合いにならないよう設定も出来そうだから。あ、経験値も稼げると思うよ。流石に殺しきるよりも効率は下がると思うけど」

「レベルアップを安全に、か。それ、もしかすると物凄く利用するかも」



 敵の数を考えれば探索者全体の強化は必須。


 申し訳なさそうに言ってるけどそんな施設を作ってもらえるのは有難過ぎる。


 ただそれまでにその完成が間に合うのかってのと、いちいちそのやりとりの連絡をとるのが面倒――



「それ、私が間に入る。そうすれば連絡は一瞬」



 それを察したのかもう一人のポチが割って入ってきた。

 クールな雰囲気だけど別に積極性がないってわけでもないんだよな。


 この辺りはポチの性格も影響しているのかもしれない。



「いいの?」

「そっちが残るなら、私まで残る必要はないと思うから。それに私はいろんなことに触れないといけない、知らないといけないと思う」

「……そうだね。あなたはもう私だけど私じゃないんだもの。えっと……2人ともこの子をお願いできる?」



 それは全然構わない、どころか嬉しい。

 これだけの戦力が加わってくれるんだから――



『陽葵、何て言うかなぁ……』

「……」



 無理したことがばれてしかも、女の子を連れてきました、は流石に俺も報告の勇気が……あ、そういえばこれで目的達成にできるんじゃないか?



「それじゃあ、あの、えっと……協力関係の証として山吹と契約、そのお守りもついでにしてもらえないかな?代わりに暮らす場所の用意とかも全部山吹がするからさ」

「え!?」

「いいよ。山吹嫌いじゃないから。あ、別に好きってわけじゃないんだからね!」

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