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279話 揺れる?

リッチーは新しくつけられた腕を大きく振りかぶって叩きつけるように拳で俺の顔を狙ってきた。


 一見隙だらけの雑な攻撃に思えるが、攻撃への躊躇のなさと、いつでも反撃を受けられるように硬い骨の腕は攻撃に使わず備えてあるのが偉い。


 そして何よりその動作は速い。


 人によってはジャブと対して変わらない、いやそれ以上の速さだと思ってしまうほどに。



「どうやらその言葉に嘘はないみたいだな。この一撃……今回一緒につれてきた人間の仲間がいるんだけどさ、あいつだったら最悪死んでた」

「人間の仲間?ああ、なぜか50階層に招かれたあいつか。そうか、あれは弱いのか……。であれば感謝しなければならない。あのお方に、こっちを残して頂きありがとうございます、とな」



 俺がそんなリッチーの拳を右の掌だけで受け止め、捕まえてやると、リッチーは悔しがるどころか楽しそうに笑って見せた。



「――ふっ!!」



 そしてどちらが次に動くか、無言の駆け引きが行われると、痺れを切らしたかのように今度は女性がリッチーの顔面目掛けて上段蹴り。


 俺は咄嗟にそれの邪魔にならないよう後退。

 リッチーの出方を窺いつつも、分配の効果を解除。


 さっき作った剣を完全な状態に戻して斬りかかる準備を整えるが……この違和感って、もしかして戻ってる?



「ふふふ、今の俺の角はそう簡単に折れないぞ。あの時とは生前の弱かった俺とはもう……違うのだからな」

「うっ……。あの防御スキルも使わないなんて、大した余裕。もしかして私が女だからって手を抜いてる?……べ、別に女の子らしく見えたからって、可愛いからって言われても嬉しくはないんだけどね!」

「いや、そんなことは1度も――」



水流圧殺砲(アクアポンプ)



 俺はその状態を確かめるために魔法陣を展開。

 女性の上段蹴りをその角一本で受け止めるリッチーに狙いを定める。


 展開スピードは……いつも通り。


 これは相手がスキルを使っていないか、あるいは使えなくなっているかの2択。


 これだけでは確実な答えが出せないから、俺はリッチーを追い込むためにあえて後方で魔法攻撃に徹することに決める。




 ――ばしゃっ。




「ふん。大した威力じゃないか。だがこの程度避けるまでもない。……なぁ、こんな小細工で遊ばず殴りあわないか?これでは興冷めもいいところだぞ」



 射出された水の弾丸を今度は骨の手で簡単に払い除けた。


 ただ骨の手を使った……すなわち、硬い方の手を使わなければならなかったともとれる。


 それならば、これ以上の魔法の発動はかなり敏感になる。

 あのスキルを使わなければならなくなる。



超水流圧殺砲(ハイアクアポンプ)、複射』



「さあ、どうする?」

「!?」



 俺は巨大な魔法陣を一斉に3つ宙に描いた。

 今のレベルであればこんなことだって、ギリギリ可能。


 そうして疲れを感じるものの、気取られぬようリッチーを煽る。


 女性はその場を離れたけど……リッチーは黙り、か。



「射出――」

「撤回だ。これはこれで……面白い。……。……。……。があああああああああああああっ!!」

「この振動……まさか」

「俺も使えるようになったのはこの身体になってから……。俺の、このオーガという種族本来の力をも復活させてからだ」

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