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275話 次元

「な!? 剣撃が、違う!!それに、この距離を……どうやって!?」



 神測によると、この階層にはこのローブよモンスター……『リッチー』の魔力が蔓延しているらしい。


 それを長時間の接触により理解、さらにはその魔力がこの部屋に異常をもたらしていることも理解。


 であればその魔力を用いることでリッチーと同じ土俵に立てるというのが、神測の見解。


 だから俺はそれに従ってこの剣を生成した、というか勝手にさせられた。



『多次元斬刃』



 なんとか片手で振り回せるほどのサイズ感だが基本的には両手持ちが好ましい、剣というよりは刀の王道フォルム。


 刀身は長く、また白く発光している。


 その煌びやかで幻想的な出で立ちままに、振り下ろすとすうっと通常あり得ない箇所、空を斬るという超常な感覚を得ることができた。


 そしてそれは空間を、はたまたこの場で起こり得た次元をもまとめて斬る。



「あんまりにも効かなすぎる、硬すぎる。確かに切断攻撃は武器に依存するが……ここまでとなると違和感があったんだよな。で、神測してみたんだけど、俺の攻撃は最も威力の高い瞬間、斬った斬られたという事実だけ切り取られ、適当に縫い合わせられている。ということらしい」



 あまりの出来事で攻撃を受けたにも関わらず、リッチーは俺の話に耳を傾け、表情を曇らせる。


 きっと名探偵が推理を御披露目するときは今と同じくらい気持ちがいいのだろう。



「くっ! ……再集合(リターン)



 種明かしをされ、まずいと思ったのかリッチーは慌てて俺を掴む手を離し、その腕を自身の元に帰す。


 俺は高所からの落下を始めるが、それでも言葉による追撃を止めはしない。



「そう。そうやって身体を自在に切り離したり、反対に合わせたり、アンデッドたちの傷を縫ったり、部位を捨てたり……まるでこっちの動きが遅くなったと錯覚するように繋ぎ合わせたりしてな」

「……それがわかったところで、お前は俺を一撃で仕留められなかったではないか。ふ、だが予想外だった。お前は強くて危険。ならばその身体、肉は惜しいがそのまま食われてしまえ」



 落ちる身体を待ち受けるアンデッドフェイカーたち。


 もうその視線は1匹たりとも女性に向けられていない。



「一気に燃やしてしまうか?いや、種についてはまだ知りたいこともある。……。とはいえ、派手な方が良さそうか。……『水城』――」



『神測。全範囲版が発動可能です。より多くの魔力が必要です』



「構わない。そっちで頼む」

『了解。……【水王城】を発動』

「なんかどれだけ吸われても、俺のレベルだと疲れる……けど尽きないんだよな」



 落下の勢いを全て殺すべくスキルが発動された。


 本来休憩スペースを生み出すためのそれは群れたアンデッドフェイカーたちを踏み潰せるまでに膨れ、そのまま衝突。


 クッションのように柔らかく俺を包み込むそれは、大した攻撃にはなってくれない。


 だけど重さと耐久がそこそこあるお陰で、下敷きになったアンデッドフェイカーはどいつもこいつも動けない様子。


 さて、ちょっと疲れたけどあともう一踏ん張りするか。

 『分配』を発動っと……。



「馬鹿な、まだそれだけの余力が……。こうなれば本来の戦闘形態で――」

「ごめんね。あなたのお友達を殺すことを許して。これがきっと救済になるから」



 女性はあり得ないほどの脚力でリッチーの背後まで移動を完了させていた。

 そして、俺に意識を奪われていたリッチーの喉元までその刃を伸ばすのだった。

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