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269話 短剣

神測に促されるように俺はスキルを発動。


 剣が作られる過程でいつも表れる違和感。

 手の付近で空気が滞留、そしてそれはうねり、勝手に握りの形に指が合っていく。


 ここから剣が出来るまでの時間は早い。


 だから俺は両手を空けるために慌てて既に持っていた剣をグレーターアンデッドに向けて放り投げる。



「? ……ぐあははは! なに、それ?」



 すると雑な攻撃となった投剣をグレーターアンデッドは嘲笑う。


 痛みがないだけでなく、切断とは違って刺突は自分の身体を削がれることがないため余裕なのだろう。



 ……そういった理由は分かるけど、なにも煽ることはなくないか?

 進化し、話すことができるようになったことで、余計に知性を感じなくなるなんて皮肉なもんだ。


 同じ話せるモンスターとしてアビリティは負けているかもしれないけど、獣戦士たちのほうが遥かに人間性が高くて伸び代を感じる。



 まぁ、だからこそこいつらは成長システムを利用する側にいないのだろう。



「……その態度を後から後悔するなよ。お前らの主、あれは仕事ができなかった奴に強くあたるタイプだぞ。ま、だからって手加減をしてやるなんてことはないんだが……お、できたか」



 嘲笑ったことでややグレーターアンデッドのスピードが落ち、こちら側にも余裕が生まれたタイミングで剣が出来上がった。


 熱気を帯びた真っ赤な剣と氷でできた剣。

 どちらも短剣……ククリナイフに似ている。


 真っ赤な剣は今まで作ってきた火属性の剣と比べると薄くてやや心許なさを感じてしまうが、頭に流れ込んでくる情報から、足止めには向いているように感じる。


 初めての氷の剣もだが、使うのが楽しみだ。



『――効果を使い分けるためにそれぞれの剣に名前を付与することが必要です。二剣…【ヒートサイド(ナイフ)】、【クールサイド(ナイフ)】。敵強度を神測、各剣をそれに合わせて補強しました』



「サイド……。あくまでこいつは2つで1つ、双短剣ってくくりか」



 性能が1つで作ったときよりも劣るのは、そのせいなのかもしれない。

 強化したスキルらしいけど、今までの効果と使い分けができるのはこれが理由らしい。



「があっ!」

「あんまり見惚れてる場合じゃない、か。じゃ、まずは『クールサイド』」



 左手に持っていた剣をその場で振る。

 そうすることで細かい氷の結晶が舞う。


 それらはグレーターアンデッドの身体に付着、ピキピキと音を立てて凍結箇所が広がっていく。



「!?」

「ただ、結局のところ刃を肉にあてがわないと……」



 グレーターアンデッドが力むことで凍結された場所が割れ、すぐに動き始める。

 だから俺はその間に脚を狙って移動、股の部分に片方の剣を突き刺した。



「『ヒートサイド』」



 そしてそのまま今度は発火効果を発揮。

 派手な爆発はないが、チリチリと肉は焦げ広がり、剣は奥へ奥へと進む。


 粘っこく炎が纏わりつくからかすぐに再生は完了されない。


 ここまで深い場所を、完全に切断することなく露にすることができれば、もう片方の剣の効果を最大まで発揮できる。



「『クールサイド』、出力を……最大で!」

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