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268話 熱冷

「ぐおおおお、おっ! ……。おま……行かせ、ないっ!」

「ついに、話すようになったか。つまり……成ったと」



『神測。グレーターアンデッド:魚竜型への進化を確認』



 身体を支えるためのでかい脚と小さい手。

 その顔はサメだったときよりもシュっとし、尾ひれや胴体のほとんどが尻尾のように長く伸びていた。


 ブヨブヨと皮膚は揺れ、やはり中身の骨が抜けているようで雄叫びを上げるその口は際限なく広げることができるようだ。


 動くために硬さはある程度あるようだけど、布や綿なんかでできたぬいぐるみくらい色んな部位を曲げ伸ばししている。


 顔つきはサメの雰囲気は残っているものの、肩や首辺りがスリムになったことで竜の雰囲気がプラスされた。


 素早く、高性能なエンジン……心臓に適合するため細くはなったものの、そのデザインは洗練されたように思え、不謹慎だが中々にかっこよくなっている。


 確か、前に見た本で……恐竜、とかいう生き物に似ている。


 あれはいつだったか……子供の頃、誰かに見せてもらった。

 これが『地上』の歴史なんだって……。


 はっきりと思い出せない。

 やや頭が痛む。もやもやが募って……。



「一気に発散させたい気分だ」

『グレーターアンデッド:魚竜は不死身ですが、核となる存在、または操者を戦闘不能にすると肉体は崩壊します。当階層にそれは存在しません。よって、時間を稼ぐことを最優先にする場合は……できるだけバラバラに、また状態異常を付与させることが有効です。効果のある状態異常は燃焼と氷結――』



「ぐおおおお!!」



 神測が話しきる前にグレーターアンデッドたちはその顔を思い切り近づけてきた。


 見たところ歯はないようだけど、その大きすぎる口で挟まれれば大ダメージ。


 俺は急いで踏み込むと、その顔の奥、下顎部分に潜り込んで一閃。

 その口の半分を切り落とす。


 しかし痛みを感じないグレーターアンデッドは覆い被さるように頭を押し付けてくる。


 これは避けるのが難しい。

 くそ、斬りかかるにしたってこの位置だと押し付けの勢いに負けかねない。



「超身体強化を重ねがけして――。え?」

「……」



 ――ズシン。



 スキルを使って反撃を試みようとした瞬間、ひんやりとしたかと思えば身体が持ち上げられ、俺はその場から避難することができた。


 そうだ。

 なにも俺だけで時間を稼ぐ必要はない。

 目的地はおそらく一緒なんだから。



「……」

「助かった。ありがとう」



 女性は咄嗟に抱えた俺を地面に下ろし、少し照れ臭そうにする。


 可愛らしいが、思ったよりも力はあるようだ。



「にしても、攻めるのはいいが止まらなすぎるな。あれ」



 一旦距離はとれたが、それをすぐに埋めようとグレーターアンデッドは駆ける。


 ポチは……まだ到着していないようだし、これは相当タフな戦いになるかもしれな――



『限地点であれば状態異常付与可能な剣を作成可能。対象の強さ測定、そしてここからそれを停止させるまでの状態を作ることを補完とします。階層に漂う熱波と女性による冷気。2つを原料として1度に2本の剣を作成できるよう、スキルを強化……』



「……『二剣生成:成熟』」

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