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265話 あのお方?

「誰だ?」

『気付くか、私のこの声に……。人間というのはやはりモンスター、いや……ダンジョンそのもののシステム、常識を越える素質を持った存在なのだな。【あのお方】が、そして私たちが薪をくべられ続けられるように常に熱せられ、行動、追い求めてしまうのもやはり仕方がないこと。【それ】が期待をするのも分かる。……が、その行為を決して認めてやることはできない。私たちは人間に近い存在ではあるが、あのお方に見出だされ、永らえる生き物なのだから』



 こっちの質問に微妙に答えられていない気はするが、流暢に人の言葉を操ってはいるもののこいつがモンスターであることと、この41階層以降、50階層までを統治する存在よりも下の位であることは分かった。


 各階層にいるはずのボスモンスターがいないのは、きっとこいつが今みたいに安全な場所から俺たちを観察、対処ができるからなのだろう。


 それでいて王は前線に出ないどころか、そういったことも任せきり、と。


 このダンジョンの攻略、また、この組織をぶっ壊すとなると戦闘に関しては実質こいつがラスボスになるのかもしれない。



 ……それにしてもどいつもこいつも人らしさがあるから、いくらスキルの発言条件だと言っても一方的に攻撃してやろうっていうことに罪悪感が生まれなくもない。


 慎二や地上の人間と比べるとどうしてもやりにく――



『私たちはあのお方の下部。あのお方は自身が人間となるため、そして私のたちのような仲間までを人にしようとしてくれる素晴らしい主人。効率のいい育成と、その方法を模索、さらには……至高の褒美を与えてくれる存在である。人間よ、私たちが焦がれる存在であり、今後私たちの肥となる者よ。その強さ、気付きの良さ……今ならまだ間に合う。淘汰されるよりも前に、こちらに下ってしまえ。それが最善の選択だ』



肥? 淘汰? ……あれ?

もしかしてだけど、こいつらって人間に代わろうとしてるのか?

いや、こいつらというかその『あのお方』っていうのは。


 それ、地上の人間だけを指しているならまだしも俺たちは ダンジョン街の人間だけじゃなくて……まさかダンジョンを作った神様、異世界人も含んでいる?



 ……。

 凄く楽観的に探索に来てみれば……これ、かなり大事だよな。

 だってダンジョンから出て俺たち人間を皆殺し、こいつ風に言えば糧にするつもりなんだろ?



「知らない間に板挟みされてたってわけか……。だけど、地上の人間たちに比べればこっちはまだ脅威ってほどじゃない」

『なに?』



 俺のほぼ独り言の小さい声を聞き取ったようで、こいつは俺を引き入れようとした時とは全く別の、怒気がこもった声で聞き返してきた。



「気になるのかな? だったら一戦どう?」

『……ふふ、はははははは! なるほどなるほどこのアンデッド共を倒すのは至難と踏んで私をこの場で殺そうというわけか! いやはや、やはり人間とモンスターでは会話の1つさえ異なり、愉快だ! だが残念ながらそれはできん。私はそれと違ってあの方のシステムには抗えんのだ』

「それは……本当に残念だ」

『……私はこの先で逃げも隠れもせず待つ。ふふ、しかしこう高揚してはアンデッド共にも活気が漲ってしまうなぁ。果たして私と戦うまでお前が、他の者共を連れた状態で五体満足でいられるかどうか……。楽しんで見させてもらうとしよう』

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