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262話 でかい

「ここからは歩きか……。結構しんどいな。なぁポチ、お前もふもふで汗もかけないから辛いだろ?」

「はっはっはっはっ……わう!!」

「ははっ! 心配すんなってか? 思ったよりやる奴じゃんお前!!」



 しんどそうに額の汗を拭いながら、いつの間にか俺の手元から離れていたポチに語りかける山吹。


 お互い活発な性格みたいだから相性がいいようだ。



「まぁこの二人は心配なさそうとして……今度はこっちの方がつらそうかな」



「――はぁはぁ……」



 女性の息が動いたあと、とまではいかないものの俺たちよりも明らかに荒い。


 火照り、ほんのりと頬に赤みがさしている。



 冷えるポチと火照る女性。

 環境や戦闘状況に合わせお互いで苦手を補完しているのか。



「……急ごう」




 ――ぼごっ……。



 俺は先陣を切って進もうとした。


 するとまってましたと言わんばかりにそこら中温泉から気泡が上がってきた。


 これはモンスターの気配。

 ゴーレム、アンデッドフェイカー、はてさて今度はどんな奴らが現れるのかな?



『神測。モンスターを複数確認。状態異常は2つ。1つは【腐敗】、もう1つは【痛覚遮断】。自我不明。アンデッドフェイカーに近い存在ではありますが通常命令をくだすことができない存在であるため、区分としてはダンジョンの野生モンスターとなります。ただし、状態異常が本来登録のないものになるため【種】や【女性】と同様に詳細なデータを確認することができません。筋肉量から強さを推測した場合、超身体強化で対応は可能なはずです』



 また詳細の見れないパターンか。


 しかも超身体強化で対応可能って、つまりそれじゃないと危険ってこと?



 ――があああああああああああ!!



「こりゃあ元気のいいのがわんさかと……。あー、なんか見たことあるようなのもいるな。ちょいっと見比べて……ってあいつらいつのまに消えたんだ!?」



 どこかに姿を消してしまったアンデッドフェイカー。


 その代わりなのか、俺たちの前に現れたのはサメに似たモンスター。

 こっちはヒレもしっかりしていて、よくみると小さな足もついている。


 のっしのっしと行進する様子は少しだけ可愛く思えなくもない。



「なるほど、さっきの奴らの外皮が別個のモンスターになっていると。それで命令を聞く優秀な方は手元に、そうじゃない外皮は兵士に……というところか」

「……」

「ほうほう。ということはなんだ、一回倒してる奴らの劣化版だから大したことはねえ!! ってか?」

「それだったら嬉しいんだけどね」



 無言ながらに女性の身体が今までよりも強張っているのが見てとれた。


 そんな様子を横目で見てしまうと、どうしても山吹のようにお気楽ムードではいられない。


 だってほら、骨だけだったアンデッドフェイカーよりもやっぱり大きくて……大きすぎて、大き、すぎない?



「があ……」

「あ、はは……ど、どうも!」



 アンデッドフェイカーの元々のサイズを知っていることと、暗めな地面のせいで距離感がおかしくなっていた俺たちは、少ししてようやくその異変に気付いた。


 こいつら、いつまでも近寄って近寄って近寄ってでかく映り続けている!



 大きさは……。



『天井100メートルに対して……もっとも高い部分で、地上から50メートルあります』



 山吹の奴が情けなく謝っているところをいじってやろうと思ったが、これは流石に俺も謝りたくなる。


 だって今からこの暑さの中、これと鬼ごっこになるかもしれないんだから。

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