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253話 鳥鳥鳥

「――超炎狂鳥乱舞(ハイフェニックスダンス)



 炎で作られた鳥たちを魔法陣から無数に射出。

 俺は全てを見渡せるように大きく距離をとる。


 そうして飛ぶ鳥が優雅に飛び交うことをせずに、まるでミサイルの如く勢いでアンデッドフェイカーへ突撃するところを観察。


 衝突と同時に爆裂するその音はこれが上級魔法だということを忘れさせるくらい強烈で、他のモンスターだったらこれで十分、いやオーバーキルだということを知らせてくれる。


 そう、他のモンスターだったなら。



「が、ぐあっがっ!!」



 立ち上る爆炎の中からは確かに声。

 しかもまだまだ活きがいい。


 なんだか、わざわざ停止スイッチなんてものが付いているんだから、これくらいの攻撃で消えてくれるなんてわけがないって言われているみたいだ。



「ま、当然そんなこと言われなくても分かってて……だからこそ俺は俺で準備をするってわけ」



 俺は飛んで行こうとする炎の鳥の1匹を掴んだ。


 そして、まだ覚えたばかりで発動に慣れていないはずのスキルを呟く。



「『剣生成……成熟』」



 ハチにはこれを使う度にそんなのより私の作ってあげた剣の方が強いのに、って散々言われたんだけど……これが案外面白くて、実験で使っているだけでいつの間にか名前が『未熟』から『成熟』へと変化していた。


 変化したことで効果にも違いがいくつか現れ……まず対象を構成する素材から剣を作るだけではなく、それそのものをモチーフとした剣を作ることが可能になった。


 だから俺の掴んでるこの1羽はその羽を残しつつ、嘴や胴体を長く伸ばして形を作る。


 メラメラと燃える炎の波で揺れる握りは不思議と熱くない。

 鍔は残った羽で派手にあしらわれて、ボンメルはしっかりとでかくて重い。


 中二心満載の見た目はそれだけで俺を満足させてくれそうになる。



「でもこの効果を見ると……まだまだ満足するには早いよな」




「――がああぁっ!!」




 完全に剣が出来上がって、その美しさについつい見惚れているとアンデッドフェイカーの鳴き声が聞こえた。


 とうとうあの場所から移動を始めたのかと思って視線を爆炎の方に向けると、その煙は薄くなっていた。


 おかげで煙の中にいてもアンデッドフェイカーの姿は浮かんでいた。


 牙は抜けてない、魔法がまったく利いてなかったわけでもなく、所々黒い傷みたいなものが……あるようなないような。


 やはりまだまだ元気モリモリだけど、これは攻め時。



「あの『攻撃』もいいアトラクションになるし、それに……ふふ」




 ――びゅっ!!




 煙が薄くなった原因がこの発射音の主、『砂の弾丸』。


 どうやらアンデッドフェイカーはその尻尾をバタつかせることでこれを放ち炎の鳥を打ち緒としているようだ。


 少し湿っているところをみると、水城の水を使ったのか?

 多分これがこいつらのスキル……取り込んで吐き出す、運搬向けでしかない、それだけのスキルのはずなのに……。


 戦闘が上手すぎる。


 これを束ねるボスの強さは一体どのくらい……さ、流石にたかだかボスでハチや赤並みってことはないよな?

 だってそうなるとまだあってない竜たちの強さはおかしいことになっているはずで、地上の人間をとっとと蹂躙しているはず。


 ……今は余計なことを考えるのは止めよう。


 折角気持ちが高揚してきたのに、不安でいっぱいになって楽しめないんじゃ台無しだからな。



「というわけで早速……炎剣:二翼……バースト」

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