25話 あの人?
ローファンタジー日間19位。
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『慎二の奴……。適当な報告をするにも程があるだろ。自分の株が上がるようなコメントしかしてないじゃないか。まぁ、それは予想できたからいいとして……。コメント欄の奴らも好き放題言ってるな。偽のレベル100だったから仕方ないとか、調子に乗った結果だとか・……』
『なに? 人間たちの間では遥様は死んだことになっているの? それじゃあ人間の街に着いたときは、ド派手に登場して驚かせてあげましょうよ! ふふふ……。ちょっと楽しみが増えちゃった』
『羨ましいくらいのプラス思考だな。ま、俺もその案には賛成だ。そもそも、あいつらを見返すためにそれなりの登場の仕方は必要だと思っていたからな。それより……陽葵さんがオロチ討伐隊に参加、か』
俺の死に対してコメントを求められて、全然違う回答をするなんて……。
確かにここ数年はあたりが強いと思っていたが、流石にこれは心が痛い。
『並木遥の死? そんなことより、今はオロチの討伐に向けて準備を整えないと……。それで私はあの人に認められる』
陽葵さんのコメント……。積極的に復興作業の手伝いをしていたのは知っていたが、あの人に認められたいから、か……。
もしかして男か?
『……いや、男だったとしても別に関係ない。陽葵さんは俺の憧れで、それでしかないのだから』
『遥様の憧れの人間……。ねえ、その人間が何を言い出そうとも、私との契約は継続だからね。もし、絆されるようなら……』
『う、おっ!』
ハチが自分の身体を激しく動かしたためか、体内も激しく揺れた。
地響きのようなものも聞こえたことから、今ので外にも何かしらの影響があったかもしれない。
『今みたいに思いっきり、遥様をぶん殴る。勿論躊躇なく、ね』
『……。ふ、それは頼もしいな』
『え? 嬉しそうにするってもしかして遥様ドM――』
『違う。それより、今ので外がどうなったか気になるな。ちょっと目を借りるぞ』
俺が命じ、瞬時にハチの視線を共有する。
すると、目の前にはぺしゃんこに潰れたバフォメットと、クレーターのように大きく、大きすぎるへこみが映った。
魔法を使った素振りはなかったから、これは単純な力によるもの。
思えば俺、ハチとの戦いでまともに拳を交えてなかったな。
『ハチ。お前と俺、殴り合ったらどっちが勝つと思う?』
『さぁね。私はこの力を出すために、身体を変化させる必要があって……そうなると小回りが利かなくなるから。ただ、数値だけで比べるなら私の方が上じゃないかしら? 気になるなら私のステータスでも眺めるといいんじゃない? 街までは流石に時間が掛かるから』
『そうだな。討伐隊がもう動き始めているとして、その場合の作戦を考える必要もある。そのためにお前のステータス覗き見させてもらうぞ』
『覗くって……なんかその言い方エッチじゃない?』
『いちいち俺が変態みたいになること言わないでもらってもいいか?』
『あはは! だって遥様をからかうの面白いんですもの!』
『頼むから程々にしてくれよ。はぁ。それじゃあ……ステータス』
俺は自分のステータスとハチのステータスを確認し……。
『これって……』
適応レベルが本当に適応レベルとして、あっているのか少し疑問符を浮かべた。
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