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247話 試練内容

「弄んだって、その根拠はあるのか? お前見てたのか?」

「待ってくれ山吹、その質問をしたいのは分かるけど、まずその『重力の枷』ってのはなんだ?」



 俺は質問を急ぐ山吹を一度止め、この女性が変えたというそのルールについて言及した。


 山吹はそこまで気にしてないのか、それともそのことについても知っていたのか分からないけど、そこが分からないまま話を進めるのは気持ちが悪い。



「そうか、新顔なんだからそりゃ知らないよな。ちょっとこれを見てくれ」



 そういって獣戦士は立看板を指差した。


 話に夢中になってたけど、そういえば確認してなかったな。



『42階層試練内容【重力】:いかなる重さにも耐えうる筋力、またはそれを突破できるほどのスキル、仲間、はたまた知能を身に付けよ。さすればこのダンジョンにおいて無限の可能性を持った人の身体を持ち、我と同じ階層の主へと至る道が開かれよう。入層即、個々或いはグループへ重力を掛けるが……くれぐれも推し測り間違えてくれるなよ』



 やけに偉そうな文章で書かれていたのは、42階層の内容とヒント。


 それと無限の可能性を秘めた身体を持っているというのが、ここのモンスターたちの共通認識で、階層主……恐らくはハチたちと同じ竜の1匹が自分と同じような人間へ変身できる個体を求めている、と。


 元々ダンジョンでの竜の役割は地上の人間に対抗できる力を備えることで、それを考えればハチや赤よりも真面目なやつだというのが分かる。

 奇しくも俺たちと同じ様に軍を作ろうって腹積もりなんだろう。

 そうじゃなきゃわざわざ仲間なんて文言は入れないはずだ。



 そしてそのための便利アイテムがこの種で、これを受け入れられる個体を作りあげるためのシステムを構築した、んだと思う。

 ということは今度の竜は植物を操ることもできるのかな?


 植物をその種子をモンスターの強化ができるよう、限定的な劇薬にして選別を行えるよう……これを欲するようになるよう。


 ……強さを求めさせようとした場合、俺ならモンスターを相手に自分の立場を羨ましがらせるだけじゃ物足りないって考える。

 弱い個体ならまだしも強くなって野心を持ち始めるようになったら尚更だ。


 だから物で釣ろうとする。


 依存性が高いアイテムであれば、1度使ってしまえばまたそれが欲しくなって、もっともっと病的に強くなろうとするだろう。

 そうなれば上々、強いモンスターってだけじゃなくて従順なモンスター、兵隊の完成だ。



 きっとここより下はそんな地獄みたいな階層があるんじゃないかな?


 それで、ここに種があるのは選別と……ここでもその効果が活きてくれればと思われたから。


 ようは今は実験段階で、殆どが失敗という状況。

 ただ、1人除いて進捗は芳しくない。


 そう。1人を除いては。



「――次の階層については俺が語るまでもないって分かったか?それじゃあさっきの、そっちのやんちゃな坊主の質問に答えてやるよ」

「お前俺は――」

「あの日俺は違う仲間と42階層に挑んでいた」



 獣戦士は坊主呼ばわりされて怒り心頭な山吹と、退屈そうにする部下たちを無視して語りを始めたのだった。

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