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234話 条件

 山吹は真剣な表情に切り替えると、俺の肩に手を置いた。



「インストール」



 途端に流れる電気、そしてそれを見ていたハチと赤の目は強張って、病室に殺気が満ちた。


 ハチと赤に動き出す雰囲気がないところをみると、モンスターとしての本能で勝手に臨戦態勢をとってしまったのだろう。



 さっきよりも強めの痛みはあるけど、これくらいなら問題はない。

 だから2人を落ち着かせるためにも、なにか言ってやらないと。



「ハチ、赤。大丈夫だから、そんなに山吹を威嚇してやらないでやってくれ」

「……。は、はは。違うな並木遥。その2人、誰に殺気を向けたいのか、それがバレないようにわざと、大袈裟に見せていて……つまりだな、警戒されているのは俺じゃなくあんたってことだ」

「え?」



 それを聞いて2人を見ると、ハチは申し訳なさそうに視線を逸らして、赤はどこか合わない視線を今度は合わせてきた。



「どうやら、本当に大丈夫そうですね」

「ご、ごめんね遥様。信じてなかったとかじゃないんだけど、あんまりにもその、神宮というか地上の人間と同じ匂いがこう……もわって!もわってなっちゃったから!」



 謝ろうとしない赤とは対照的にハチは頭を何度も下げてきた。


 怒っているわけじゃないからむしろ申し訳なさが凄い。

 というか、匂い?



「俺、もしかして臭い?」

「そうじゃなくて、なんていうんだろう……地上の人間特有の、オーラ?みたいなのがこう出てる気がするの」

「しかも垂れ流しだから嫌でも警戒しちゃうってわけなのよね」



 匂いじゃなくて良かったけど……オーラ、か。


 他の人たちにも警戒されなきゃいいけど。



「インストールしたことで力の根源みたいなのだけ出てるって感じだと思う。並木遥、その証拠にあんたの頭にアナウンスはな流れなかっただろ?」

「確かに。スキルを取得したとかなんとかは全くなかった。……。それで条件を山吹は知ってるんだよな?それとスキルの効果も」

「条件は分かってる。ただ効果は読み取りが間に合ってなくてさ……。ま!後でのお楽しみだな!」



 誤魔化すように笑う山吹。


 これで一生もとに戻れない変身呪いを受けるパッシブスキルだったらどうするつもりだよ。



「はぁ……。まぁ神宮の見た目とかから察するに支障が出るようなことはないか。……。それで?条件の方は?」

「えっとまず『支配系』スキルの所持、2つ目が子分や眷属のような従順な存在の有無、3つ目はレベル80以上、4つ目が……」

「お、多いな」

「な! でもあんたならそんな辛くないっしょ? それにこれで最後だしさ!えー、レベル80以上が所属する高い知能指数を持つわ組織、団体を2つ以上……完全破壊、だってさ!」



 だってさ、って明るく言うなよ。

 つまり神宮はこれを意図的に地上で、外でやってきたってことだろ?


 多分だけどスキルを手に入れるためだけに、あいつは人を殺してる、かもしれない。


 あんな雰囲気で他とは違うとか言いながらきっちり殺ってるんじゃないか。



「俺には無理そうだな。レベル70以上の在籍する人間の団体なんて限られているし、そもそも人間は殺せな――」

「モンスターだっていいんじゃね? それに70以上なら多分大丈夫だ。ま、あそこはあんまり気が進まねえけど……。いいぜ、仲間にするモンスターを見繕ってもらうついでに案内してやる。もっと深い階層、後半の階層を」

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