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230話 いつでも喧嘩上等

「それは当然!なぁんか訝しんでっけど、別に大した理由はないって!さっきも言ったけど、マウントとられんのが気に食わないからやり返してえ、そんでもって見つけたってのはその大将のご尊顔を拝みたかったからってだけ」

「でもここにいる……違うな、過去にいたことを知っていたのはどうしてだ?」

「……。うーん、信じてもらえるか分からないけど、これに関してはたまたま。もうちょい詳しく説明すると、そうだな……俺は地上の人間を、そのヤバさをちょっとだけ知ってて、もっと知りたいと思っちまったから、かな」



 そう言うと山吹は神宮の映像のもとまで歩き、そっと触れた。


 スキルによって生み出されたものなのに、触られたその肌は窪んだり、伸縮する。



「俺の電気は読み取りも可能、モンスター以上に複雑な人間って存在をしっかりと読み取るには接触が不可欠。だだざっくりとした情報なら触れなくても可能。俺は興味本意で電気を這わせたことをきっかけに……違い、強さの素養とバフに気づいて、このダンジョンには3種類の人間がいるってことに、異変に気づけた」

「3種類……」

「あんたのような一般の人間、宮平のような生まれがよくて基本のパラメーターが高い人間、基本のパラメーターが高いだけしゃなくて上昇幅が高くなるバフをかけられた会長や、こことの貿易に携わる地上の人間。言い直すとランク分けされた人間がいるってことに俺は気づけたんだ」

「なるほど。それでここを地上の人間が統治してるとなったってわけか」

「実際に地上の人間が会話してるところとかを見てたわけじゃないから、あくまでなんとなくそうなんじゃないかって。で、仮にそれが本当だとして、地上の人間が会長を操って買取額を自由に決めていたとすれば、ヤバいし、地上の奴らは俺たちを見下してる、マウントしてる、そう思ったんだよね」

「……思ったよりも賢いな」

「思った通りの間違いでは?」



 一瞬ちらつかせていた真面目顔をしまう山吹。


 そっちのほうが格好よく見えるのに……とぼけたくなる性分なのかな?



「それでその大将を、山吹が読み取った『バフ』の出所を知ろうとして神宮に辿り着いたのか?」

「辿り着いたというか、たまたま回路が地上で異常な反応を示して、きっとそいつがそうなのかなって、レベルとスキルの質を上げながら今日までその痕跡を追ってたってわけ。だからさ、見つけた時は本当に嬉しかったぜ。こいつが俺らにマウントしてるお山の大将で、その強さの根源を、実態があれば明確に知れるってな! 『読み取り更新(アップデート)』!」



 山吹がスキルを威勢よく発動すると、神宮の全身に回路が走った。


 言い方的に痕跡からも情報は得られるようだが、スマホの効果で実体がある今の方が都合がいいらしい。


 なにを企んでいるか不安だったけど、結果俺たちにとっても都合がよくて安心――



「う゛っ!!」

「山吹!?」



 そう思った時、安心とは程遠い量の血が山吹がの口から吹き出た。


 スキルの対価だとしてもこんな唐突になんておかしい。



「ぼ、防御スキルって、か……。はは、俺みたいなもんには、読み取らせてたまるかって、こと、かよ。上等じゃねぇか……」

「お、おい!」



 こんな時だってのに山吹は喧嘩上等とばかりに拳をぐっと付き出してその場に倒れ込んだのだった。

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