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222話 気のせい

 もしかすると……でもそれで山吹が喜ぶ意味が分からない。 これで喜ぶ存在なんて……。


「……。赤にはやめろって言われたけど……神測」


 俺は走る山吹を追いかけながら神測を発動。

 もし俺の予想が正しかったとして、これが山吹の逆鱗に触れたとしても今なら派手に戦うことができるから。

 それに……ちょっとだけワクワクしてる俺がいるんだよな。強くなった自分が1人でもどれだけやれるのかって、全力で戦ったときの強さがどんなもんなのかって、単純な殴り合いをしたいって思わなくもなかったからさ。



『――神測終了。山吹迅のステータス情報の一部を神測した結果……その性別は男、レベルは65、種族人間。スキルは雷系統が中心。魔法も同様。スキルによる周囲の変化はまず自己強化からなり、この点で魔法とは異なります。当然魔法陣の展開無しで効果を発揮できるため、発動は素早く、戦闘においても強力です。雷や火の耐性が高く、水も苦手ではないです。ただ闇魔法の耐性はやや低めです。他にも機械への理解が――』



「着いた! ここだ、ここ!! でもどうすれば中に入れるのか……。なぁ、つまらないことにそのスキルを使ってないでさぁ、ここの入り方を調べてくんない?」


 少し時間がかかったが、問題なく神測による山吹の説明は開始。

 想像以上に細かい情報があるそれを聞いていると、それを遮るように山吹は立ち止まって大きな声を上げた。

 俺はその声についつい驚いて説明を聞き逃す。

 しかもそんな俺に山吹は追い討ちをかけるかのようにスキルを使用していることを告げ、その上でこの場所を神測しろ、とねだってきた。


「……俺のスキルはあくまで測るって効果。調べるとは微妙に違うっぽくて、ちょっと工夫が必要そうなんだよ。だからすぐには難しい。……。それにしても、やっぱり気づいてたのか、スキルを使ってたこと」

「ああ。俺ってこう見えてデリケートってか、人の視線とか気になっちゃうタイプだからよ。このいかした金髪も生え際が目立つようになったら即美容院よ!」

「……すまん、もっとがさつな奴だと思ってた」

「あははははは!! 謝ってくれりゃあいいのよ! 真面目な奴は好きだぜ!ただ次からは一声かけてくれよな!」

「了解」


 豪快に笑う山吹は俺の肩をバンバンと叩く。

 痛い。痛いけど……ただ力加減をしてないだけ。

 特別ななにかがあるわけじゃない。 神測した結果、種族は人間だって言ってたし……ただ珍しいユニークスキルを持ってるだけの探索者。

 なんだか考えすぎてた俺が馬鹿みたいだ。

 考えすぎ……か。


 ……。……。……。あっ、そうか。


 別にこの壁の先も特別なことして通ろうとしなくていいんじゃん。


「よし。そうと決まれば……」

「おっ! 入り方分かったのか? ……って、それマジ?」

「当然。俺は大真面目なのが取り柄だぞ」

「はは……。あんたは俺と違って思ったよりがさつだな」

「ほっとけ。ま、でも一応……神測」


『壁の硬度を測定。これと攻撃を比較。通常の岩盤よりも硬く、超硬合金をも凌ぐ。これと次に繰り出されるスキル主の攻撃がぶつかった際のダメージは小。これを神測の効果により0ダメージとなるよう変化、補完を試みます。……。……。……。補完が完了しました』


 神測の完了報告が済むと、俺は強く握り振り上げていた拳を、若干引き気味な山吹を横目に思い切り振りかざしたのだった。

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