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221話 見つけた?

「今のは?」

「階層全体に俺の電気を巡らせた。特殊なアイテムや変な場所を探すんだろ?だったらこっちの方がやり易いはずだぜ。『導入(インストール)』」



 山吹が俺のマップに手をかざすと地形が立体に、まるでその場所をカメラで映しているかのように変化した。


 さらにタップするとそれが元のマップが脇に表示され、その映像情報と合致することを教えてくれる。


 モンスターや細かい地形なんかもしっかりそのまま映像化されているのはすごいとしか言いようがない。


 これなら敵がダンジョンに入り込んだ時の様子がすぐに分かる。



「ふぅ。良かった、どうやらまずまずみたいだ」

「とんでもないユニークスキルだな」

「でもよ、これが俺のこの身体だと結構疲れて……。それに魔力量とか情報量とかが多いのか、回路を巡らせる時に人間が多すぎると微妙にそれが途切れるんだよな。今だってよーく見ると穴は多いはずだぜ」

「なるほどな。1人で、っていうのはその辺りも影響してる、と……」

「1回完全に回路が引ければ問題無しなんだけどよ、今のままだと難しいだろ?ま、あとそれだけが理由ってわけでもないぜ」

「……折角スキルを見せてもらったんだ、あんまり言及するのは止めておくよ」

「それは有り難いねえ」



 山吹は少しばかり息を切らしながらその場に腰を着いた。


 どうやら、思ったよりも消耗しているらしい。

 この様子を見るに今までこのスキルをこの階層で使ってなかったの原因にこのデメリットが影響していることが分かる。


 それにもしこのスキルを勝手に使ってたことがバレれば気味悪く思う探索者もいるだろうし、それも原因な気がする。


……それにしても、こいつこんな監視カメラみたいなスキルを使って一体何がしたいんだろう?

 悪戯がどうのこうのとは言っていたけど……。


 というかもうこのスキルについて知ってしまったんだから、他の階層にも回路を巡らせてくれないかな?

 その方が間違いなく行動しやすいだろ。



「あのさ……」

「う、はぁはぁ……な、なんだ?」



 スキルを使ってもらう交渉を持ちかけようとしたが、あまりにも疲労していて気が引けてしまった。


 交渉は後にして、今は1階層のマップを確認することに注力しよ――



「ここは……」

「ん? 一体どうしたってんだ?って……」



 俺と山吹の視線が映像のとある一点に向けられる。


 なんてことのない通路。

 だけどマップにはその横に不自然なスペース、そして所々黒くて小さな穴が空いているように見える壁があった。


 別に特別な場所じゃない。

 過去にはその場所を通ったこともある気がする。


 俺のレベルが上がったからか?

 それとも……記憶が解放されて、洗脳が解けたからなのか?



「ふ、ふふ……。見つけた。なんだよ、こんな低い階層だったのかよ。たはは!馬鹿みてえに時間がかかっちまったじゃねえか!」



 唐突に、嬉しそうに笑う山吹。

 その足はさっきまで疲れて腰を下ろすほどだったのが嘘のように動きだし、俺を他所目に駆け出した。



「お、おい! いきなりなんだって言うんだよ!ったく……。にしても黒い穴、か。……。黒い、黒い黒い……黒いと言えば……焦げ、か?」

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