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217話 金髪

見た目は今どきのやんちゃな男の……あまり適切な例えではないかもしれないけど不良、ヤンキー。


 金髪ツーブロックで清潔感のある髪型ではあるけれど、ピアスを唇にまでつけてるのはかなり厳つい。


 三白眼で顔つきはやや威圧的。


 はっきり言ってしまうけど見た目だけなら慎二よりも近寄りにくいタイプの容姿ではある。


 ただ、こういう人だからって気性が荒いと決めつけて接するのは良くない。

 不良って案外しゃべってみると、フレンドリーでいい人なことも多いから。



 まぁ、今回の場合戦闘を止めさせるためとはいえ、がっつり躊躇なくスキルを使っているから、いい人かどうかは別として戦闘好きっぽそうではあるけど。



「お前! このスキルを解け!」

「まあまあ落ち着けって。数分待てば勝手に解けるからよ。……多分」

「多分って――」

「そんなことよりも俺の話を聞いてくれよ、なぁ。あのな、さっきも言ったがここはしょうもない場所なんだって。あの壁の向こうに見えるモンスター、今朝あれの数を見てきたが既に200以上だ。しかも、数はまだまだ増えてやがる。当日までには1000、いや4、5000は行くだろうさ」

「な!?」

「そんな数の敵を1階層だけで倒しきるのは不可能。ダンジョンにそこまで開けた場所はねえからな。それにちゃんと戦略を練るんならダンジョンで敵を迎え撃つ、その地の利を活かすべき。ってことで多分この階層も戦場になるぜ」

「言われれば確かに……」

「だろ?だから自分の土地の確保をするなら協会から移動しろって言われてから、拠点の階層が決まってからだ」

「でもそれだと、他の奴らに先を越されて……狭い家で暮らすはめに――」

「だからぁ……そのために、今なんじゃねえかよ」



 ヤンキー探索者の男性が俺を見て笑いながら手を振った。


 おそらくは俺たちに媚びを売っておくことで拠点での住まいを優遇してもらえるって考えているらしい。


 思ったよりも打算的な人で少し驚いてしまうな。



「初めてのレベル100、それと今回の一件で一気にS級になっちまった探索者、並木遥。っと、そのお仲間さんたち。やれやれこんなとんでもないメンツがこんな階層になんの用だろうな。もしかして、この事態を収集しにきたか?だとすれば、あんたらは媚を売る暇もなく厄介者扱い。一等地は不可能だろうさ」

「そ、そんな……。お、俺なんでもやります!だから何卒」

「……。初めて見たけど、大して強そうに見えないわね。そもそもレベル100の雑魚って言われてた人がいきなり成り上がるなんておかしいわよ」



 急に下手に出る人、反対に強気な人、俺の支配のスキルはパッシブスキル。


 今表に出ている様子だと媚びてくる人のほうがまともに見えるけどその実……いや、あんまり考えるのはやめておこう。



「そうだな……。じゃあまず俺たちの目的から話そうか。それで……協力してくれるなら君たちの住居については俺のほうからも探索者協会に言っておくよ」

「本当ですか!?」

「怪しい……」

「ふーん。条件、ね……。だったら俺も……と、その前に……おいでなすったか。並木遥、楽しいお話は一旦終わりだ」



 会話を遮ったのは3階層のモンスターの足音。



 ちょうどいいや、こいつを使ってちょっとしたチュートリアルと強さの証明をしてやろうかな。

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