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215話 協力関係?

「それってスキルイーターみたいに下僕として扱うってこと?」「苺、その考え方はわからなくないけど、そんなに京極さんを睨むのはやめよ。ほら、怒るのやめやめ」「みや、ここでは撫でるのやめて。ちょっと恥ずかしい」


 京極さんの案にまた不機嫌な苺。

 流石にまた空気を悪くするのはまずいと他の人の目を気にしたのか、宮平さんが止めに入った。

 宥める声の感じといい、ボディタッチが増えたのといい……昨日の一件で2人の仲はより深まったみたいだ。 それは全然構わないし、なんなら仲のいい兄弟みたいでいいんだけど、リーダーとかなぜか陽葵さんの視線までちょっと厳しいのが気にかかるけど。


「すみません、説明が足りませんでしたね。下僕ではなく、あくまで協力関係になるという話ですよ」「協、力?」


 撫でられて顔を赤くする苺ににっこりと微笑んであげると、京極さんはいっそう明るく説明を始めてくれた。


「はい。例えばハチさんと赤君が人間に味方しているように、もっともっと探索者を中心にモンスターと契約をしてもらうんです」「私たちみたいにですか……でも一般的なモンスターに契約という概念はないのでは?私が自分の身体で飼っていたマザーウルフは正式には取り込んだだけですし……」「それなら大丈夫。私もみやももう契約してるモンスターいる。他の探索者も多分大丈夫」「え、でも意思疎通できないですよね?」


 赤が京極さんの案に疑問を投げ掛けると、京極さんに代わって苺が答えてくれた。

 そういえば苺にはメロリンっていう、透明化能力を持ったモンスターがいたっけ。

 それにしても、あの時宮平さんたちが試していた一般モンスターとの契約がこんな時に役立つなんて……会長だって思いもしなかっただろうな。 まさか契約したモンスター全てが敵になるかもしれないだなんて。


「私なら意志疎通ができる。その気があるモンスター、そうなる可能性のあるモンスターの判別もできる。だって私モンスターとのハーフで、ずっとこの環境に適応してきたから。だから任せて欲しい」


 赤君に向ける苺の目は力強く、まっすぐ。

 そしてそれに根負けしたのか赤はふっ、と息を吐く。


「おちびちゃんだけど確かにモンスターのそれを感じます。意志疎通は問題ないでしょう。ただ契約するモンスターの数はできるだけ多いほうがいい。そんなモンスター探しを全て任せるのは流石に……」「俺の『支配者の圧』があればある程度絞り込める、と思う。それにそいつらの位置の確認も」


 赤が無理無理と首を振ろうとしたから、俺は割って入った。 折角の苺のやる気を無駄にしたくないというのと……偶然この前手に入った力が役に立ちそうだなって、この話が始まってからなんとなく思ってたんだよね。


 って、なんか急にみんなの視線が……。

 もしかして、引いてる?


「遥君。なんでも出来すぎてちょっと……」「えっ……。陽葵さん、それショックかもで――」「料理も戦闘もリードされて、私がしてあげたいとかもあるのに……。あ、でも遥君って女の子との経験はないからあっちのほうは……」「陽葵さん?」「あっ!な、なんでもないわ!なんでも!とにかくそうと決まったんだから早速ダンジョンにいって仲間探ししましょう!ほらみんな急いで急いで!」


 誤魔化すように席を立った陽葵さん。

 それを追うように俺、ハチ、赤、宮平さん、苺も席を立つ。

 そう、笑いと困惑が混ざった微妙な顔で。

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