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211話 嫌な予感

「――ちっちゃい家。見た目もぼろっちい」

「い、苺!あんまり本音は言っちゃ駄目だって!こんなところでも俺たちを招いてくれているわけなんだから!」

「……」



 さらに買い出しが追加された俺はようやく我が家に到着。

 話の流れからして案内する場所はここだと思ったけど……本当にそうだった。


 当然俺から誘ったわけじゃない。


 ここに来るまでなんとなく聞くタイミングは逃したがけど、間違いない。

 ハチのやつ、知り合いを集めてなにかするつもりだ。


 ただの飲み会だけならまだいいけど……俺に隠しているのが不穏でしょうがないんだよなぁ。


 苺の過去のこともあって、今はあんまり宮平さんたちを問い詰めたくはないけど……流石に聞いておくべきか?


 『スキルの開発で実験』とか、『状態異常の調査』とか、食事が関わってて、俺に隠し事しないといけなくて、このタイミングで他にありそうなのはこのあたり。


 となれば最悪スキルが暴発して家が滅茶苦茶になることも考えられるし、飲み過ぎ食べ過ぎで対象者の介抱とかいう面倒が起こる可能性も……大。


 事前にこれらを防げるなら、絶対にしたい。



「あの、宮平さん……」

「ごめんね遥君! 別に嫌だって言ってるわけじゃないんだよ! 本当に!むしろ、こうやって友達に、普通に、お呼ばれすることなんかなくて喜んでるくらいで! だってほら、苺には俺とメロリン……モンスター以外で友達って呼べるのがいなかったわけじゃない?」

「えっと……怒ってるわけじゃないんで、そんなに必死にならなくても 」

「そうなの? 顔が険しいからてっきり……。ま、だったら問題はないかな。改めて招いてくれてありがとう遥君」

「あ、はは……」



 この人、わざとこんな風に言ってるわけじゃないよな?


 せめて場所を変えてもらおうと思ったのに……そんなこと言われたらもう乾いた笑いしか出せないよ。



「――お邪魔します」



 あ、苺のやつもう玄関開けちゃった……。


 腹を括るしかなさそうだな。



「いらっしゃい苺!! ごめんね、迎えに行くはずだったのに……」

「こ、こんにちは苺さん」



「え……」



 思わず変な声が出た。


 だって家から出てきたのはハチ……と京極さん。


 そういえばもうそろそろ日が暮れるころだけど……まさか京極さんまで来てたなんて。

 風竜による情報の伝達の後だとちょっと気まず――



「みんなお揃いかい? ってなんか匂わない? というか、なんでそんな慌てた様子で……服も汚れてるのかな?」

「宮平さん。えっとこれはそのぉ……」



 2人を見て宮平さんが何気なく声をかける。


 流石の宮平さんは気まずさなんてこれっぽっちも感じていないみたい。

 それどころか、反対に京極さんのほうが気まずそう。


 こんなに歯切れの悪い京極さんは初めてなんだけど……。



「た、ただいまハチ。それでこれはなんの催しかな?」

「遥様!? ……。もうどっきりだとかサプライズとかそんなのはどうでもいいか。早く! こっちに来て!」

「え、はぁ?」



 目一杯の笑顔でハチを問いただそうとすると、それよりも早くハチは俺の手を掴み、家の中へ引っ張った。


 そして……俺の鼻の中には嫌な焦げ臭さご広がって、額や背中からじんわりと汗が流れたのだった。

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