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192【苺視点】絶滅モンスター

「――またか……。んー、やっぱりこの階層のモンスターは生命力も低いってことか。はぁ上手くいかないもんだな」



 それから蒼社が1階層の様々なモンスターとふれあい、時にはそれらをペットに、そしてそれが死ねばその死体で剥製を作る映像やスキルイーターを用いて人間を襲う様子が延々と流れた。


 モンスターが好きなのは間違いないみたいだけど、蒼社もやっぱり上位の人間。


 その餌のあげかたや、寝床づくり、散歩、それら全てがおざなりでモンスターはすぐに死んでいった。


 それを自分のせいだと思えないところに狂気を感じずにはいられない。



「しかもこいつらも放っとくとハズレばっかり引いてくるし……。ま、当たりがないわけじゃないけど内容が渡したくくないというか仕事上渡せないやつだもんなぁ……。……。気付かれるリスクが高いのは承知の上だけど、探索者でも襲わせるか?」



 蒼社の本来の仕事はスキルイーターを使ったスキルの取得。

 だけどそれもモンスターの扱いの悪さが影響しているのか、スキルイーターが取得してくるのは基本のもの、レアでもなんでもないスキルばかり。


 神宮にもそのことをつつかれて大分参っているみたい。



「探索者を対象にするのは駄目なんてもう無理……。だからこれは仕方ないこと。そう、それに少しだけなら問題ない、はず。……。そ、そうと決まれば早速ダンジョンに行くか! あ、そうだ! どうせならこいつを使って深くまで行くか! 新しいモンスターに会えるかもしんないし! レアスキルを持った奴なんて絶対深い階層にいるだろ」



 スキルイーターたちを眺めながら1人でぶつくさ。


 勝手に納得してテンション上げてちょっと気持ち悪い蒼社は、奥の方で寝ていたスキルイーターの手を引っ張ってダンジョンに連れ出す。


 どうやらこの一際人らしさのあるスキルイーターがレアスキル持ちらしい。



「えっと、7階層くらいまでならまだ探索者もいて、竜の本体もいないはず。というわけで7階層まで移動頼む」

「……あ、う。わか……た」



 喋った。こいつも。

 レアなスキルを持った個体はそれだけで人間に近くなるのかな?


 それに気になるのは、発動されたスキル。


 この移動スキルを私は知っている。

 珍しいスキルだと思ったけど他にも使える人がいたんだ。


 もしかして脱獄犯のリーダーと繋がりがあったりして……。



「――よし、着いた。探索者の気配は……少し先にあるか。なんかすごい速さで動いてるっぽいけど、慎重に歩いて行くぞ」

「が、あ……」



 蒼社はそっとスキルイーターにローブみたいなものを被せると7階層を歩き出した。


 最近じゃハチとか遥がすっごい深くまで探索するようになったけど、7階層と言えばそこそこ強いモンスターがいて、探索者もそんなに多くなかったはず。


 確か情報だと以前そこによくモンスターは……。



「――いたぞ! オーガだ!! 後衛は水魔法の準備を! 前衛はとにかく盾を使って壁際に追い込め!!」



 蒼社の進む先から大きな声が。


 依頼を受けた上級探索者がモンスターを狩るためにパーティーを組んでここまでやってきていたみたい。



 そして、その対象のモンスターはオーガ。

 今じゃ全く見かけなくなった、いわゆる絶滅モンスター。



 当然見たことがなくて、どんな見た目かも性格なのかも分からない。

 聞いた話だと相当凶悪なモンスターだったらしいけど……。

 ……なんだろう胸がざわざわする。


 オーガ……大丈夫かな?

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