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173話【苺視点】弱点

「――そのうち……おや、その期待の人間が来たようですよ。でも、あまりにも非力だ。洗脳の効果は……まだ健在のようですね。私のように抵抗力の強い者や緩和スキルの効果を大きく受ける、つまりはスキル主と反対の性である女性から順番に、断片的に、記憶を戻し始めるでしょう。そうなれば街は混乱し、いずれ元に戻る……どころか、この事実を受けて暴動が始まる。それを止めに、いやそれが始まる前に上の連中がここに攻めてくるでしょう。そして私は約20年の失態を詰められて、失脚……それだけはどうしても避けたい」

「だからって契約の書き換え?それで地上の人間と戦うとでも?」

「いいえ。奴らは洗脳をレジストする術も力もある。反乱を起こすのは愚かな選択です。だから、私はこの街を再び洗脳。従来の絶対君主制の街を復元して信頼を取り戻す。記憶の改竄なんていう半端で脆いことはもうしません。反逆の目は徹底的に潰して……まぁスキルだけは確保したいところですかね」

「……どっちに転がっても最悪ね」

「そうなるようにしたのはあなたじゃありませんか。あの時であればまだ地上への攻撃と逆転は現実的だったのかもしれません。でも、今は不可能。洗脳は完全にレジストされ、ここでひっそりと集められたスキルは地上で研究されているはずです」

「集められたスキル?」

「私も記憶をいじられていたので、それが行われていたという事実しか知りませんがね。ともかく、私はあなたの力、『誤解』と拡散の風、これらを使わせてもらいますよ」



 会長と風の竜は1度手を止めたかと思えばまた戦闘態勢に移った。



 私はみやみたいに頭は良くない。

 でも会長がこの街を裏切ろうとしてること、私たちを嫌な目で見てくること、異常な強さを持っていること、風竜がやられるのはまずいこと、これだけは分かった。


 だから私は風竜がまだなんとか戦える状態な今、共闘するために斧を強く握って走り始めた。



「――(すさみ)



 斧を振動させて一振。


 いつもより速く、強く打ち出せているはずだけど、会長はこれを簡単に避けた。



「速い。でも、風竜から遠ざけるくらいはできそう」

「……。記憶が戻りつつあることで元々ある力、潜在能力が解放されているというわけですか。それにあなたは……なるほどこれは想定外ですね。とはいえ、地上の人間に勝てるほどとは思いませんが……『重風圧』」



「――え? ……あ、がああああああ!! 痛、いっ! いっあ゛!」



 風がそよいだかと思ったら途端に頭に激痛が走った。


 頭が痛い、重い立っていられない。

 まるで、重石を乗せられてるみたい。



「でも、それだけでなんで……」

「その『角』ですよ。おそらくそれが力の根源でありあなたの弱点。どうやって生まれたかは知りませんが、あなたにもモンスターの血が流れているようです。そんな露骨な弱点を持たされたこと、恨むなら親を恨んでください」



 モンスター? 私の親が?


 そうだ。

 私は、私のお母さんは……人じゃない。


 ぼんやりとしか思い出せないのは、スキルのせい?それとも……。



「私が……小さすぎて、ここまでしか覚えて、ないから?でも、認識した。私は、なんでモンスターとお話できるのか、こんなに力強いのか……分かっ、た。だって私は人間で、モンスター」




『――本来の能力が覚醒しました。ステータスが更新されました。種族名が変更されました。【亜人種:(オーガ)】』

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