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143話【陽葵視点】 決死の連携

「はぁはぁはぁ……。流石にこの数、ナーガまでいると遥様へのサポートどころじゃないわね」

「でも、ナーガのあの顔……。私たちが思ったよりも強いもんだから相当焦ってる。最初、私を無視して遥君ばかりを気にしていたナーガはもうここにいない」

「そのお蔭で前線に出て来なくなっちゃったことは問題だけどね。私の水魔法の対策までしてくれちゃって……」

「大丈夫。そこは私の剣でフォローするから。チーム戦は探索者の基本なのよ」



 遥君を見送ってからしばらく。


 私とハチさんはまずナーガを倒すことを念頭に近接での戦闘を展開。


 ナーガは以前に比べてレベルが上がっていたようで、機敏な身のこなしを見せていた。

 それにその鱗は強固。私の剣でもハチさんによる打撃を十数発与えてもろくにダメージが入っていない様子だった。


 周りのモンスターへ意識を配っていることもあって絶望の二文字が浮かびそうになっていた。


 そんな時、ハチさんの攻撃が重なって当たっていた箇所にあった鱗が数枚割れた。

 そこを私の剣が触れ、ナーガは出血。


 そのまま神水の力で倒し切れるかと思ったのだけど……。


 ナーガの傷口が発火。

 体内に若干残ったであろう神水は蒸発されてしまった。


 そこからナーガは身の危険を感じて後退。


 なにやら長めの詠唱を行ったかと思えば魔法陣を展開したのだ。



 どうやらこれは仲間と自身の水属性耐性を強化するものだったらしく、元々の属性相性的に通じにくかったハチさんの魔法は余計にその力を発揮できなくさせられてしまった。



 それから私たちはまともにナーガに攻撃を仕掛けることができず、周りのモンスターを削る作業モードに。


 息は上がり、傷は増える。

 契約による再生があるけど、何度も襲う痛みと疲れには気持ちが折れそうになる。



 時間にすればまだまだ大して経っていないっていうのに、消耗が早すぎる。



 でもその度にこの奥で火竜と戦う遥君の姿が頭を過る。

 これは契約しているハチさんを通して送られている本物の映像。


 遥君が明らかに格上、私からしたら想像もできない程の化け物と対峙してもその瞳を死なせていないのに……諦めるなんてあり得ない。




 それに私は一生遥君の先輩なんだから。道を開く立場なんだから!



「――誘惑の居合い《デコイクイックドロー》」



 刀身を腰の位置に下げ、納刀した時と同じような体勢をとる。

 これだけのモンスターたち相手にこのスキルを使えば、当然一斉に攻撃が飛んでくる。


 だけどその分一度に倒せるモンスターは増える、隙を作れる。


 このまま消耗戦を強いられて押し切られるくらいなら……私は多少の痛みを伴ってでもこいつらを一秒で早く、一匹でも多く殺す。



「――水弾アクアバレット



 モンスターたちが一撃の間合いに入るまで、ぎりぎりまで待つ。

 モンスターの魔法が肌を掠め、投石が襲っても待つ。


 そうして先頭のモンスターの爪が額に触れる距離に。

 これさえも喰らって、出来るだけ多くのモンスターに斬撃を喰らわせようと覚悟をしているから私は攻撃に転じない。


 そう痛みに対する覚悟が完全に仕上がった瞬間だった。


 ハチさんの魔法がモンスターたちの足元で炸裂。


 ハチさんはハチさんで相手をしなければいけないモンスターがいるはずなのに……。



「ハチさん!?」

「い、いいから……早く!!」



 私に意識を向けたことが影響したのかその頬には新しい傷が。


 それを見た私は腰で構えていた剣を素早く抜刀。

 そのまま眼前に広がっていた7、8匹のモンスターを両断した。


 そしてそれを目の当たりにして一瞬だけ硬直したモンスター数匹の首も落とす。



 これで約10匹。

 残りは……30匹、いやそれ以上かな。



「まだまだいる、わね……。は、はは――」



『レベルが上がり――』



 ――ドス。



 まだまだ終わりが見えないそんな状況。

 でもそのお蔭でレベルアップのアナウンスが流れ……同時に今度はその胸を火竜によって貫かれた遥君の映像が流れた。

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