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140話 羽ばたき

『近距離でのスキル発動により情報の一部測定に成功。再生スキル【焔身】を保有。基本の人間基準による対応可能レベル10000……以上。一般炎耐性貫通を保持。これらに適した能力値と補完方法を神測。完了後即時反映。完了まで約1分。カウントスタート。120、119……』



「……たった2分。そう思わせてくれればいいんだけどな」



 アナウンスがご丁寧に120から数え始めてくれた。


 カップラーメンを作るよりも短い時間、それなのにカウントが長く感じてしまうのはここいる火竜が、10000レベルで『対応できる』ようになる存在が明確に俺を敵として睨んでいるから。


 さて、どうやって時間を稼ぐか……。



「――2分? 折角招いてあげたのだから私が眠くなるまで遊んでもらいますよ。それと分かってると思いますけどどんな目的を持っているにしても壊れたら食べちゃいますから。あなたたちのこと。人間は複雑で治すのはちょっとだけ疲れて……。ほら、私って地上の人間がくれば戦う、けど本来めんどくさがりで引きこもって、ずっと寝てたいモンスターなので。あ、でも寝るのを邪魔されるようになるなら面倒なんていってられないですよね。そうしたら疲れるけど人間を殺しにいかないと。人間にもいろいろいるようですが……見分けるのは大変なので手当たり次第殺すことになりますかねえ」

「……なんでも面倒って言うんならこのまま黙って――」

「まさかわざわざあなたに斬られるように身体を作り替えろとでも?うーん。確かにそうしなければ遊びが楽しくならないかも……でも食事以外で手間をかけるのはちょっと……」



 煽って時間を稼ごうと思ったが、意外にも火竜は食い気味に返答。

 ただ悩むように頭をかく仕草と思考の時間は案外長そうで、これはこれで言い時間稼ぎに――



「うん。考えると疲れます。まずは戦ってみて、それからですね」

「!?」



 火竜は唐突に考えるのをやめた。

 そしてスッキリとした顔をみせたかと思えば、口を大きく開き上空目掛けて炎を噴射。


 あまりの熱波でつい身がたじろいでしまう。


 ただそれを狙って火竜が攻撃を仕掛けてくる様子はない。

 むしろ自分が撒いた炎を受けないようにか、その大きな翼で身体を覆っているようだ。


 こいつ、もしかしてハチよりも頭が弱かったりするのか?



「折角のチャンスを無駄にしてくれて助かった。この2分、俺は絶対に凌ぎきって――」



 ――バサ。



 火竜の図体で早く動くのは難しい。

 不意をつかれない限り接近戦は回避できる。


 火の粉だってそのからくりが分かれば口を塞いだりと注意すればなんとかなる。


 2分を待って勝つ算段がついた。

 そう思っていたのに……。



「なんだよ、そ――」

「炎纏・爆進(バースト)。私これでも得意なんですよ、殴り合い」



 1度羽ばたいただけで翼に帯びた炎がすさまじい勢いで地面に衝突。

 その衝撃によって火竜はさっきのモンスターたちよりも速い移動を可能にしたのだ。


 そして俺と火竜との間は埋まり、俺の目の前にはその勢いを利用した尻尾によるなぎ払いが当たろうとしていた。

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