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135話 開戦の合図

次早いうちに上げます。

すみません次戦闘入ります。進めます。

下れば下るほど熱さは増していく。


 やや呼吸がきつくなって汗の量が増えて……これじゃあ戦闘の前にばててしまいそうになってしまう、そんなマイナスな思考が頭の中を支配し始めたころ。



「――わごぉぉぉおおぉぉぉぉおおっ!!」



 火竜の声、じゃない。

 他のモンスターの悲鳴が俺たちの耳をつんざいた。


 しかし階段の先にある40階層の扉はもう視界の中。

 当然脚は止まらない。


 緊張感が背筋を走っていく感覚にさえなまれつつ、俺は開戦まもなくとなったことで陽葵さんとハチの戦意に悪い変化がないかこっそりと様子を窺う。



「――派手な開戦の合図、というか……。あのサディスト、やることは変わっていないみたいね。ほんとうに嫌なやつ」



 嫌悪感をむき出しにしてはいるけど、もうハチには怯んでいる様子はない。

 むしろその目は闘争心に満ち満ちている。



「――雑魚は私が……足は引っ張らない。ううん。私が引っ張て行く、道を作る」



 下に進む度階段の幅が広くなったこともあってほぼ横並びで移動していたのだが、ここにきて陽葵さんは俺よりも少しだけ前に出た。

 その背中は当時と変わらず、大きく見える。



 とまあ、二人は心配するような状態どころかやる気満々……なんなら俺が一番情けない状態じゃないか。



「負けてられない、な。強さだけじゃなくて気持ちでも俺は……」



「――着いたわね。遥君、他のモンスターもいるようだからここは私が――」

「ちょっと待ってください。……『神測』」



 先に扉に手を掛けた陽葵さんを引き留める。

 そして俺はそのまま『神測』を発動、中にいるモンスターの数、部屋の広さ、火竜の位置情報を取得。



 そうして一瞬だけその場が大人しくなったころ俺は再び口を開く。



「モンスターの数は30。サラマンダーにマザーウルフ……強力なモンスターだらけです」

「だったら余計に私が先頭を切って火竜までの道を作ったほうが――」

「俺が右側から、陽葵さんが左側から、一緒に突っ込んでモンスターたちを分散。一掃してから火竜を叩きましょう。当然火竜が本格的に攻めてくる前に」

「……。大胆な作戦ね。時間はないし……危険よ」



「――でも、俺たちならできますよね?」



「……。ふふ、当然じゃない。それじゃあ遥君……構えて」

「はい」



 俺の言葉に陽葵さんは一瞬意外そうな顔をしたがすぐに切り替わって嬉しそうに笑って見せてくれた。


 そうして俺たちは互いに剣を強く握り扉を見つめた。



「安心して。二人を危険になんてこの私がさせないから。じゃ、いくわよ」



 ――ばん!



 ハチは叩くようにして扉を思い切り開けた。


 すると風に乗って熱気が襲ってくるが、俺と陽葵さんはそんなものを無視。


 お互いがお互いを信頼して目先のモンスターたちに不意打ちを仕掛ける。



 こうして俺たちはようやく火竜に招きに応じて40階層に足を踏み入れたのだった。

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