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125話【陽葵視点】 意外な声色

――ぱた。



「陽葵……」

「この人が持つスキル、ワープは強力。一気にダンジョンを飛び出すって選択をしていないからそこまで便利なものではないんだろうけど……。それでも移動手段、逃げ道を断つのは重要。捕縛方法もこんなスキル持ちだと確立するのは難しいし、こうするのが1番だと思った。それにあんな風に不意打ちしようなんて人間が今後改心なんてするはずないわ。さ、ハチさんはこの後のためにやるべきことをして。万が一すぐもっと危険なのが来たとしても、私が時間を作るわ」


 リーダーと呼ばれる男にスキルを放つと、その身体には意外にも簡単に十文字の大きな穴が空いた。


 人を殺したなんてお父さんが知れば卒倒するだろうし、当然私自身罪悪感はある。


 でも私の甘さが原因でこの人たちが外に出るようなことになれば、確実に大量の死者が出る。


 そうなれば私は今感じてる何倍もの罪悪感情と戦うことになっていた。


 だからこの程度は軽傷。

 殺してしまったなんて思いながら手を震わせるなんて、そんなことしている場合じゃないわよ、私。


「それにしても、この人の行動から改めて考えていくと、あっちの竜は本物やこの人じゃ御せなくて慎二の力を使ったってことになると思うの。ということは本物ってハチさんが思うよりも大したこと――」



――しゅうぅぅ。



「あんな攻撃、気づくかそりゃ。俺は戦う力は受け取らることもしなかった。ま、だから俺っていう変わった人間には、お気に入りには死んで欲しくないって思ったんだろうな。こうやって死なないようにはしてくれているみたいだ。さてと……。そんなお気に入りを攻撃されたのがやっぱり気に食わなかったのかね? 寝惚けてたあいつが完全に起きてしまったらしい。……。……。……。ちょっと話したいってよ。全体の移動は無理。距離からしてできるのは……」


 死んだはずの男は炎に包まれ、そこから立ち上った白い煙は一瞬私たちの視界を奪った。


 そしてそれが晴れたとき目の前にいたのはさっきよりも顔色が良くなったとさえ思える男の姿。


 火竜はオロチ、ハチさんよりも回復力が高い、というよりも特殊な再生の力があるって思った方がいいわね。


 ハチさんが気にするその強さの一端が今ので垣間見えた気がす――



「ワープ:身体各部位指定【眼】、ワープ:特殊【音】」



 いつもの黒い穴。

 それから覗く片方の大きな瞳。


 何かしゃべったわけでもスキルを発動されたわけでもないのに肌がぴりぴりとひりつく。


 スキルがどうとか回復力がどうだとかそんなことを説明されずとも、迫力だけで強さを実感してしまった。


「これが、本物……」

「……。起きちゃいました。これじゃしばらく寝れません。……だから眠たくなるまでいっぱい遊んでくれるますか? お姉さんと……弱虫な水の竜さん。……うふふふふ。返事がないのはokの証ですね! じゃあまずあれを2人で倒せるかどうかの勝負をして、ご褒美も用意……。と、こうした方が2人のやる気が出るわよね!」


 イメージやその瞳からは想像もできないようなおしとやかな口調と声色。


 そんな火竜は声を大きくしたかと思えば私たちに向けていた視線を今度は男に移した。


「そ、その。なんでしょうか?」

「このスキルとっても便利で助かります! 流石私のお気に入りです!」

「あ、ありがとうございます」

「ということで頑張ったご褒美をあげます!うふふふふ、これはきっと喜びますよ! ……『永劫炎熱(エンドレスヒーティング)』」


 火竜はウィンクと同時に魔法陣を展開。

 


 かなり高度な魔法のようで男の身体にはあっという間に炎が纏わりつき燃え上がる。

 炎は普通と違ってねばねばとして、いくら動こうとも男から離れようとはしない。


 何度も何度も復活を繰り返す身体。

 だけど当然のようにその炎は纏わりついたまま。


 これが、ご褒美?


「ナチュラルなドS。それがこいつなのよ」

「トラウマになった理由、凄くよく分かった気がするわ」

「どうしたんですか2人とも。……もしかして気に入りませんでした?だったら、そうですね……。ちょっと抵抗はありますが、特別にこの下にある私のお部屋で直接遊んであげます! これでどうですか?あ、でもこれはご褒美過ぎるのでそっちのお仲間さん? も勝つ。これを条件に加えさせてもらいますからね!」

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