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100話 新ランク10探索者

「……。前回のダンジョン探索からそんなに時間は経っていないのに、なんかもう全然違う空気感ね」

「そうですね。道中もダンジョンからダンジョン街まで急いで避難してきたような人も多くて……。本当にあいつ、慎二の奴め……」


 しばらくしてダンジョンに辿りついた俺たちは早速階段を下り侵入を開始。

 現在は見慣れた、見慣れ過ぎた1階層の階段付近で辺りを見回し中。


 正直なところ疲労は溜まっているけれど、そんなものは走りながら逃げ帰る探索者たちとすれ違うたびに吹っ飛んでいく。


 それは慎二たち脱獄犯に対する怒りは勿論、この状況を何とかしてあげたいという正義感によるもので、自分がこんなにも他の人のために何とかしてあげたいと思っていられることに少し違和感を覚える。


 今までなら他の奴らを見返してやりたいっていう感情が優先して、他を気にする余裕なんてなかったのに。

 

 ま、それだけいろんな人に自分の強さを認めてもらえてるなっていう実感を強く持っていて、見返したり、ざまぁ展開だったりってのはもう十分に思って――



「う、うわああああああああああああああ!! 助けて! 助けてくれ!」

「あ、また逃げてくる人がいるわね。大分取り乱してる。後ろにはモンスターが数匹と……人間の、多分ダミーね。更生施設じゃあんまり戦ったりしなかったし、ここは私が。『水弾アクアバレット』」



 今まですれ違った人たちとは異なり、明確に敵に追われている人が視界に映った。


 そんな姿を見たハチは俺たちよりも一歩前に踏み出ると手を正面にかざして得意の魔法を発動。


 凄まじい速さで飛んでいった水の弾丸は逃げる人の真横を通って後ろのダミーに着弾した。

 したのだが……。


「……。モンスターの方もダミーってことね。動きは止められるけど、消すってことができない」

「厄介ね。私は拘束スキルとかは持っていないし……」

「私だってどれだけいるか分からない相手に対してそんな魔法を連発、持続は疲れすぎるわよ」

「となればとりあえずこの階層にいる人たちが逃げ終わるまでここで戦闘を継続、か」

「面倒ね。いっそのこと無視して先に行かない?」

「ハチさん。それは流石にどうかと思うわ。それに……こういった人助けの活動はランクを上げるのに有効だったりもする」

「……。てっきり超真面目で退屈なお説教が始まるかと思ったけど……。案外そういった打算があって動く人間なのね、あなたって。流石はむっつりスケベさんじゃない」

「褒めてくれてありがとう。でも最後のは全く関係ないか、らっ!」


 ハチにツッコミを入れながら陽葵さんは勢いよくダミーに向かって走り出し、剣を抜いた。


 決して派手ではないが確実に、流れるように敵を切りつけるその様はやはり美しい。


「こら! ご主人様も手を動かして! 逃げてる人間に当てないように攻撃するのって案外難しいんだから!」

「わ、悪い。えっと、それじゃあ……まずはあの人を安全な場所に――」



「――『障壁:狭範囲』」



 俺がこちらに向かってくる人のもとまで駆け出そうとした時、背後から男の低い声が聞こえた。


 そしてそれと同時に逃げている人の周りを小さく、半透明な板のようなものが回り始めた。


「スキル……。敵のそれじゃないとは思うが一応……神測」


『スキルの効果を測定計測。……。上位魔法、種類や個人のステータスによっては最上位魔法をも防ぐ強度レベル。このスキルにはより強力な派生有。対象と戦闘時、スキルを貫通するような攻撃が必要な可能性有り。そのような戦闘スキルを補完――』



「いやいやいや。ランク10の探索者は流石の行動力ですね。でも……はぁ。話題になってる残りの2人はその程度ですか。探索者協会の買い被りは凄いですね」



 神測によるアナウンスの途中、防御スキルを発動させたであろう男が俺やハチを横切ってやれやれと首を振りながら嘆いた。


 話の内容や行動からして敵ではないだろうけど、とにかく嫌味な人間だな。


「あ、あなたは?」

「……。ランク10。サポートを任された探索者。名前は浦壁光也うらかべみつや。ま、自己紹介したところで仕方ないですけど」

「それは、どういうことですか?」

「脱獄犯の捕縛なんて私1人で十分、とうかその方が早くて効率もいいということです。ま、そうですね、ただレベルは高くて耐久力も有りそうですから一応こんな役をあなたには請け負ってもらいましょうか。『障壁:大範囲集中受』」

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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