攻略とかフラグとかスチルとかいう言葉が大好きな妹が、いつも変な行動をとるので観察してみたら、なぜか私が王太子の婚約者となり、それを恨んだ妹が私を殺そうとしたので返り討ちにしたお話。
「ここで殿下とぶつかって!」
何やらリハーサルというか、廊下の角で何やらぶつぶつ言っている妹。
私は妹の頭をいつも心配していましたが、「悪役令嬢が何を心配とかいうのよ!」とかいつも怒られます。
悪役令嬢ってなんですの?
妹は腹違いです。正統なる血を引くお姉さまと違い、私は庶民といつも泣いています。
いや、正統なる血ならあなたもひいていますってというと、目を丸くして怒るのです。
お義母様は庶民出身ですが、大商人といわれる方の娘で、そのお父様は大臣、なら侯爵の娘である私たちは二人とも正統なる血を引き継ぐのでは? というと……。
『どうして私をいじめないのよ!攻略に支障がでるじゃないの」
となじるのです。いじめるというか頭を心配しているのですわよ……。
私の母は侯爵の娘、私を生んですぐ亡くなり、お義母様が後妻としてやってきました。
あ、かわいがってもらってます。妹と同じに扱ってもらってます。
それがまた妹が怒るのですわよね……。
『どうして継母と悪役令嬢が仲がいいのよ!』と……。
仲良くお茶などしていると余計にこうなるので、私は黙って医者に見せたほうがいいのでは? と提案をしてみました、お義母様もそのほうがいいかもといいました。
いえお父様に反対されてなしになりましたが。
子供とはいえ、あの子の言動はよくわからないと頭を抱えるお義母様。
聞き取りをしてみたら、どうも私は悪役令嬢、リアージュ・コルネットで、庶民の血を引くリリアーナをいじめる役目らしいです。
いじめろと言われましても……。
継母といつも馬鹿にして、お義母様もいびるそうですが。
いびるとかねえ? お義母様はいい人ですのに。
というか妹がいつも怒鳴り散らすせいで、悩まれてますわよ。
私はさてどうしようかと考えましたが、妹の望み通りにするわけもいかず、私たちは魔法学園に進学して、そこから妹の奇行が増えました。
王太子殿下一人にしぼるとか、逆ハーレムはダメとか。
わけがわかりませんわ……。
そしてぶつかってとかしていたので、わざとはダメだと怒っていたら、なぜか殿下が廊下の角から現れあて私にぶつかってしまいました。
「……」
倒れた私は頭を廊下にぶつけて……大騒ぎになったらしいですけど、よく覚えてません。
「すまなかった、リアージュ嬢、急いでいたもので前をよく見ていなかった」
「たいした怪我ではなかったですし構いませんわ」
私は医務室で謝る殿下に大丈夫と答えます。そして妹は! と聞くと、恨めしそうに私を殿下の後ろから見ていました。イベントが一つだめになったとかぶつぶつ言ってます。怖いですわ。
「殿下、お気になさらず」
妹が怖い、だから私は大丈夫と笑顔で答えます。これが……ダメだったようです。
それ以来、殿下が怪我は大丈夫かと声をかけてきます。そして妹がぎりっとハンカチを口にくわえてこちらをにらんできました。
はあ、どうしましょう。
「どうして中庭でうたたねイベントをお姉さまが!」とか。
「アイスをペロッと食べてお腹を壊した私を見舞うイベントなのに!」とか。
いや中庭でうたたねをしていた殿下を起こしたのは私ですけど……アイスを食べすぎてお腹を壊したのは殿下で、それにお見舞いにいくと煩い貴方に私はひっついていっただけですわよ。
どうしてお見舞いが反対になってるのよとかひとしきり怒っていた妹、おかゆを作って食べさせた私、何やら殿下、妹の奇行にひいてましたのでご機嫌取りと思ってしたのですが。
「リアージュ、僕とどうか婚約してほしい」と星空の元……言われて、ハンカチをぎりっと握りしめる妹が木の陰からにらんでいて、どうか保留にと私はお願いしました。
だって妹が王太子殿下のことを好いているのは知ってますし……。
「……」
私は妹からもらったクッキーを落としてしまい、それを通りすがりの猫が食べて苦しみ死んでしまうのを見て、ここまで憎まれているの? と愕然としました。
悪役令嬢は毒クッキーを食べて死ぬはずなのに! と生きている私を見た妹が驚いていましたが。
私は殿下のお言葉を受けることにして、この毒クッキーのことを報告しました。
妹は姉を殺そうとした罪により、辺境修道院送りとなりましたが、どうして私が! と最後まで怒っていました。
しかし奇行がすぎる妹をもう少し早く医者に見せなかった私も悪かったしれません……。
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