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4-03-02 イザベラと摩導具

 本章で登場する以前に行ったイザベラと珠江のホームセンターでのお話は、以下に出ています。

 ご興味があるようでしたら、外伝もご覧ください。


 パラセル テクニカル外伝M - イザベラの摩導具日記

 外伝M3-06-01 ホームセンターにて


 https://ncode.syosetu.com/n3132gf/2/



 私イザベラは、とても幸せ者です。


 マリアと慎二がくれたマナクリスタルにより始まりの摩導具であるマナインクポットを作ることが出来ました。


 摩導具を作るときに重要なアイテムとしてマナインクがありますが、これを作るマナインクポットは、材料に純金の塊を用いて作ります。

 私たちの世界では、純金という物はとても高価で、工房の財政的な面から材料の入手に制限をかける物でした。

 あ、そうですか。 ここも同じ地球ですので、金はやはり希少な金属ですので、同様に高価なのですね。


 これが出来たと言うことは、この世界であっても摩導具を作ることが出来るようになりそうです。


 摩導具を作るときには、摩導具ごとに決められた紋様がそれぞれ決まっていて、紋様を刻み込み、そしてマナクリスタルを取り付けたものが摩道具です。

 摩導具の紋様を刻むとき、摩導具となる物の表面に描いて染み込ませる特別なインクが必要で、それがマナインクです。

 いえ、マナインクが手に入ったからと言って、摩導具が誰にでも作れるわけではありません。


 マナインクも大切な物ですが、摩導具を作る為にはその知識こそが重要なのです。

 私がこれまでいくつもの摩導工房で修業し記録してきたノートを、この世界に来るときに持って来ることが出来たのはとても幸運でした。

 何しろ、いきなり転移が始まったので、慌てて身の回りにあった物を自分のカバンに詰めたのです。

 このノートは常にカバンに入っていたので、すべて持って来ることが出来ました。

 そう、このノートこそが私にとって最も大事な宝なのです。


 摩道具の紋様は、マナインクと羽ペンを使って描きこんでいくのですが、その時の線の太さや形、大きさは厳密に決められています。

 その時の細かな事を、このノートに書き込んでいます。


 私の世界では、沢山の羽ペンを準備して、太さごとに分けてあります。

 マナインクを使うと、しばらくするとペン先の太さが少し太くなってきます。

 そうなると、その羽ペンは使えませんので、羽ペン担当の方がペン先を切って、削って、また新しいペンになります。

 そうやって、羽ペンも何回か使うことが出来ますが、線の途中で太くなってしまうと、その紋章は失敗品となり、摩導具として使用できません。

 大きな紋章を描いているとき、最後に太くなったときは最悪です。 その日の作業が無かったことになってしまいます。


 それより怖いのは、正しく描けたと思っていても、どこかにほんの少し膨らみが出ていると、やはり動きません。

 実際、下手な工員ですとその辺の加減が解らず、よく失敗しています。



 あと摩導具を動作させるときに、摩導具にフォースを与えるマナクリスタルで、マリアと慎二のおかげでそれも今回手に入りました。

 しかし私の世界では簡単に手に入っていたので、マナクリスタルはどこの世界にも普通にあるものと勝手に思っていたのです。

 こんなに入手が大変な物とは考えてもいませんでした。



 私の世界では高価な金塊ですので、小さな工房では1個を買うのがギリギリで、比較的大きな私の工房であっても、師匠と私とその他で10個もありませんでした。

 先日の慎二さんの金塊の爆買い事件で、材料の金塊には事欠かないと思いますので、きっと材料は大丈夫ですね。


 あとは、その金塊からマナインクポットを作る為の方法を知っている必要があります。

 幸いこの世界の道具でもマナインクポットを作ることが出来ました。

 彫刻刀とミニルータと言う道具はとても使いやすく、特に仕上げ磨きに使った道具には驚きました。


 摩道具の紋様を描く時に必要な道具は、自分の世界から持ってきたのですが、それら道具はすべて使えなくなってしまいました。

 ですので、マナインクに耐えられる道具が必要です。


 で、その摩導具造りなのですが、この前行ったホームセンターで買っておいた材料が役に立ちそうです。

 先日珠江さんに連れて行ってもらった、ホームセンターというお店は口から墨を吐きそうになりました。 あ、墨を吐くとは、驚いたときの私の世界のことわざです。

 工房の皆を連れて行ってあげたいと思いました。 きっとみんなも沢山墨を吐くでしょうね。


 今回、ホームセンターで、こちらの世界の筆記具である烏口(からすぐち)という物を見つけました。 そして、思わず大人買いしちゃいました。

 これは強い金属でできており、線幅も一定の太さで描けそうですので、ひょっとすると羽ペンよりもうまく使えるのかもしれません。


 この富山という領地? 国?には、飛行機と言う空を飛ぶ、とても速い乗り物で使ってやってきましたので、あのホームセンターには行けそうにありません。

 これほどすぐに使う事になるのであれば、もっといろいろな物を沢山買っておけばよかったと、今更ながら反省です。


 こちらの世界で摩導具を作るための道具なんて、手に入れることは出来ないなどと、私は勝手にあきらめていたので、使えそうな道具が見つけられて驚いています。


 マナインクも出来たので、早速試してみたいと思っています。

 これで、摩導具を作る最低限の道具や材料がそろいました。

 あぁ、私イザベラは、本当に幸せ者です。



 そして、私は慎二さんに時間をいただき、コテージで摩導具の試作を始めました。


 皆さんには、私のためのエリクサー作りをお願いしている身としては、大変申し訳ないのです。

 でも、そちらでは力に成れそうに無いので、私は摩導具に注力させて頂きます。



 摩道具に紋様を描く時は、マナインクを使うのですが、この時に相性という物があります。

 このマナインクを使って、固い物の表面に紋様を描くと、インクが少し中に染み込むのです。

 染み込むと言うか、表面を少し溶かしているように思います。

 そのおかげで、一度マナインクで描いた部分は、擦っても消えることはありません。


 マナインクは金が解けたものなので、水のようにさらさらとはしていない、どちらかというと少しねっとりとした感じの液体です。

 表面を平らにした固い木であれば描くことが出来ますが、木の筋に染み込んでしまうと失敗作になります。

 ですので、紋様は金属や石など固い部分をきれいに磨いた物に描く方が成功する可能性が高いです。


 この摩導具の紋様については、慎二さんと摩導パターンと呼ぶことになりました。 この世界っぽくて、ちょっとカッコ良いです。


 私たちは、古代遺跡から見つけた摩導具からこの摩導パターンを学んでいます。

 残念ながら、摩導具の作り方について、詳しい資料は一切残っていませんので、基本的に全く同じに紋様を描くことで再現をしています。


 私が持つノートに残されたこれら資料は、すべて慎二さんにお教えするつもりですので、いくつかはこの世界のお役に立てるのではないかと思っています。

 マナインクが出来るまでは、これすら只のゴミにしかなりませんでしたので、今回役に立ちそうで嬉しく思っています。

 持ってきた摩導具は売ることが出来ませんでしたので、少しでもお返しが出来るのであればと思っています。


 これまで落ち込んでいたのが、どこかに飛んで行ったイザベラであった。


 ようやく、イザベラさんも活躍できる場が出来てきましたね。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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