4-01-01 越中富山の薬売り
新しい 「富山の薬編」 の始まりです
慎二たちは、これまでの生活の地から離れ、いよいよ動き出しました。
ここまでのあらすじ
エンジニアである加納慎二の元に届けられた謎の黒い板スレイト。
それは次元を超えたショッピングサイト パラセルを操作する端末であった。
スレイトには、その端末の使い方を説明するヘルパーがそれぞれ存在し、慎二のスレイトのヘルパーは、アーと呼ばれることになる。
異次元世界から来たサリー、マリア、イザベラ。
3人とも、異次元転移の際にこの世界で生活していく手段をすべて失ってしまう。
異次元人であるサリー、マリア、イザベラは慎二を頼り、戸籍がないこの世界で生きていくことを決意する。
そして、貴薬草を求めに旅した婆さんの里で、残された何株かの貴薬草と幼女の姿となった慎二の婆さんである貴子と出会うことになる。
貴子は麓の神社で自分のスレイトと出会い、ヘルパーであるシーとも再開し、元の記憶を取り戻すことが出来た。
しかし、その里で厚労省の宮守珠江と外務省の西脇唯華に出会い、日本政府や陛下との縁が結ばれる事になっていく。
慎二は厚労省の検疫所にて、ストレージを駆使してマリアの病を治療する。
そして慎二たちの仲間はすこしずつ増えていく。
西脇唯華が計てた作戦、異次元人たちも安全に暮らせる独立国建国の夢は達せられるのか!?
夢のお告げから始まった小さな運命の流れは、慎二たちを乗せて、いよいよ大きな流れとなって行く事になる。
そして物語は続きます。
俺 慎二とサリー、マリア、イザベラ、貴子と真希、服部さんと宮守珠江の8人は、今羽田空港に来ている。
千葉の研修施設を引き払い、今皆は一緒に富山旅行に連れてきた。
昨夜、例によって珠江からいきなり航空券が渡された。
相変わらず唐突であるが、それでも事前に唯華には今週のスケジュールを確認しているらしい。
もっとも、その唯華は東京での仕事があるらしく、今回の富山には同行していない。
今回の急な訪問は、イザベラの友達のためのエリクサーを作る為の手掛かりを得る為である。
国が持つ非公開の資料なども調べてもらっているが、薬草に関する情報はほとんど集まっていない。
先日入院した厚労省の検疫施設では、検疫検査の他に、来日した異世界人の人たちに簡単な治療サービスも行っていた。
そのために、日ごろから、様々な人種の治療に対応できるように、この世界にある様々な薬を調達していた。
薬の1つとして漢方薬もあり、当然その入手先は薬草の専門店である。
薬草であれば漢方薬屋が詳しいのではないかと言う安易な発想から始まり、古くから営まれている漢方薬の主人にまで珠江の人脈が繋がった。
そして薬草について詳しい人が富山にいることを珠江から聞いたので、先方に訪問予約が取れたとの事で、今回急いで訪問することになった。
少しでも多くの情報を得るため、ここでエリクサーの情報が得られるかどうかはわからないが、少しでも早く薬が必要な人がいるため、急遽の富山入りとなった。
富山空港に降り立った俺たちは、タクシー2台に乗り込んで、彼女が面識あるという漢方薬に詳しい人のところへ向かうことになった。
さらなる貴薬草入手の情報と、先日貴子の里で見つかった貴薬草からエリクサーを製造する方法についての情報がないかと思っている。
以前、珠江がお会いした時は、その方はまだ漢方薬のお店をされていたそうであるが、最近廃業されてしまったそうである。
資料等が廃棄される恐れがあるので、それもあって急いで訪問した。
お店はご自宅と兼用だったそうで、まだそのお店の場所で暮らしているとの事である。
ご自宅兼の漢方薬店と聞いていたので、小さな薬局を想像していたのだが、実際に行ってみて驚いた。
すでに閉店されたと言っても、かなりの大きな薬の老舗であったことが判る。
この国では昔、漢方薬が医薬品を支えていたことが判るような大きな木造の建物だ。 店舗の隣には蔵もある。
店名を記した軒の大きな木製の看板や、どっしりとした建物自体はまだ残っているが、正面の板戸は占められていた。
俺たちは、奥にある玄関に回り、お邪魔しようとした。
驚いたのは、店舗建物に隠されたように、その裏に隣接して大きな近代的な建物があった。
そこに掲げられた社名看板から、こちらの建物は薬局の工場のようだ。
ただ、そちらも電気が消えており、薬局の閉店と同時に操業を停止されたように思われる。
江戸から伝わる万能丸薬などを作って売っていたとも聞いていたので、小さな工房で、一人の頑固な職人さんがゴリゴリと作っていたのかと思っていたのだが、もっと近代的な設備で製造をされていたようだ。
珠江がチャイムを鳴らすと、大きな玄関扉が開き、中からまだ若いご主人と思われる方が、閉店したはずの店の屋号が入った法被を着て出てきた。
「私、厚労省の宮守と申します。 先日富沢彦左衛門様に面会のお約束をさせていただいております。
彦左衛門さんは御在宅でしょうか?」
「伺っております。 遠路はるばるご足労様です。
私は孫の由彦と申します。
お待ちしておりました。 どうぞお入りください」
由彦さんは30代前半であろうか、優しそうなメガネの感じの方である。
俺たちは、応接に通された。
以前は多くの漢方薬の商談が行われていたのであろうその部屋は、広く大きなソファーセットが置かれていた。
お茶が出されると、ほどなくして由彦さんが一人の老人を伴って戻ってきた。
かなりのお歳の様であり、店が無くなり商売人として気が抜けたのか、どこかすこし寂しげな表情が感じさせられる。
ゆっくりと部屋に入り、由彦さんの介添えでソファに腰掛ける。
「以前、彦左衛門さんに漢方薬についてお話を聞かせていただいたことがある、宮守珠江ともうします。
ご無沙汰しておりますが、覚えていらっしゃいますか?」
宮守は、少し声を張り上げ気味に、彦左衛門さんに語り掛ける。
「ああ、大福帳に書き記してましたので、お電話いただいたあと、すぐに思い出しました。
こちらこそご無沙汰しております。 あの後も、調達の方には何度かご発注をいただき、誠にありがとうございます。
今回は、厚労省のお話ではないとお聞きしましたが、はて どのような事でしょうか?」
「ええ、ちょっと事情がございまして、今別件で動いておりまして、今はこちらの加納様と行動を共にしております」
「加納と申します。
本日は突然、大人数で押しかけてしまいまして申し訳ございません。
実は漢方薬について教えていただきたい事がございまして、彦左衛門様が大変お詳しいとお聞きし、本日お邪魔させていただきました。
これ、東京のお菓子ですが、皆さまでどうぞお召し上がりください」
「これはご丁寧に、ありがとうございます。
さて、漢方薬へのご質問との事ですが、本日はどのようなお話でございましょうか?」
「はい。
私たちはある薬草を持っているのですが、それと同じ薬草をもっと手に入れたいのです。
それを探しているのですが、こちらが薬草に詳しいとお聞きしましたので、それをご存じないかお聞きしたいと思っています。
それともう一つ、その薬草からある液薬が作れるそうなのですが、その方法が判りません。
実は、こちらのイザベラの友人が、その薬でないと治すことができない病気にかかっていて、何とかその薬が作れないかと、その製法を探している最中なのです。
それを作る薬草がほとんど残ってなくて、手元に実物があるうちに、もうすこし薬草を手に入れておきたいと考えています。
私達もここまでにいろいろ調べてはきたのですが、なにぶん資料が残っていない薬草なのです。
古い漢方薬をご存じであればもしやと思い、実際にその薬草を見ていただくため本日お邪魔しました。
もし何かのヒントだけでもいただけますと、助かるのですが...」
「それは奇特な。
ご友人のためにわざわざこんな辺鄙な所までいらしていただいて申し訳ございません。
既に私どもは店をたたみましたので、工場も動いておらず、たいしたお力になれそうもございません」
「私どもはこの地で400年以上漢方薬を作り続けてまいりましたが、その原料となる特別な薬草がなくなりまして、ついに作れなくなりました。
私も何とか現代的に薬が作れないかと、裏に大きな工場を作ったのですが、それが裏目となり残念ながら店や工場を閉じることになってしまいました」
由彦さんはそう言うと、下を向いて小さく震えていた。
「いや、別に孫が悪いわけではありません。 原料がなくなってしまった事がすべての原因です」
「お爺さま。 せっかく残っていた財産をすべて使ってしまい、それでも店を潰してしまったのは、俺に商才がないからです。
申し訳ございません」
あ、これって、なにかまずい空気になってきた。 俺、何か踏んだかな?
話を変えようと、
「とりあえず、せっかくですので私どもの薬草を見ていただくことはできませんか?」
そう言い、俺はサリーから先日貴子の里で見つけた箱をもらい、俺の割り当て分から、和紙に挟んだ一締めの薬草を取り出し彦左衛門さんに渡した。
すると、
「申し訳ございません、メガネがないとよく見えませんのでお待ちください」
そういって、薬草を由彦さんに渡すと、ソファにつかまって立ちあがり、覚束無い足取りでゆっくりと部屋を出て行った。
受け取った由彦さんは、その薬草をちょっと見て、ちょっと見て、そしてじっと見つめ、手に取りひっくり返し始めた。
光にすかしたり、匂いを嗅いだりと、なんか穴が開きそうに見つめている。
「加納さんと言いましたか?
あなた、これをいつ、どこで、誰から、いくらで手に入れられたのですか?」
お、何だいきなり。 おとなしそうだった由彦さんが、ちょっと豹変した。
里の話は絶対に秘密なので、そんなことが言えるわけはない。
「えっと、……」
俺が口ごもっていると、彦左衛門さんが眼鏡と大きな天眼鏡を手にして戻ってきた。
「お待たせしました」
と言って、座った彦左衛門さんの耳元で由彦さんがつぶやく。
しかし、彦左衛門さんは少し耳も遠いようで、
「はぁ? なんだって? 普通にしゃべらんと聞こえぞ!」
「これがぁ、例のやつと違いますか?」
由彦さんは、結局大きな声で彦左衛門さんに話す。
すると、渡された薬草を、眼鏡を掛けて、さらに天眼鏡でじっと見る。
彦左衛門さんは由彦さんを見ると、
「なぜぇ、こんな大事なことを、人前で大きな声で話すがか!」
ちょっと興奮しているか、二人のアクセントが少し聞き取りにくくなっている。
そう言いながらも、まだじっと薬草を見つめたり、ひっくり返してみたりしている。
「少々お待ちくだされ」
「あっ!」
俺が止める間もなく、彦左衛門さんは俺の薬草を手に持ったまま、急いで外に出て行った。
由彦さんに、俺の大事な薬草を勝手に持っていかれるのは困ると伝えると、
「多分、祖父は我が家の一番重要な資料が置かれた奥の蔵に行ったのだと思います。
戻るには少し時間がかかるかもしれませんので、ご一緒に行かれますか?」
「ええ。 あれは人に渡してはいけないものでして、もしよろしければお願いします」
「では皆さま、どうぞこちらへ」
奥に細長い屋敷を進むと、一度屋外に出るが、屋根のある長いわたり廊下でつながっており、次の屋敷に入る。
その屋敷の一番奥には、屋敷の内側に蔵の扉が付いており、そこが開かれていた。
そこには内蔵があるようだ。
内蔵は、家の中のある大きな耐火金庫と言ってもよいが、外からはそこの蔵があることは隠されており、よほど高価な物や機密を必要とする物を仕舞っていたようだ。
「祖父は、よほど慌てていたようですね。
ここは本当に特別な時にしか開けないのですが、このように開け放ったままにすることは普段絶対にありません」
普段は外の扉を開けて入った後、すぐに蔵の内側にある厚い木の扉を閉め、内側からかんぬきをかけるようだ。
「そんな場所に俺たちが入ってよろしいのですか?」
「ええ、多分先ほどお借りしています薬草が関係していると思いますので、ぜひご一緒にお入りください」
そこまでして外部から秘匿された薄暗い蔵の奥に、俺たちも入っていく。
蔵の中は、強い薬草の香りがして、沢山の棚が並んでいた。
蔵の一番奥には、蔵の中なのに、さらに大きな金庫が置かれていた。
それが全開になっており、彦左衛門さんが床に座り込んで、その周りの床には何冊かの和綴じの古文書がおかれていた。
彦左衛門さんは、その中の一冊を指で文字を追うように読んでいた。
「これよ。 これじゃよ。
なぜ、もう少し早く見つからなかったのじゃ
さすれば……」
「そうですか、やはりこれで間違いありませんか?」
「確かに、これは、すべて古文書に記載の通りじゃ」
「おじい様、ここでは何ですから、一度応接に戻りませんか?」
「あぁ」
由彦さんは、彦左衛門さんに肩を貸しながら立ち上がらせると、皆に戻るように促した。
「すみません。 祖父はすでに文献を見つけていたようです。
たびたび移動で申し訳ございません。 私はここを閉めて、後から参ります」
俺たちは、ふらふらしている彦左衛門さんに手を貸しながら、最初にいた応接の間に戻ることにした。
彦左衛門さん、応接に座り少し考えこんでいたが、ようやく話を始めた。
「あんたたち、加納さんといったかな?
これを、どうやって手に入れられなさった?」
「それは、今ここで話すことはできません。
それが何なのかご存じなのですね?」
彦左衛門さんは、また少しの間黙っていたが、顔をあげると話し出してくれた。
「これは…… 我が家代々で薬に用いてきた原料の薬草、多分それと同じものじゃ。
この我が門外不出、秘伝の古文書を見てくだされ。
ここ書かれている内容、そして描かれている何枚かの絵、どれもがこの薬草を示しているのじゃ。
私どもは、すべての薬草を使いきってしまったので、先祖から伝わりし薬の生産ができなくなってしまったのじゃ」
そう言われて、すぐにスレイト通信で貴子に聞くが、貴子は俺が見ている絵は、貴子が作った薬草ではないと教えてくれた。
そのとき、由彦さんとお茶を差し替えに奥さんらしい若い女性が入ってきた。
「すみません。
これは、この古文書とは違うようですが、本当にこの俺の薬草とこの絵が同じですか?」
由彦さんは、
私も何度もこの古文書を何度も読んでいます。
私もこれが、我が家の古文書に書かれた特徴と一致していると思います。
貴子にどこが違うかを聞くと、絵では私が作った物とは縛っている紐が違うと答えが返ってきた。
えっ!そこ? 一応念のためにそれを確認する。
「あの、絵のこの部分が違うと思うのですが?」
「ああ、それは単に薬草を縛ってあるものなので、薬草とは関係ないです。
この草の種類や大きさ、葉の特徴、特に葉や根の色などが細かく書かれています。
これと同じものは、私ども日本中、いや世界中探し求めました。
当然薬草の業者についても誰も知りませんでした」
だってさ、と貴子に話す。
でも、あの印こそが貴子が作ったオリジナルを示すのだそうだ。
と言うことは、だれか別の物が作っていると言うことだ。
「すみませんが、こちらで使われていた薬草は、いつごろまで仕入れられていたものですか?」
彦左衛門さんは、やはり少しの間黙っていたが、
「それが、よくわからんのじゃ。
わしも、わしの爺さんが先代から譲り受けた時、最後となる薬草はまだあったのじゃが、その先代も更なる先祖から譲り受けたものらしい。
どうも数百年前には、私の祖先はそこそこの量を入手しており、それが代々にわたって使われてきたようじゃ。
一株を煎じれば、裏の工場にある大きなタンク、樽にするとおよそ十杯分の薬液を生み出せる。
そうさな、今の単位で言えば6万リットルくらいじゃな。
1個の丸薬には、その薬液が1滴もあれば多いくらいなので、これまでも手作りで有ったので、材料も何とか保ってきたのじゃが、近年丸薬が効くと言って人気が出たために裏に工場を作ったため、残りの原料が一気に無くなってしまったのじゃ。
これは製造方法を、当主が代々一人の後継者にのみに伝えてきた為の弊害じゃった。
まさか、孫は、由彦は原料入手が途絶えているなんて知らんから、新しい工場まで建て量産できるようにしたため、あっという間に最後に残った薬液を使い切ってしまったのじゃよ。
新たな薬草が見つからない限り、いずれにしても我が薬店が終わるのは時間の問題であったのだが、ただ、ただそれが早くなったというだけで、孫のお前に責任は無い」
「加納さん、我が薬店はすでに一度閉じてしまったのですが、それを、その薬草を我が薬店に譲っていただくことはできませんでしょうか?
もちろんそれなりのお支払いは致します。
加納さんがお探しと言うことも理解したうえで、何とかお願いできないでしょうか?」
由彦さんがそう言うと、さきほどお茶を差し替えに来た奥さんも、頭を床につけて、お願いしてきた。
ああ、これやばい奴だ。 どうしよう。 と、珠江を見るが、彼女も困っている。
すると、ここまで静かであった貴子が、
「条件によっては、それを譲ってやっても良いぞ」
え! 婆さん勝手なことを言い出した。
あぁぁ! しまった! 忘れていたけど、この薬草は確かに貴子の物だ!。
生産者及び真の所有者本人が生きて出て来たんじゃ、うん、今は所有権は貴子だな。
完全にそこを失念してた。
「貴子、これでエリクサーを作って送ってあげないと、イザベラの友達が死んでしまうのだよ!」
「ああ、すでにお前が分けてあげた分については、それは知らん。 勝手に使えばよい。
でも、今そこにあるそれは、わしの孫の取り分らしいから、それは当然わしの物じゃな。
それで問題ないんじゃろ、慎二?」
今まで黙っていて、いきなりの婆さん言葉で、正論を言ってくる。
はい。その通りです...
「あの、お孫さんって? 慎二さんのお孫さんなのですか?」
「いえ、俺はまだ結婚はしていません」
それで、それは聞き間違いかと思ったようで、由彦さんは話を続けてきた。
「それで、お譲りいただく場合の条件なんですが、どのような事なのでしょうか?
私どもは、商店や工場がすでにつぶれてしまっています。
自己資本でしたので、借金はそれほどなかったため、他で持っていた土地の売却で何とか凌ぎましたので、現金はそれほど残ってはおりません」
「お金などはいらん。
それより、この慎二は、先ほど話したように、ある薬を至急作りたいと願っている。
それをお前たち薬屋で手伝ってやってくれ。
こちらで作りたい薬には、その残った分から、お前さんにあげると言うことになるがな?
失敗すれば、渡す分がどんどん減るぞ!」
「ええ、そんな!
その薬の作り方が解らないので、我が商店にいらしたのですよね!」
「それが嫌であったら、よそに話を持って行くだけだから、薬草は渡せぬ」
意外とこの婆さん、駆け引き上手だ。 幼女だけれど。
しっかりと場を仕切って、勝手に話をまとめてしまった貴子であった。
「何、わしはこの後も薬草を探すから、以前にわしが作った分はお前らが研究に使うがよい」
「えぇ!これはあなたが作った物なのですか?」
おいおい、そんな重要なこと本人が漏らしちゃって。
どうするの?
「すみません。
今日の内容はすべてオフレコでお願いします。
まあ、こちらの商店さんにとっても、薬草の事は最大機密のようですからお互いさまと言うことで……
薬草が手に入れば、差し押さえはされていないので、工場も再開が出来そうですね。
まあ、薬ができればって事が条件ですが」
幼女が老婆の話し方って、ギャップ萌えですね?




