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3-05-01 解約

 ようやく、国家計画への最初のお金が手に入りそうです。



 昨日は何かお金のことで明け暮れた一日となってしまった。

 こうして、当面の活動費用としての現金を、唯華から無事に受け取ることが出来た。

 外務省としても、市中価格より少し安めに入手できたので、お互いにメリットはあったようだ。



 そして、無事? 昨日で俺の退職の手続きも終わり、いよいよ俺も無職の仲間入りである。

 俺達は、さらに今日午前中にマンションの明け渡しを行う。 そう宿無しでもある。


 普通だったら、引っ越し前夜の部屋というものは、段ボール箱だらけで大変な状態になる。

 引っ越し屋さんが来ると言うのに、まだ何もできていない!などよく聞く話だ。



 少し早いが、今朝は7時前起床で行動開始する。 まあ、なぜか毎朝早いですね。


 3人とも自然の太陽の周期に合わせた生活をしているようで、この世界以外の人たちは、早起きである。

 そう、特に夏は早起きなのだ。 太陽が中心の生活であり、人間が決めた時間という物に縛られているのではない。



 マンション解約当日の朝だというのに、俺の部屋中には今までどおり、普通に生活用品が残っている。

 引っ越しの準備など全く始まっていない。

 と言うより、引っ越しが決まってから数日しかなく、その間も俺達には準備する時間はどこにもなかったのだ。


 不動産屋の解約通知は唯華から先週してもらってある。

 そして、電気やガスなどは、今日の午前中で止めてもらうように連絡してある。

 なので、嫌が上でも、こことは今日でお別れだ


 この町は結構気に入っていたのだが、いきなり離れる事になり、一抹の寂しさがある。


 そういえば、カジュアル洋服屋さんにも世話になったな。

 今この娘たちのお気に入りの服であり、良い見立てをしてもらって、いまやどこに行ってもしっくりと溶け込んでいる。

 また、ストレージの沢山の食べ物も商店街の皆様お世話になりました。 どれも、これも美味しかったです。



 皆で順にシャワーを浴び、着替えをはじめる。

 ヘアドライヤが1台しかないが、マリアが魔法の風と乾燥で乾かしてくれている。

 以前と比べると魔法力が強くなっているので、加減が変わってしまっているので、慎重な調整が必要になるらしい。

 なので、風と乾燥ような小さな魔法を連続して使用することで、チカラ加減の練習を行っているらしい。


 マリアの病気は完治と言ってよく、今マリアは魔法のリハビリを行っている。

 体内のエターナルの流れを阻害する因子が無くなった為、効率が上がったというか、ほとんど無駄なマナは消費しないとのこと。

 マナ溜り自体も快調なようで、今は安心して俺がたっぷりとチャージをしている。

 まあ、俺無しでマリアだけでもエターナルを取り込めるようになっているが、東京は貴子の里ほどエターナルが強くないため、俺と手をつなぐ方が効率が良いようだ。

 急速充電器だな、俺は。




 貴子と真希もいるので、ここ数日は6人の雑魚寝暮らしである。

 さすがに6人が生活するには部屋が狭い。


 なので、朝ご飯は全員がゆっくり座って食べるテーブルが足りないので、シャワーや着替えが終わった順にトーストとドリンクをそれぞれ食べてもらう。

 バターと、この前スーパーでいくつか買っておいたイチゴジャム、ピーナッツバターなどはご自由に。

 ちなみに俺は、パンには牛乳派だ。


 出社時の朝の時間を少しでも稼ぐために、トーストはなるべく早く焼ける事が基準で選択し、ちょっと高かったがグラファイトヒータタイプを買っておいてよかった。

 これは高温のヒーターでパンを短時間で焼くことで、外はカリッとしているが、パンの中の水分が蒸発する前に焼きあがる。

 そのために、単に早く焼くだけではなく、表面を焼き固めたレアステーキのように、トーストがとてもおいしく焼ける。

 高温に耐えられるように設計されているので、人数が多い今回は、その威力を発揮した。


 朝食も順に済んだので、いよいよ引っ越しの準備にかかる。


 せめてもの幸いは、これだけ娘がいても、真希を含め、誰も化粧をしていないから準備も早い。 あ、貴子はまだ含めないでいいから。

 姫であるマリアは自分の世界ではどうしていたんだろう。

 この手の話題は触れると大変な話となりそうで、怖くてちょっと聞けないな。



 まずは電化製品のコンセントをすべて抜く。

 テレビは電源の他、アンテナケーブルや録画HDDをはずす。

 ノートパソコンは、室内は有線LANのケーブル類も抜く。 これはPCラックごと収容予定。


 真希は、ドライバーを使って、洗濯機から、水道のホースや排水ホースを外す。

 真希がいて助かった。 これって、残りの人たちでは、この作業を見ているだけしかない。 貴子は力が無いし。


 イザベラは興味があるようで、真希を手伝っている。

 ストレージに入れる時、ケーブルやホースが継ながっていると、後で大変な事になりそうなので、最初に離しているのだ。


 ケーブルを外した電化製品は、マリアの魔法で、一度湿らせて塵やほこり、油煙など汚れを浮かせ、水分と共に外に吸い出して集めてもらい、クリーンにする。

 まあ、そのまま収容しても良いのだが、今度使うときに出したとき、綺麗な方が気分的によい。


 事前の準備が終わった寝室から、どんどんストレージに収容していく。 この作業は早い。 一瞬だ。

 あっという間に、コンテナボックスやベッドなどすべてが無くなる。

 少ない収納のクローゼットの中も忘れずに収容、収容。


 終わった後は、マリアの魔法で床や壁、天井に着いている汚れを同様にクリーンしてもらう。

 単に掃除機で吸うのと違い、水分を加えて汚れを溶かし込んで吸い出しているので、洗濯したように汚れを落とす効果がある。

 最後汚れが無いか、残った人で点検をする。


 寝室が終わったら、風呂、トイレ、キッチンを収容し、キッチン戸棚の中も収容。


 風呂やキッチンの小物や道具は、あらかじめ一纏めに置いてもらってある。

 そして、やはりマリアさんのお仕事。

 この辺は人数がいると、皆で出来て収容も簡単に終わる。


 そして、冷蔵庫や洗濯機など大型家電を収容する。

 冷蔵庫は注意しないと、引っ越しの際中身を空にするのは当然としても、電源を切ると内部の霜などが解けて、運送の際に傾けると水が出てくる場合がある。

 ストレージ中は安定に移動できるので、電源を切った直後の冷蔵庫であっても、そのまま収容しても問題ない。


 キッチンの水回りに魔法をかけてもらうと、元の金属の輝きが戻ってくる。

 こびりついている水垢を手で擦っていたらと思うと、マリアに感謝。


 必要な靴を残し、玄関周りの収容も完了。


 最後にリビングのテレビやソファー、テーブル、カーペットを収容するとすっかり広くなった部屋が現れる。

 畳は無いので、色が変わった部分は無いようだ。


 不動産屋さんと、最初にこの部屋を内見しに来た時を思い出すな。


 最後に床と、窓ガラスの汚れを魔法で綺麗にしてもらい終了である。 本日は大活躍のマリアさんでした。

 俺はタバコは吸わないが、それでも壁紙の汚れは少しあった様で、すっかり綺麗になり、まるで新築のようだ。

 魔法恐るべしだな。


 あとシーリングライトやエアコンは設備なので、そのままであり、これで俺の持ち物、すべての収容が終わった。、

 ストレージとマリアの魔法が復帰していたことに感謝する。


 不動産屋が開くまで時間があり、急ぐことは無いので、のんびりの引っ越し作業であったが、1時間もせずにすべて終わった。

 ストレージと魔法のおかげで、考えていたよりも早く終わった。


 ここで気が付いた。 俺達、引越し屋でも食っていけるな。


 本当の最後に、ガスと水道の元栓を閉め、電気のブレーカーを落とす。

 普段触らない元栓がある事を話し、仕組みを娘たちに説明しておく。


 最後に玄関に差し込んである名札を抜くと引越し完了だ。



 まだ9時前であるが、商店街にある不動産屋に連絡すると、開店前なのにすぐに立会いに来てくれた。

 特に室内は問題ないとのことで、退去完了だ。

 書類手続きは先週末に済ませてあるので、ここで鍵を返す。

 急に解約することになったので、清算は違約金と敷金とで相殺することにした。


 3人娘たちが初めてこの世界にやってきた場所であるこの部屋に、皆で感謝の礼をして、マンションを後にした。

 俺は5年以上住んでたので少しさみしい思いだが、感傷に浸ってるのは俺だけだ。


 駅前の商店街まで不動産屋の人と一緒に戻り、店の前で最後の挨拶をする。

 すると不動産屋さんの中から、スミマセン、スミマセンと謝りながら出てくる人がいた。


 引っ越しは、それまでの生活の区切りであり、新しい生活への始まりです。

 寂しくもあり、また新しい生活への不安もあり、人生の1つの転換点です。

 今は優秀な業者さんにより、簡単に引っ越しが出来るようになりました。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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