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3-03-02 宮守珠江とその一族

 慎二たちは、宮守珠江の招待で、山陰にある 始まりの里 を訪れました。



 私は、宮守珠江。

 現在、宮内庁に勤めており、特別な任務のために厚生労働省へ出向中です。

 私の家は、1400年近い歴史にわたり、御帝に仕える地下(じげ)の一族の末裔です。

 地下は昇殿が許されていない陰なる廷臣の身分です。


 古文書によると、私どもの先祖はこの山陰地方の貧しい寒村の出身です。

 ある時、大きな白狼と一緒にいた女の子が膝にけがをしており、私の祖先が薬草で治療してあげたそうです。

 この村の近くの山では多くの薬草が取れるために、薬草は豊富に手にないったそうです。


 お礼として、何かほしい物があるかと問われたそうです。

 貧乏村であり、高価なものは見たことすら無いため、その時女の子の首にかかっていた綺麗な首輪を見つけ、それが欲しいと言ったそうです。


 しかし、これは贈られたものなので渡すことができないといい、これを作る為の材料を渡そうといわれ、目の前に一山の金属が現れたと伝わっています。

 祖先は、その金属の一部を神社に奉納したそうですが、それが白狼から授かったものであると聞くと、たいへん驚かれたそうです。

 そして神社は、(たたら)を持つ鍛冶屋に、その金属を託し、剣と鏡を作ってもらったそうです。


 古文書に書かれた鍛冶師の話によると、硬くなったり柔らかくなる、変わった金属だったと記されています。

 それを芯に入れて打った剣は、あらゆる金属をも切ることができたため、妖刀と呼ばれました。


 また、その金属を表面に使った鏡は、すべてがくっきりと映る素晴らしい鏡で、その当時の銅鏡とは明らかに別物であったそうです。


 我が先祖は残った金属を神社に売り、買い取った神社は鏡や剣のほか様々な神具を鍛冶師につくってもらいました。

 そして、それを皇室や他の神社に売ることで、当時としては莫大な富を得たそうです。

 村人たちは、大きな富に感謝し、女の子にお礼を差し上げたいと話すと、この地に小さな祠を作って、それを管理してほしいとお願いされたそうです。


 その金属は火廣金(ひひろかね)と呼ばれる事になり、また白狼様にすがればとなんとかなると考えていた祖先たちは、すべての火廣金を使い果たしてしまったそうです。


 火廣金を保管していた蔵から、小さな金属の破片が挟まっているのが発見され、今、それが唯一長老の元に伝わっています。

 ただ、その破片が見つかった時点では、それが火廣金かどうかを見分けられる人たちは、すでに亡くなっていたそうです。

 そして、多くの時間を経たため、火廣金についての記録は残っておりません。


 皇族で代々伝承されているいくつかの秘宝の一部は、その時に我が一族と神社により奉納されたもののようです。


 それがご縁で、宮守一族は御帝に仕える地下の地位を与えられ、その役目としてこの地のこの社を守る事が言い渡されたです。

 これが白狼伝説であり、私達宮守一族とこの神社と皇室との繋がりの話です。



 私達宮守家の一族は、山陰の地に残るお社とともに、白狼伝説にまつわる白神様の伝承とその社を守リ続けてきました。


 白神様がこの地を去り、黒妖と共に新たな地に降りたたれた為、新たな地にこの神社の分祀が建てられました。

 それが、1000年ほどの前であり、先日ご訪問いただいた神社、八神様の神社です。

 白神様は黒妖に宿ると言われていますので、神様が離れてしまったこのお社を、私どもは守って参りました。


 なんと、その白神様が1000年の時を経て、再びこの神社を訪ずれて頂けることになったのです。

 そうなのです! 白神様は、単なる伝説などではなく、生き神様だったのです。


 私はたまたま、白神様がお姿を見せられる機会に接し、これまで伝説として伝わってきた神話を実際に白神様よりお聞きすることが出来ました。

 そのお話から、白神様は5000年と言う悠久の時の流れの中、スレイトのヘルパーと言う存在であり、各時代のマスターとなられる方と活躍されて来たそうです。

 そして、今加納貴子様がマスターであられ、その孫の慎二様が、山中で生まれ換わられた貴子様を保護されていらっしゃいます。



 私は、その貴子様達にお付きさせて頂き、慎二様のご寵愛をいただける事となりました、

 そして本日、その私のお願いにより、白神様に本殿への還幸をいただくを快く受けて頂きました。


 私たちは、始まりの里と呼ばれる山の地を軽く調査し下山後、レンタカーで本殿へと向かいました。

 本日の夕方の飛行機で慎二さんは東京へ戻る必要があります。

 本殿ではぎりぎり2時間ほどしか時間が取れませんので、急がないといけません。


 神社に着くと、紅白の幕がすべてに掛けられており、何か大きな祭りでもあるかのような雰囲気です。

 車の到着と共に何人もの神官服を着た人たちが社殿から駆け寄り、昨夜のスマホ以来、準備して待ちかねていたようです。


 私は、その方たちの出迎えの後、社殿では銅鑼が打ち鳴らされ、雅楽が演奏される中、厳かに? 社殿へ入りました。

 もともと私自身は東京生まれの東京育ちですので、この神社とそれほど深く結びつきはありませんので、予想こそしていましたが、ちょっとびっくりです。


 本殿では、宮守一族の長老様が待っており、加納様たちへのご挨拶があり、私への労いが続きました。


 私からは最初に、先ほど訪れた始まりの里の報告を手短に行いました。

 神社の人間は入ることが出来ない白神様と従者がいた場所であり、長老など宮守家の一族が何百年も知りたかった場所のことです。

 普通であれば、これが一番大きなニュースであるはずです。

 そして陛下から(ねぎら)いの御言葉をいただいたことを、改めて私の口からお伝えしました。


 その報告が終わると、恐れ多くもと、例のお願いがあり、待ちかねた白神様のお出ましとなったわけです。



 まあ、ここで神社での話を詳しく語りますと1冊の伝記になりそうですので、いや本当になると思いますが、ご想像の通りです。

 ただ、時間が限られているため、なにとぞ、なにとぞと引き留める長老様をズバッと切って、私たちは帰路に向かうこととしました。


 最後に長老は慎二さんに、


「珠江をどうぞよろしくお願い申し上げます。 慎二様との稚児(ややこ)を楽しみにお待ちしております」


 それは神様(慎二)頼みですね。


 いや、私はお泊りでも良いと思っているのですが、早く早く!と、横で西脇がストップウォッチを握っています。


 空港で借りたレンタカーを返す時間すら既に無いので、この辺の道に慣れた神社の若い方の運転で車を飛ばし、返却手続きも彼にお願いし、私たちは搭乗口にギリギリで駆け込みました。

 飛行機の中、貴子様は真希さんの膝の上で既にお眠です。


 皆様、ありがとうございます。


 大変意義ある、良き一日でした。

 東京で暮らす私や宮守一家としても、これで里への義理を還すことが出来ました。

 これにて、宮内庁 宮守珠江から、加納貴子・慎二様の側仕えにジョブチェンジさせていただきます。


 お疲れ様でございました。


 かなり、きついスケジュールだったようですね。

 今日はゆっくりとお休みください。


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この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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