3-02-09 語られる計画
新たな仲間が加わり、いよいよ国づくりが待っています。
でも、イザベラの問題は残っていますね。
ということで、すぐに行えるものからでも計画を進めるとしよう。
まず、既定の事項として、俺は退社し、今の賃貸マンションを引越しする必要がある。
これから仲間が増えることが出来るように、人数が多くなっても生活が可能なような家も必要となる。
今俺たちは無職となり戸籍もない。
そんな状態で、家探しは困難を極めると思われるので、引っ越し先は唯華経由で、外務省に丸投げすることになった。
元々今回の引っ越しは外務省からの要請なので、転居にかかわる費用などもすべて彼ら持ちである。
住まいへの要望は唯華に伝えてあるが、選定などにしばらく時間がかかりそうなので、俺たちは当面根無し草となりそうだ。
すぐやる事として、続いて貴薬草の確認がある。
これは、季節的に夏である今のうちに行わないといけない。
秋になると貴薬草は枯れてしまうため、発見は更に困難を極める。
そして、貴子の里が使えないことの確認ができれば、薬草栽培の可能な新たな土地を探し、薬草畑を作る必要がある。
これは貴子でないとできない事である。
しかし、貴子は体が幼女であるために、真希と珠江にサポートをやってもらう。
過去のマスターの栽培地などは山地が多く、車が必要と思うが、真希と珠江は二人とも運転できるので、国内の野山を巡るにはちょうどよいだろう。
あ、でも珠江はまだしばらく厚労省に勤めるのかな...
それと、野山だったら、キャンピングカーでも借りるかな? この辺の手配は、真希にまかしておこう。
あぁ、それに貴子はこれまで使ったことが無かったようだけど、今後はスレート通信も使えるしな。
あと重要な事として、まだ皆目見当がつかないエリクサーの製法だ。
まだ、イザベラやマリアの世界からの返事はないが、早く取り掛かる必要がある。
ただ、原料となる貴薬草が限られており、また極秘で進める必要があるために、信頼おける相手が必要だ。
大学か企業の研究施設との共同研究作業が必要かなと思っている。
それと、国を作る為には、仲間がさらに必要だ。
秘密を保てる人がいる。 技術を持った人がいる。
あとは、パラセルの開示だな。
これについては慎重にせねばならない大きな理由がある。
「皆さん、これから重要なことについて話をします。
多分気が付いているかもしれませんが、サリー、マリア、イザベラは普通に日本語をしゃべり読み書きができています。
これは最初からできていたわけではありません。
また、彼女たちが日本語を習得しているわけではありません。
あ、いや、彼女たちは日本語を勉強していますが、本当は今のように流暢に喋れるわけではありません。
一部の方には黒妖と言った方が通じやすいかと思いますが、俺がスレイトという物を持っています。
これは、単にモノを収容するものではありません。 それはストレージと呼ばれる1つの機能でしかありません」
「なんだ、あれは奇術じゃなかったのか!」 と真希。
「なんじゃ? それ!」 と貴子。
貴子さん、婆さん言葉に戻っているよ。
「え? 貴子はストレージを使っていなかったの?」
「シーは聞かれて事以外は教えてくれないから知らんわ」
「でも、貴薬草を売るときには、ストレージに収納をしていたのだよね?」
「うん、してた」
言葉が戻った。
「その時に収納していた場所がストレージだよ。
そこには何でも収納できるんだ」
「あそこは、売る物を入れる箱じゃなかったのか?」
「アーによると、スレイトの機能は自由に使っていいんだって聞いているよ。
それはすべてがパラセルの販売につながる行為で、すべて無料で使用できると聞いているけどなぁ」
「シー! そうなのか?」
そう言うと、久々に小さなシーが現れた。 このサイズだと。かわいいペットキャラだな。
『そのようなストレージの使い方はワレも初めて聞いた。
ちょっと待て。
了解。
やはり、その情報で正しいようだ』
「アー! お前はどうしてそんなことを知っていたんだ?」
『いえ、私は慎二さん達から言われて、ストレージに荷物が収納できるかをパラセルに確認しました』
「どういうことだ?」
「あのー、それサリーが私の父が家の商品をストレージに収納しているって言ったからじゃない?」
「そういわれてみれば、そうなのか?
でも、今となってみれば、無くてはならない機能だな。
そういうわけだ、貴子」
「そう言われると、ワシは今までずいぶん損した感じじゃ。
そう思わんか、シー」
『ワレは、マスターの疑問や質問を解決するヘルパーだ。
マスターが疑問を持たねば、パラセルへ質問のしようがない』
ああ、これが以前に聞いたスレイトマスターがヘルパーを育てると言うことか。
きっとシーの先代のマスターは、誰もこれに気が付かなかったんだな。
でも、空間派生とか、とんでもない事はやっていたのにな。
本当に知っていたのはサリーのお父さんだけか。 感謝だな。
「あ、皆さんは無しが飛んでしまいました」
「慎二さん、それがあなたのヘルパーさんなのですね! かわいい!」
あ、しまった! アーは3人娘以外にはまだ隠していたっけ。
まあ、今日はいい機会だな。
「皆さん、改めて紹介します。 これが俺のヘルパーであるアーさんです」
『アーと申します。
いつもこのおバカな慎二に気をかけて頂き、誠にありがとうございます。 ペコリ』
「こういうやつです。 と言うのも、ちょっとツンデレな設定にしていますので、時々とんでもない話し方をしてきています」
「そういうのが慎二さんの好みなのですね。 ふふーん」 と、珠江さん。 何か変なこと考えていない?
「ところで、俺たちは普段見えないアーと口に出さずに話をしています。
これはスレイトを経由した通信が行われており、スレイト通信と呼ばれています。
スレイトのメンバーと呼ばれるものに設定すると、マスターである俺と、メンバーはスレイト通信が使えるようになります。
また、3人が日本語を使えているのもメンバーによりスレイトの翻訳機能が使えるようになったからです」
「それって、テレパシーみたいなものなの?」
「テレパシーがどのようなことが出来るか分かりませんが、これは会話以外にもイメージしたものを共有することが出来ます」
「えー、そうだったんですね。 だから山のの計測でも、トランシーバなしで会話できていたのですね」
すみません。 真希さんの洞察力は大したものです。
「それって私でもできるの?」 と唯華。
「メンバーに加えることはできるのですが、それは大きなリスクが同時に発生します。
なので、女性の方、特に国の機密を扱う方にはお勧めできないのですが」
「それは、どのような意味でしょうか?」 と珠江。
「マスターはメンバーのすべての感覚を知ることが出来ます。
それは視聴覚のほか味覚、嗅覚、触覚などすべてがマスターに共有されてしまいます」
「キャッ! それってすべてなの?」
「はい、すべてです」
「あなたたち、それで平気なの?」
「サリーは慎二の奴隷ですし、何も隠し事は無いので平気だよ」
「私も、慎二さんになら問題ありません」
「わたくしも、常に彼とは一心同体ですわ」
「あぁ、そうなのですね……
メンバーと言うのは、そこまでの覚悟が必要ってことね。
確かに、検疫で見聞きした情報をそのまま外部に流していたとなると、それは大問題だわね」
「そうですね。
特に外務省の機密情報は厳しいでしょうね」
「でも、厚労省を辞めたら私もメンバーにいれてほしいな。
だって、私は慎二の側室ですもの」
「えっ! 宮守は平気なのですか?
その、すべてを見られてしまうことになるのよ?」
「愛人の関係ってそういう物でしょ?
お互いに恥ずかしいところまでを見せあって」
「そうね、私はまだそこまではの覚悟ができていなかったってことね。
慎二さんはそれがわっているから、私はまだ寵愛が受けられなかったのね……」
唯華さん、そこは違うから。
「あの、私はどうしたらいいのでしょうか?」
「そうですね、真希さんはどちらでもいいですよ?」
「でも、それって周りで笑っていても自分だけは判らない。
仲間外れにされたようで、ちょっと寂しいですね」
真希はそう言うと、サリー達に向き直り、
「あの、私もメンバーに加わっていいのか?」
俺にではなく、すでにメンバーである3人に聞くあたり、真希らしい。
「真希だったら、サリーは歓迎だよ」
「私はすでにメンバーのような気でいました」
「わたくしは... 恥ずかしいのは最初だけですが、これは慎二さんと心身ともに一緒になると言う事ですので、一生その覚悟が必要です。
また、メンバーは一人ではありませんので、それは慎二さんを独占できないと言うことでもあります。
真希さんは、まだこれから別の殿方と良い仲になるかもしれません。
ですので、最終的には真希さんの意思によると考えますわ?」
「マリアさん、ありがとう。 何となく雰囲気は伝わった。
メンバーになるという事は、1組の夫婦というよりも、沢山いる愛人の一人になるくらいの考が必要なわけだな。
うーん。 どうするかな?
こんな私だがメンバーに加えてもらえるか?」
「アー、原田真希をスレイトメンバーに登録してくれ」
『了解しました。
原田真希はメンバー登録を希望しますか?
原田真希をメンバー登録します。
原田真希のメンバー登録が完了しました』
こうして真希もメンバーに加わった。
「シーよ、メンバーやスレイト通信なんても、わしは聞いておらんぞ」
『マスターはずっと一人であったから、それらは必要が無かったからな。
しかし、マスターは、慎二が子供の頃にメンバーに入れているぞ』
「加えた事は覚えていないが、野山を一人で遊ばせていたからそうかも知れぬな」
まだいろいろと話すことはありそうだが、明日は早朝から珠江の招待に付き合う必要があるために、続きの話は次回とした。
いよいよ真希がスレートメンバーに加わりました。




