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3-02-08 仲間達

 宮内庁の2人からの爆弾宣言があった後、皆はお風呂から帰ってきました。



 俺達仲間全員が今ここにいる。

 誰かが大浴場など、どこかの施設にふらふらと行く前に話をすることにした。


「俺たちの、これからについてなんだけど……」


 ここには、秘密を共有する仲間がいる。

 俺 加納慎二、サリー、マリア、イザベラ、加納貴子、原田真希。


 そして、本題である西脇唯華、宮守珠江の二人。


 俺はさっき、地下(じげ)の二人から言われたことを(まと)めて話した。


 すると、いきなり珠江が


「このたび、慎二さんに正式に側室としてご寵愛を賜ることになりました。

 今後お仲間に加えさせていただきます」


 と三つ指をついて皆にお辞儀をする。


 ひっ! いきなり君も火にガソリンを撒かないでほしい。

 こうして、ひと騒ぎあった後、サリーが


「唯華さんへのご寵愛は無いの?」 って、サリーが聞いてくる。


 君はご寵愛って意味わかって聞いているの?


「私は、今しばらくお預けになってしまったの」


 ちょっと寂しそうな西脇唯華であった。


 しっかりと外堀も内堀も埋めてくる宮守珠江と比べ、この人は脇が甘いのかな?

 まあ、危なげさもあって、その方が可愛くも見えるけどね。


 やはり慎二は、基本的におバカなようであった。


 それから、3人娘と貴子について、特別なIDを外務省から貰ったことを話し、俺までも日本国籍から切り離されたことを話した。

 ここにいるメンバーは一緒に行動しているので、既に既知の話であるが、あえて順にきちんと話す。



 俺がスレイトを手に入れたことが世間に伝わると、かなりまずい事になるとのことになる。

 そのため、俺は今週金曜日、そう明後日(あさって)で会社を退職する事を伝える。


 そして退職後、すみやかに俺は現在の住まいを引き払い、新たな住居を探すことになる。

 空間に歪を発生させたマリアとイザベラが追跡されないように、住んでいた場所から10km以上は離れてほしいとの事である。


 引っ越しは土曜日を予定しており、先ほど不動産屋さんには急遽電話を入れたら、すでに外務省経由で連絡が回っていたようだ。 不動産屋が何事かと驚いていた。

 急な退去なので1月分の家賃が余分に必要になるらしいが、引っ越し費用はいずれにしても外務省持ちなので問題ない。

 あと、電気、ガス、水道の停止手続きもあるが、こちらの手続きも併せて外務省にお任せにする。

 固定電話は無いので問題ない。


 あとは住民票の移転だが、これはどうせ抹消されるから、やはり唯華に相談だな。



 いずれにしても、狭い俺の部屋で4人の生活はすでに無理だ。

 あぁ、そこに貴子も増えるのか。 あ、すると真希やあと二人も?

 あとの二人はとりあえず東京に自宅があるようで、大丈夫なようだ。


 まあ、貴子は独り立ちできる容姿に成長するまでは、俺が面倒を見るしかないな。


 ここで真希が手を上げる。


「あのー、もし良かったら私も同行させてくれないか?

 今回君たちについてきたのは、実は東京に逃げ出そうと思っていたのよ。

 家は結婚して家を出ることしか言わないし、私も役所を退職させられて、いま収入的にも自活できるギリギリなんだ」


「はいはい、真希さんはすでにその予定に入れてありますよ」


 今更の質問であったが、そういえば真希については本人不在で進んでいた。


「えっ、そうなのか?

 これまで通り、貴子さんの世話は私がするので、今後ともよろしくお願いする」


「あ、貴子様は私も担当するわよ」


「えっ、珠江さんは慎二さんの愛人じゃなかったのか?」


「愛人は私が勝手に言っているだけで、冗談よ!

 真希さんったら、本気にしちゃっていやですわ。

 しばらくは側室としてのご寵愛だけですよ」


「あら、そうだったのね。

 側室としてのご寵愛だけだったのですね……」


「もう、宮守ったら話を混ぜちゃって。

 えっと、話は慎二を中心とした私たちのこれからについてだけど、話し合いをしておきたいと考えています」


 まあ、これが今の俺たちの現状だ。

 ここは唯華がきっちりと仕切るようだ。


「まず、サリーさん、マリアさん、イザベラさんというこの世界にいらした異次元人の方がいらっしゃいます」


「えっ!」


 ここで、既に話についてこれない真希さん。

 そこですか。 そういえば、まだそれすら説明して無かったかな?

 えっ! 貴子も同じですかい。


「彼女たちは、別に宇宙人ってわけじゃないよ。 別の次元の地球から来たので、この世界での戸籍が無かったのさ」

 俺が説明をする。


「それで、いろいろなことを知らなかったのですね! 何か謎が解けた気がします」


「では続けます。

 私と宮守は、本日訪問した陛下のおられる宮内庁の職員です。

 そして、内密に白神様を探す仕事をこれまで担ってきました。

 そのために、宇宙人の方や異次元から日本に来られる方に対応する部署に出向していました。

 そして貴子様のシーさんに出会うことができ、何代にもわたる天皇家からの至上命題が解決できたと思っています」


 そう言われると、お昼を一緒にした陛下の事を思い出していた。

 ずいぶん昔に思えるが、それって今日の事なんだよね。


「しかし、日本に残された異次元人の方について、いま日本の難民法などでは全く考慮がされていませんし、今後も日本の法律が変わることはないと思います。

 一応特別な身分の保護を日本政府から取り付けてはありますが、サリーさん、マリアさん、イザベラさんがこれからも生活していく上ではこの世界の国では難しいのです。

 いや、処刑されたりなどと言う意味ではありません。

 言うならば、異次元の方と言うのは、各国が奪い合う貴重な存在であり、戦争の火種とすらなりうるのです」


「それ、サリーたちがこの世界に来たことで、何か悪いことになったのですか?


「いえ、そうではありません。

 しかし、多くの国では外の世界と独自の通称ルートを欲しています。

 その可能性があるために、異世界からの人たちが注目されているのです。

 現に今回異次元の方を発見するにつながった観測機器も、その異世界から導入されたものなのです」


「私の考えは、今の世界の国の法律で、異次元からの人を守れないのであれば、それができる新しい国を作れないかという物でした。

 新しい国であれば、法律も自由に作ることが出来ます。

 戸籍もその国で作ることが出来ます。


 誰が作るかについては、慎二さんを中心に考えています。

 あとは、異次元人も一緒に暮らせるその国を、いつ、どこに、どうやって作るかだけなんです。


 そして、王様には一夫多妻制の法律も作りますね!

 これさえあれば、私達全員が奥さんであっても合法です。 ふふ」


 ひょっとしてこの計画って、やはり最後の一言が本音なの?

 さらっと流したが、どこに、どうやっては簡単じゃないぞ。


 唯華の話す感じで、5W1Hでまとめてみるか。

 5W1Hとは、WhoだれがWhenいつWhereどこでWhatなにをWhyなぜHowどのようにをすべて混ぜて話を説明することで、重要な点を漏らさずに伝えることが出来る。



 順番は替わるが、5W1Hに当てはめると、


 なぜは、今の世界では、異次元人たちの安全な生活が保障されていなくて、異次元人であってもきちんと人権が認められて生活ができる必要がある。


 何をは、彼女らと一緒に暮らせる場所となる、他国の法律に縛られない独立国を作る事らしい。


 何時は、今でしょ。 今が出発点となります。


 誰がについては、立案者の唯華ではなく、不本意ではあるが俺が中心となり、行う事になりそうです。

 そして、その最初の仲間としては、


 加納慎二 スレイトマスターの俺である。 エンジニアであるが、それは役に立っていない。

 サリー  彼女は異次元から来て商売人の娘でありいろいろなことに目鼻が利く。 それにより、多くの幸運を引き寄せているようだ。

 マリア  彼女は魔法国のお姫様。 姫と言ってもアクティブであり、自らいろいろ動ける人。 そして今魔法が戻ってきている。 あ、これは秘密か?

 イザベラ 彼女は摩導職人で、かつて摩導具を作っていた。 彼女も技術屋さんなので、発想が俺に近い。

 加納貴子 俺の婆さんであるが、死んだあと再生され、現在成長過程の幼女である。 婆さんと呼ぶと怒る。 彼女もスレイトマスターであり、貴薬草を作っていた。

 原田真希 元役場の姐さんであり、山の師匠に従事し、貴子の発見者である。

 西脇唯華 彼女は宮内庁から外務省に出向しており、この計画の立案者である。 計画のために、宮内庁を辞める事になっている。

 宮守珠江 彼女は宮内庁から厚労省に出向しており、今俺の側室だと自分で言っている。


 以上8名が最初に直接的にかかわることになる。



 さて、ここからが問題である。


 どこで、であるが、唯華の案では日本の限界集落のような土地を買い取って、そこを利用するみたいなことを考えているが、これでは日本の法律に縛られる。

 なので、どこの誰も、どの国も、所有権がない土地を探す必要がある。

 今の地球上にそんな場所って有るのかな?


 どのように、 も、問題である。

 お金の問題もあるし、まず誰の手つきでもない土地を、どうやって入手するか?

 そこのインフラをどうするか? 食料をどうするか? エネルギーをどうやって調達するか?

 人間が生活していくためには、衣食住以外にも、いろいろと揃えなければいけないことがある。

 無人島生活と言っても、それはある程度食料や水などの環境が整っている場所でないとできない。

 ましてや、ある程度人数がいる場合、食料はあっという間に食べつくしてしまう。



 でも、食料消費のために人数が少なければよいかと言うと、それでは国を作ることなどはできないであろう。

 ちょっと考えただけでも、今の人だけでは無理だと言うことが見えてくる。


 その国に住むと言うことは、俺のように日本国籍を失う事にもなると思う。

 当然、国が無いわけなので、通貨が無く、お給料などは出ないと思っていた方が良い。

 俺たちに必要なのは、俺たちの考えに賛同し、まあ賛同はしなくても良いが一緒に手弁当で国を作ってくれる人たちが必要だ。


 場所については、一つ俺に考えがある。

 でも、いきなりできる事ではないので、これから時間をかけて計画を練ることにする。


 あと、パラセルについてスレイトメンバー以外には話していない。

 まあ、黒妖として見せているスレイト部分については少しその機能が見えているけれど、それはパラセルのほんの一部でしかない。

 俺に、なぜスレイトが届けられたかは知らないが、きっとこういった事が俺に課せられた使命なのかもしれない。

 運命なのか、定めなのか分からないが、まあ逆らわずに流されよう。


 ああ、そうだ。 貴子の貴薬草の件も残っているな。

 貴子が蘇ったことは、白神様のおかげとなっているようで、これはそっと蓋しておこう。


 それよりも、貴薬草について、どうやって説明するかな。

 里で、薬草を作っていたことは、すでに話が出ている。

 でもそれがどんな薬草かについては、当の貴子本人すらわかっていないと思う。


 あ、でもこれはこの世界でもお金を得るために使えるかもしれないな。

 ただ、量産ができる事が前提となるけどな。


 いずれにしても、イザベラへ送るエリクサーが無ければ、彼女の国では貴薬草からエリクサーを作る技術はない。

 原材料の貴薬草だけ送っただけでは、宝の持ち腐れとなってしまう。


 貴薬草からエリクサーを作ると言う意味では、今、異次元との連絡方法を確立しようとしている俺たちの方が、まだ可能性が高いと思う。

 もっとも、そんな大事な製法が、それこそ簡単にわかるとは思ってもいないがね。


「あのー、魔法や摩導具って何ですか?」


 あ、そこもか。


 いよいよ、慎二たち仲間による国づくりが始まろうとしています。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

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この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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