3-02-05 甘いひと時
慎二は緊張した昼食でした。
2時近くまで行われた陛下との昼餉も終わた。
今、正直ほっとしている。
3人娘を除き、俺達は緊張の連続であった。
俺達は車で移動のために、玄関前に停められた車に俺達は乗り込んだ。
外を見ると、ドレスから黒いスーツに着替えた西脇さんと一緒に陛下が最後に玄関に出てこられた。
車内を見ると、宮守さんもドレスから着替えたようだ。
「これまでご苦労を感謝いたします。
また、これからの計画がうまく運べるよう願っております」
陛下は西脇さんに、労いの言葉を最後にかけている。
そして西脇さんが最後に車に乗り込むと、車は静かに出発した。
俺は車中から深くお辞儀をし、娘達は車の中から手を振っている。
朝から濃密な日程であり、今日は気が休まる時間が無かったが、本日のお仕事はこれで終了とのこと
ようやく、これから本日の宿へ向かうという。
都内のホテルでの宿泊と思っていたので、都心のホテルを想像していたら、俺達は車は首都高を抜けて横浜の港にやってきた。
近くに大きな観覧車が見える。
あれは何? って、車内はさっきから大騒ぎだ。
車はビルに止まるが、ここなホテルではなさそうである。
どうやらここはスーパー銭湯のようだ。
しかし、受付後通されたのは特別室。
それも全員が入れる大きな部屋。
スタッフから案内がある。
「本日のお食事や就寝はこの部屋をお使いください。
また、館内施設は自由にお使いいただけます。
ここはプライベートなので、入る際にこのリストバンドを提示してください。
皆に受け取ったリストバンドを配る。
この部屋でお食事は準備いたしますのでお時間をご指定ください。
また特別室専用の入浴施設もいくつかあります。
こちらの特別室から出ますと、一般の方とご一緒となりますが、管内にはいろいろな種類のご入浴施設やお食事のほか、お買い物ができます。
それらはすべて明日の朝出発までご利用できます。
なお、館内のお支払いはこのリストバンドで行えますので、館内着のままご利用ください」
加えて、西脇さんから
「みなさま、有料施設もありますが、皆さまお好きな施設をご自由にお使いください」
ヒュー! 真希が驚く。
西脇さんは耳元で、
「ちゃんと予算はついています。
慎二様の退職金が減ることはありませんのでご安心ください。
今回の迷惑料です」
しかし、娘達の様子がおかしい。
「さっきのだけどー」
と、サリーがいう?
「さっきのって?」
「大きな丸いのとか、何かいっぱい動いてた」
しまった、あの時は知らない振りしてごまかしたけど、見てしまったか。
お店の方に、外出ができるか聞いてみる。
「お泊りですし、リストバンドを示していただいたら大丈夫ですよ」との事。
館内着に着替える前だし、仕方がないので、ちょっと遊園地に行ってきますと西脇さんに伝えると、
それに反応して、あちこちの娘がピクッ、ピクッと反応している。
貴子婆さんや真希までも行きたいようで、結局一行様全員で行くことになった。
西脇さんは、あわててインカムに連絡を入れる。
我々が気が付かないように、彼女のスタッフに護衛してもらっているようだ。
ご迷惑をお掛けします。
こちらまで車を回すと言ってくれたが、すぐ近くなので断って歩いて行く事にした。
大きな丸いのって言うから、観覧車に乗るりたいのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
さっき見たのは、どうやらジェットコースターだったようだ。
俺は高速グルグル系はあまり得意ではないので、以前からコースター系はほとんど乗っていない。
「一緒に乗るよ!」
というサリーとマリアに引きずられ、俺もしぶしぶ乗り込む事に。
全体に小ぶりな施設なので、コースターもそれほどの高さはなさそうなので、まあいいか。
先頭にサリーとマリア、次に俺とイザベラ、後ろに貴子と真希が座る。
宮守さんと西脇さんは黒メガネと打ち合わせをしてるので乗らないのだろう
ガタンと揺れが来て、引っ張られるように傾斜を登り出す。
やがてコースターが頂上に達すると、前の二人が手を上にあげる。
さっきからじっと見ていたのは、乗り方の研究をしていたのか。
俺の隣も上げてるが、俺はどうしよう。
なんて考えている間に、コースターは奈落に落ちる。
キャー!
大丈夫みたいだ。
水の中に突っ込んで、あとはぐるぐるっと横に回ってフィニッシュ。
外から見てた時は、水飛沫のような噴水があがっていたが、自分が乗ってしまうと、すぐにトンネルに入ってしまい、よくわからなかったな。
以外と冷静に分析する自分に驚きながら、思ったより大丈夫だった。
まあ、最近のジェットコースターみたいに上がり下がりグルグルする俺の日々を考えると、これぐらい大したことないな。
「ハァァ、また乗りたい!」 って、隣に座っていたイザベラさん! 君までそんなに気に入ったの?
ここの園内は、それほど広くはないが、皆夢中だ。
大失敗だったのは、小さなジェットコースター。
低いところに小さなカートが走っているので、子供向けで全く怖くないだろうと油断してた。
怖かった。
いきなり直角に曲がったり、下がって上がってを繰り返し、小さなカートごと体が放り出されるような恐怖感。
安定した大きなコースターとは違い、いつ事故って自分が飛んで行ってしまうかもしれないと言う想像力で、怖さの質がすこし違う。
すみません。舐めてました。
あたりがそろそろ暗くなってくると、そろそろ観覧車の照明が美しく映える時間だ。
みんなで観覧車をバックに写真をとって、そろそろ戻ろうかと言ったら、観覧車を指差す。
結局、観覧車も乗ることになった。
しかし、観覧車に近づくと結構行列が長い。
ここに着いた時は、観覧車にはここまでの列はなかったが、夕暮れ前のこの時間、特に人気があるようだ。
列を見た俺が、「やめましょうか」 と言うが、西脇さんが 「大丈夫です」 と。
なんと、黒メガネさんが先ほどから人数分列に並んでくれていたようだ。
せっかくなので、俺と3人娘が一緒に乗る。
続いたゴンドラに貴子達が乗る。
今度は西脇さんと宮守さんも乗るようで、貴子と真希の4人乗りだ。
ちょうど暗くなり始めた時間で、地上は暗いが、遠くの西の空は赤く染まっており、富士山のシルエットが美しい。
横浜の街は、あちこちの施設のライトアップやネオンが灯りはじめ、美しい。
3人娘も窓からの光景を見つめ、その美しさに絶句している。
いきなりこの世界に来て、さらにこの数日はいろいろと振り回され、心配が続いているであろう。
そんなことを考えていたら、ゴンドラは頂点に近づいてきた。
そのとき、前に座っているマリアがいきなり話しだす
「慎二様には感謝してもしきれないほどの御恩を受けました。
一番の目的でした、病気についても無事に治していただくことが出来ました。
私ごとばかりで申し訳ないのですが、この世界に骨を埋める覚悟ができました。
これからもご迷惑をおかけすることもあると思いますが、永く慎二様のおそばに置いて頂きたく思います」
マジな顔で、じっと見つめてきている。
ふと横を見ると、二人も同じくこっちを見て頷いて返事を待ってる。
こんなムードあるとこでずるいぞ、
でも、どこであっても俺の考えはすでに変わらないがな、
「こちらこそ、よろしく。 見知らぬ世界へようこそ。
そしてこれからいろいろなことがあると思うが、それこそ皆でのりきっていこう。 よろしく頼むな!」
っていうと、マリアがいきなり抱きついてきて、口づけをしてきた。
長いキスである。まだ続いている。
「マリア、ずるーい」と、マリアの隣りに座ったサリーが俺の首を抱きしめたマリアの手を解き、イザベラが俺を椅子に引き戻す。
「イザベラ、サリー。 もし慎二に伝えたい言葉があるのであれば、ご自分の口から伝えなさい。
私の告白に便乗なんて許せませんわよ。
さあ、どうされるのですか?」
まだマリアを掴んでいるイザベラは、ビックとして手を話す。
今度はイザベラが。 イザベラよ、今日は積極的だね。 大丈夫かい?
「私は……」
あ、この娘、リケジョだった。 さては、何も考えていなかったな……
「私は、親友のためにこの世界に来ました。
まだ私も自分の気持ちがよくわからないのですが、私はこれからも真司様の世話になりたい、いや、おそばにいたいと思っております。
これからの生活についての不安もあります。
しかし、慎二様と一緒に過ごしたい気持ちは嘘ではありません。
私は、男の方とお付き合いした経験が全く無く、どのように接したらよいかもわかりません。
当然このような告白なんて……
すみませんうまく伝えられなくって」
ここでマリアが、
「いいのよ、愛なんてそんな想いから深まるのよ、
早くしないとサリーが告白できないじゃない!」
皆はっと外を見るともうじき地上だ。
「すみません」と何故か謝りながらイザベラは抱きついてきて、軽いキスを。
短いキスを済ませ、
「サリーさんごめんなさい! あぁ、もう時間が」
というと、サリーは言う。
「私と慎二は、そんな段階などはすでに済んでますから、ご心配なく」
と、かなり上のほうから言う。
マリアとイザベラはキッと俺を睨む。
ヒッ! 俺が悪いのかよ。
その時、外からドアが空いた。
地上に戻ったようであった。
「あなた達は、すでに…
あぁ、遅れを取ってしまったわ」
と、マリア
「イザベラ! 早く降りないともう一周行っちゃうよ」
イザベラは、初キスの余韻から冷めていないようで、まだボンヤリして心ここにあらずだ。
本当にファーストキスだったみたい。
そんな二人に、なぜかサリーは勝ち誇ったような態度。
俺の後ろをついてくる3人から、微妙な雰囲気が漂う。
次のゴンドラが到着すると、「修羅場だ!」 「修羅場だ!」 と騒いでいる声が聞こえてくる。
ゴンドラの扉が開くと、娘達がかけてくる。
そしてマリアたちに、
「ねぇねぇ! どうなった?」
「イザベラは2番めなの?」
「サリーは無かったの? えー?! そうなの! そうなの!」
「修羅場じゃ!」
アッと思い、ゴンドラを外から振り返る。
俺は勝手にゴンドラの中は外から見えない密室のように思いこんでいたが、大きな観覧車の天辺と地上付近においては、ガラス張りのゴンドラの中は前後から丸見えだ。
俺達は後ろのゴンドラからしっかりと観覧されていたようだ。 観覧者だ。
ああ、恥ずかしい。
緊張さって、楽しく甘いひと時が楽しめたようです。




