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2-05-09 シーとマスター達

お知らせ:

 2020/05/23 06:00頃に本編一部を外伝に移動しています。

 そのために本編ブックマーク位置が5話分減っていますので、新作が5話分戻っていますのでご注意ください。


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 シーの登場は、また新たな白狼伝説となるのでしょうか?



 せっかく貴子のヘルパーであるシーと話す機会ができたので、俺たちは準備いただいた神社の部屋で、アーが知らない事の質問をすることにした。

 俺たち以外はいないので、パラセルについても聞いてみよう。


 最初にパラセルからヘルパーに与えられる情報は、アーとシーでは同じはずである。

 しかし、長い年月の間に、マスターからの質問で、パラセルから受け取る回答情報が蓄積され、それがヘルパーの経験となる。

 疑問をたくさん抱くマスターのヘルパーは、より沢山の知識を蓄えることができる。

 そう、ヘルパーの成長は、ついたマスターにかかっているのだ。


 アーはまだ新米ヘルパーなので、俺とアーは生徒として、ベテランヘルパーのシー先生から教えてもらうことにした。


「シーは、何時からこの世界にいるのか?」


『ワレは、最初に起動されてから5000年位になると考える。

 当然、マスターはその間に何人も代わっており、マスターの不在期間はワレもスレイトと共に眠っておるから、5000年すべてを活動してきたわけではない。

 そのために5000年と言うのは多少誤差があるかもしれぬ』


「シーは、最初から今のシーの姿なのか?」


『うむ。

 この姿はマスターが変えることができるが、一度も替えられたことはなく、最初のマスターが決めたものだ。

 シーという呼称は貴子によるものだがな』


「白だから、シーじゃ」


「なんて安易な!」


「「「慎二、あんたがそれを言うか!」」」



「貴薬草は、ここでマスターが作っていたのか?」


『半分正解だ。

 この地は、最初のマスターによって、作られた派生空間だ。

 この地の派生空間には貴薬草を生み出すものがそろえられていたようだ。


 貴薬草自体は、マスターではなく、この地が生み出したものだ。

 マスターはそれを採取し、加工することで、薬草の成分が失われることを止めていた。

 それは活〆(いけじめ)と言う方法だと、あるマスターはそう呼んでいた。

 そうして加工された貴薬草は、パラセルに販売していた』


 そうか、何千年も前からパラセルに貴薬草を売っていたのは、この場所だったのか!

 まあ、広い次元には、他でも売っている所は、あるかもしれないがな。


「ところで、その派生空間って言うのは何だ?

 アーに聞いた話だと、ゲートで結べる空間は、ストレージみたいに中に何も入っていない、新たに作った空間ではないのか?」


『うむ。 通常はそうだ。

 通常ゲートで結べる空間は新たに作られた空間であり、その中は無である。

 ただ、新たに空間作成するときに、いまある次元をわずかに分岐させること、そう、薄皮を剥ぐようにこの周辺の一部の次元を削り取るように分岐させる。

 それは派生空間と呼ばれ、それをゲートされたばかりの無の空間に重ね合わせることで、範囲は限られるが無と有が調和した1つの空間を生み出すことができる。


 分岐した直後の派生空間は、オリジナル空間と同じである。

 しかし、派生空間はオリジナル空間から切り離される事により、その狭い範囲だけでの時間経過は、オリジナルとは異なる進化を辿り、やがて別の空間となっていく。

 切り離された狭い範囲の世界なので、周囲からの影響が全くないため、分岐された時代の状態を維持して進化し続ける。

 そう、それは貴子の知識でいうと、ガラパゴス諸島という場所の環境に似た進化だ。


 最初のマスターは、各地を巡り、良い土地を見つけると、そこの地から派生空間を創り、ゲートを付けた無の次元空間に組み込み、次元空間として分岐してきた』


「アー! 知っていたか?」


『初めて聞きました!』


「シー、その方法をアーに教えてやってくれないか?」


『ヘルパー同士でパラセルやスレイトの事を教えることは禁じられている。

 もともとヘルパー同士が、こうして席を同じにすることは、禁止されてはいないが、本来想定されていない、イレギュラーな事である。


 しかし、パラセルのヘルパーに聞くことはできるので、今の内容を聞いて調べていけば、やがて目的に辿り着けるであろう。

 できるという事を知っていれば、そこに辿り着くことは可能だ」


「わかった。 ありがとう。

 アー、これは君への宿題だな」


『わかりました。 シーさんありがとうございます』

 アーは、シーにぺこりとお辞儀をする。

 シーにはどんな事ができるかであれば聞けそうだが、技術的解決方法の質問はできないな。


「シー、派生空間と言うのは他にも残っているのか?」


『うむ。 ある。

 派生空間は最初のマスターとワレでいくつか作った。

 オリジナルと重ねるように派生空間は創ってある。

 そして後世のマスターもその地を巡ったが、派生空間自体は閉じていない。

 オリジナルの空間は変化しているかもしれないが、派生空間はまだ同じ場所にあると思われる』


「ん? だとすると、貴子の里にも派生する前のオリジナルの空間が、ここにも残っているのか?」

 貴子の里での薬草採取は100年ほど出来なくなったと言うことだが、派生空間を消して、オリジナルの空間に戻せば、そこで貴薬草が作れないのか?」


『いや、それはできない。

 分岐した時であれば当然どちらでもできたがはずだが、4000年ほど前にこの世界の空間の環境が大きく変わり、貴薬草栽培の条件が崩れたようだ。

 過去のマスターたちも、オリジナルについては試したことが何度かあった。

 しかし、初代マスターの時代に分岐されて保存された派生空間でないと貴薬草はできなかったようだ。


 初代マスターは、せっかく良さそうな場所を見つけても、見つけた薬草の地は使わずに、派生空間として保護して歩いていた。

 貴薬草が出来るには派生空間が成熟する期間が必要なようで、初代マスターの時代だけでは成熟できなかったようだ。

 初代マスターは急いで派生空間を創っていたので、もしかすると、この世界の環境が変わることも知っていたのかもしれぬな』


「すると何か?

 この世界の土地ではすでに貴薬草の栽培ができなくなっており、最初のマスターが分岐した空間の土地でないと栽培が難しいと言うことか?」


『それはワレにはわからぬ。

 最初のマスターは薬草に詳しかったが、残念ながら生きているうちに貴薬草に出会うことはできなかった。

 されど、最初のマスターの役割は非常に重要であった。 彼のおかげで当時の環境をいくつか残している。

 しかし、後世のマスターたちは、貴薬草という物が良く分かっておらぬので、どのマスターも苦労していた』


「その、残された他の派生空間では、貴薬草はとれるのか?」


『派生空間自体は残っているが、貴薬草がとれるかどうかは、実際にそこに行って調べてみないとわからない』


 今聞いていて、貴子のスレイトは、どうやら貴薬草をパラセルに供給するためにこの世界に下賜されたようだ。


 俺は(いしずえ)を築いてきた多くの先人達の努力に感謝をした。

 スレイトは貴薬草のみならず、この国の成り立ちにも深くかかわってきたようだ。


 俺に託されたスレイトは、俺が初代のマスターであるが、このスレイトも何かを求めているのであろうか?

 やはり謎が多い、パラセルだな?


 そんな想いをしながら貴子を見ると、先人の一人である幼女は既に真希の膝の上でお寝むの時間であった。


 何でも一朝一夕にはできないものですね。

 裏には多くの人たちの努力があって、今の文明や生活が出来あがっているのですね。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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