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2-05-06 白神様

お知らせ:

 2020/05/23 06:00頃に本編一部を外伝に移動しています。

 そのために本編ブックマーク位置が5話分減っていますので、新作が5話分戻っていますのでご注意ください。


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 うまく手紙が届くことを、わたし祈ってます。



 そうこうしているうちに、言われていた来客が神社に到着した。

 話し合いの再開である。


 巫女さんに案内されて、二人が社殿に入ってきた。

 やはりと言うか、多分と思っていたが、先ほどの2人であった。


 西脇さんは黒のパンツタイプのスーツであるが、なんと宮守さんは巫女装束に着替えてきている。


 爺さん宮司と宮司さん達が立ち上がって、宮守さんに礼をする。


「宮司様、ご無沙汰しております」

 宮守さんが挨拶してるので、知り合いのようだ。


「ははは、宮司職は婿殿に譲りまして、今は名前だけですが名誉宮司を拝命させていただいております」

 ここでオジサン宮司が立ち上がり会釈する。


「遠路はるばるご苦労さまです。 お疲れでは?」


「いえ、先ほど出張所で少し休ませていただきましたので、大丈夫です」


 そういえば、課長は俺たちと荷物を届けたのち帰っていないようだ。 まぁ、神社の関係者ではないしね。

 しまった、挨拶していない。

 先ほどあった、宮守さんが神社の皆に向けて挨拶をする。


「初めての方もいらっしゃいますので、ご挨拶させていただきます。

 わたくし、宮内庁の宮守珠江と申します。

 現在、厚生労働省へ出向しており、検疫関係の仕事をしております。


 私どもは1400年ほど続く古いお社を守る一族の末裔の者です。

 こちら東の分祠は1000年ほど前に行われておりますので、それ以降の、長いおつきあいをいただいていることになりますね。

 今朝宮司さんからご連絡をいただきまして、加納様が予定より早く下山されたとお聞きし、急いで東京からまいりました」


 えっ! この人がここに来たのも、やっぱり俺関係だったの?


「課長さんにはお伝えしておきましたが、この後お帰りになるのは大変ですので、今夜はぜひ私どもでお泊りください。

 いつもご連絡の窓口をしていただいている宮森様にお越しいただいたのですが、本来であれば、本殿の宮司様にもお越しいただきたかったところです。

 あまりにも急でしたので、本日の件は、本殿の方々にもよろしくお伝えください」


「いつもご連絡をいただき感謝しております。

 今、本殿には黒妖や白神様はお戻りになられませんので、こちらからいただく情報を待ち望んでおります。

 今夜の件は、誠にありがとうございます。

 このような大事な時に立ち会わさせていただけたことを本殿に成り代わりまして御礼申し上げます。

 では今夜はご厚意に甘えさせていただくこととさせていただきます。


 それと、こちらは宮内庁の西脇さんです。 ちょっと訳け合って、本日は同行しております。

 彼女の一族も、私ども同様に宮家にお仕えしている者ですので、今回のお話に同席しても差し支えないと思います。

 あ、その件は先ほどすでに出張所で済ませているようですので、お気遣いなく」


「西脇唯華と申します。

 こちらの宮森さんと同じく、宮家にお仕えする西脇家の娘で、宮内庁に勤めております。

 現在外務省に出向しており、特別外交9課という外交の仕事をしております。

 本日は、そちらの加納様にお話がありましたので、宮守様に同行させていただきました。

 縁あって、本日はご同席させていただくことになりますので、よろしくお願い申し上げます」


「それでしたら、西脇様も今夜はうちの奥をご使用ください。

 お客様にもお泊まりいただいく予定で、準備させていただいております」


「ありがとうございます。

 あ、加納様。 先程はどうもありがとうございます。

 先ほどの件は、また後程お願いします」


 お、さっきの崩壊していた西脇さんがちょっと復帰していた。

 挨拶も終わったので、席を準備して座ってもらう。



「それでは予定の時間となりましたので、本日加納様や本殿の方を交えてお伝えしたいことがあります。

 私どもの神社に伝わる最も大事な仕事といたしまして、白神様から大事なものをお預かりしております」


 ゴホンと名誉宮司は軽く咳をすると、一度手を軽く上げる。 なにか合図のようだ。


 そして巫女が持ってきた桐の箱を名誉宮司は受け取った。

 ゆっくりとした動作で、膝の上に置いた箱の紐を慎重に解き、蓋を外し、その蓋と紐は巫女に渡した。

 そして、箱を持ち上げて、俺たちに箱の中を見せてくれた。


 箱の中は何も入っておらず、底が黒の漆塗りの空箱かと思われた。


 すると、名誉宮司が箱をひっくり返し、その中身を手のひらに取り出した。

 底が黒い箱だと思っていたら違っていた。 箱にぴったりの黒い板が入っていたのだ。


 その板を見た俺達は思わず叫んだ!


「「「「スレイト!」」」」


 しまったと思ったが、声になってしまった。


「これは私どもで、[黒妖]と呼ばれている秘宝でございます。

 さっきの絵馬の娘が手に持っているものと同じと思われます」


 そう言われて、宮司の横の巫女さんが持つ絵馬を再び見ると、確かに絵の人物の手には黒いものが書かれていた。


「黒妖は神社の物ではなく、白神様から神社がお預かりしているものでございます。

 そして、白神様がこの地を離れるとき、これが毎回この神社に戻されます」


「何度もという事は、ここには何枚かのスレ、いや黒妖がたくさんあるのですか?」


「いえ、黒妖は1つしかありません。

 白神様が去ると、なぜか私どもの、この箱の中に戻ってくるのです。

 そしてこの地に、また白神様がいらっしゃると、黒妖を受け取りに白神様の従者の方がこの神社に来るのです。


 私どもは、黒妖の有無で白神様がこの地にいらっしゃることを知ることができるのです。

 ここ数百年程も白神様はいらっしゃなかったため、私どもは単なる伝説とすら思われ始めていたのです。

 しかし、今から何十年か前ですが、再び黒妖を受け取りに来られた従者さんが現れました。


 それが、慎二君の御婆様であられる加納貴子様でした。

 そう、この黒妖はあなたの御婆様である貴子さんにお渡ししていたものでした。

 これがここに戻ってきたと言うことは、白神様がこの地を去ったことを示しています。

 これはあとから思った事ですが、従者であられる貴子さんが失踪された際と時期を同じにしているのではないかと考えています」


「それは、いつ頃の事ですか?」


「黒妖は箱の中に戻ってきますので、箱を開けてみないと戻っていることはわかりません。

 この箱は神社の宝物殿の中の、宮司しか開けてはならぬ祠の中に、大切に保管されています。

 祭事は7年ごとに執り行われ、箱はその時に祠から出され、開かれます。

 まだ祭りの時期ではなかったのですが、宮司の夢枕に白神様がたったとでも言いますでしょうか、なぜか宮司が胸騒ぎがして祠を開けて調べたところ、黒妖が戻っておりました」


 その話に現在の宮司さんは頷いている。

(やはり、婆さんが遭難時期と関係あるのかな?...)


「本当は貴子様に黒妖についてのお話をお聞きしたかったのです。

 私どもは黒妖をお渡しした従者の方に、白神様の話を聞くことは大変失礼に当たり、絶対に慎むようにと申し伝えられてきましたので、それはできませんでした。


 そのために、村役場、いまの出張所ですが、ここを通じて、貴子さまへの控えめな補佐をお願いしてきました。

 もちろん、白神様がいらっしゃる時には、お召上り物の献上は、私どもで欠かさずさせていただいております。


 しかし、貴子様は数年前から連絡が取れなくなり、それと共にお運びいただいていた献上物もそのままそこに残り続けました。

 私どもからもお願いをしまして、何度も山の捜索を行ってきたのですが、残念なことに失踪となってしまいました。

 そのころに黒妖が箱に戻ったのではないかと思います」


「その黒妖を、すこし見せていただいてよろしいですか?」


 爺さん宮司は箱から黒妖を出して、俺に手渡してくれた。

 お宝を普通に手で持つことは問題ないようだ。


 俺は手に持ち、グルグルといろんな方向から眺めたが、やっぱりこれはスレイトと思われる。

 持った時の重さも、俺のスレイトと変わりがない。

 ただ、アーのスレイトに出会った時のように、板から伝わってくる反応は何もない。


 壊れているのかな? それとも何かスイッチがあるのかな?

 俺を囲むように黒妖を眺める娘たちも口々に、


「スレイトですわね」

「サリーは絶対にスレイトだと思います」

「やはり、スレイトよね」

 みな同意見である。


 俺は3人に囲まれた内側で、こっそり自分のスレイトを出してみた。

 これが自分のスレイトではなく、別のスレイトであることを念のために確認して安心した。


 俺はそのスレイトっぽい板に、強く念じながら触ってみたが、やはり特に反応はない。

 あきらめてスレイトを名誉宮司に戻そうと、手渡ししようとした時、いきなり俺の後ろからスレイトに飛びついて奪い取った者がいる。


 しまった、スレイトが奪われた!



 え、犯人はいつ、どこから忍び込んだのでしょうか?

 スレイトは奪われちゃうのですか?


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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