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2-02-04 貴子の里

 里に到着し、そこでの滞在準備も終了したようです。



 婆さんの遺留品捜索は真希に任せて、俺たちは今回の目的である里の畑周辺の貴薬草の調査を行うことにした。


 そうは言っても、そもそも貴薬草自体がよくわかっていない。

 と言うより、薬草に関しては俺たち全員完全など素人(・・・)だ。


 薬草を調査するにも、何を、どう調査してよいか解らず、何から手を付けて良いかすら見当もつかない。


 今俺たちがいるこの周辺は、かつて婆さんの作業場所であったため、俺はこれまで何度かここで婆さんの遺留品の捜索を行っている。

 その時は、薬草をターゲットとしていた訳ではないので、気にもしていなかった。

 ただ闇雲に探すのが良いのかわからないが、今のところそれしかない。


 まだ昼前ではあるが、調査の前に今夜寝る場所を準備しておく必要がある。

 周りを山に囲まれた場所の日暮れは早いので、暗くなり始めてからから準備したのでは間に合わないので、まずテントのベースとする平らな場所を決定する。


 昔、畑だった場所の近くが平らで、おれは毎回そこにテントを張っている。


 いつもとは違い、今回はスレイトからホームセンターで買ってきた発電機を出す。

 発電機は重量級の物品であり、歩いての登山には絶対に持ってこない。

 しかも、ガソリンを入れて使用するエンジンなので、持ち歩きの際の保管方向が決められている。

 横向きにしちゃいけないのだ。


 でも、 発 々 (発動発電機)は動作音が大きいので、遮るものが無い山の中では、真希にまで聞こえてしまうかな?

 この静かな山の中に響く、大きなエンジン音はそぐわない。

 真希さんは既にかなり離れたと勝手に思うことにし、ここからはやりたい放題だ。



 これを買った時、そのホームセンターの給油所で専用缶にガソリンを入れてもらい、その場で発々にも給油し、すでに動作を試してある。

 そして、試し運転直後のままスレイトに収納してあるので、エンジンはまだ温まった状態であり、出してすぐに使える。

 また、使い終わっても、そのまましまって長期保管しても問題がない。

 たくさんあるガソリン缶もストレージに入れてあるので、安全で安心だ。



 ホームセンターでは、何機種かの発々が展示されており、ちょっと高かったが、ノートパソコンの電源としても使えるように、出力波形がきれいなインバータ方式を購入した。

 ストレージから出すと、まだ温かい発々の始動グリップを強く引いてエンジンをかける。

 大きな音で、娘たちが何事? とやってくる。

 これで電気を作っているという話をすると、


「へー」とか「ワオ」とか言う反応。

 日米か?



 スレイトから電動芝刈り機を取り出し、発々のACコンセントに差し込み、テントを張る予定地の下草を刈る。


 今回は、ここに生えている草の植生を調べるために、少し草を刈ってスレイトに入れて持って帰る予定だ。

 当然刈ってしまった草は枯れてしまうので、薬草がなさそうな場所でないとまずい。


 今回はそれほど広い面積の草刈りは考えていないので、ナイロンワイヤータイプの安全な刃で低価格のタイプを選んである。


 テントとその周りを綺麗に除草する。

 皆も草刈りをやってみたそうだが、危険なので少し腕力がありそうなサリーに代表してお願いする。

 彼女は、意外と几帳面なようで、一本の草も残さ無いように、きれいに切ってくれるので、少し時間がかかりすぎ。


 マリアもやりたいというので、やらせてみたら、すごく楽しそう。

 マリアって姫様だったので、何もできないかと思っていたが、山にも普通に登れたし、意外と何でもできるので驚いている。

 とにかく、刃先にだけはだれも近づかないようにお願いをする。


 テント周辺は刈れたが、もっとやりたい! という要望により、発電機を一度移動して、簡易トイレまでの道を刈り取ってもらう。

 そこが終われば、次は入ってきたゲートに向けて刈り取ってもらう。


 俺は、その間に綺麗に草を刈った上にテントを設営をする。

 今回は俺が持っていた2人用のテントと、女性用として今回買った大型の4人用、の2張りを設営する。


 俺のテントは、なるべく携帯しやすさを購入基準で買った物なので、背の低い簡単に組み立てできるタイプだ。

 まあ、学生時代に買ったものなので、当然安物だ。

 ただし、地面に敷くグランドシートは今回新調した。


 新しい大きいテントは2ルームあるタイプで、高さが2Mくらいあり、全体に幅が3メートルを超えており、奥行きも6メートル近い、4人用だが6名まではいけるらしい。

 奥が少し小さい寝室で、手前は三方を巻き上げると開放的なオープン状態にできる。

 手前は広いので中にテーブルを出して使える。

 巻き上げずキャノピーポールを使えば、ひさし代わりにもできるので、多少の雨であれば開いたまま使用できる。

 中は広いのでシートを閉めれば、女性が全員で立ったまま着替えることができる。

 ちょっとおしゃれ感もあるのでこれを選んだ。


 床にはグランドシートの上に、別に買った厚手のマット何枚かを重ねる予定。

 ストレージがあるので、荷物に制限はないため、快適に寝泊まりしてほしい。



 試しに敷いて座ったが、良い感じだ。

 サリーがさっそく寝転がってくる。


 あれ? 草刈りは?

 今イザベラがしているそうだ。


 ここ何年でもテントは進化しているようで、俺が学生時代に買ったテントに比べ、大きいのにすぐに設営が完了した。

 気が付いたのだが、これからはテントはたたまずにスレイトに収納できそうだ。

 ペグがなければ、ノンタッチテントだな。


 今回食事はスレイトに調理仕立ての料理がたくさん入っている。

 そのために調理道具やコンロを出す必要はない。

 また水や食料も必要な分だけ出すことにする。


 ペットボトルは、クーラーボックスに氷と共に入れておき、大きなテントの入り口に各自が自由に飲めるようにした。


 そして俺たちは、テーブルと椅子を出し、少し遅い昼食にすることにした。

 お昼ご飯は弁当屋さんで作ってもらったものにした。


 いろいろな種類をテーブルに並べ好きなものを選んでもらう。


「サリーはこれと、これ!」


 あの、サリーさん。 お一人様1個です。

 サリーはハンバーグ弁当と、焼き肉弁当で悩みこんでいるようだ。


 出しておくと、危ないから、いや冷めるから、残りはすぐにストレージにしまうことにした。

 そんな目で見てもだめです。

 悲しい視線を浴びながら、焼き肉弁当もストレージに消えていった。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇


 真希とは離れたので、午後から試しておかなければいけないことがある。


 俺と彼女たち3人は互いにスレイト通信で会話ができている。

 これは、俺のスレイトを中心として働いていると思われる。

 スレイト通信により、互いの言語も翻訳されて自由な会話が実現できている。


 昨夜の温泉では試すことができなかったが、実際どれだけ離れてスレイト通信が正しく動くか、確認をしておく必要がある。

 トランシーバは人数分購入してきたので、まだ予備がある。

 真希との連絡用のチャンネルは変えられないので、残り2台を使って、チャンネルを変えて実験を行う。


 これは、携帯電話やトランシーバのように、無線を経由した音声であっても正しく翻訳されているのか?

 この場合、どのような言語になって通信されるのか?


 脳内のスレイト通信だけであれば、どうとでもなる。

 しかし、俺たち以外の人間と会話する場合、各自にインストールされた翻訳がどうなるかを調べておく必要がある。


 互いに見えなくなり、直接声が聞こえなくなるまで離れてみる。

 そして、トランシーバ越しに会話してみる。


 今俺たちの共通言語は、俺の知識ベースである日本語であるはずだ。

 サリー、イザベラのペアと、俺マリアのペアに分かれている。

 ここで、トランシーバ越しに互いに話をしてもらう。


 俺が聞く限り、全員正しく日本語に聞こえる。

 俺の翻訳機能を切って試すが、メンバーそれぞれにも翻訳機能がインストールされているので、同様に日本語での会話が聞こえてくる。


 スレイト通信に切り替えるが、やはり問題がなさそうだ。 俺が加わらなくとも、日本語がベースのようだ。

 日本語であれば、メンバー以外の人にでも、一人で普通に会話が出来そうだ。


 実際試したところで、一応アーにも聞いてみる。


『同じ次元であれば、マスターとスレイトの距離の制限はありません』


 との事でしたが、すぐに、


『すみません。

 制限がありました。 お詫びして訂正いたします。

 距離ですと、銀河系ぐらいの広さでしか利用できないようです。

 意外と狭いですね』


 はい、それだけ届けば十分でございます。

 実験は多少無駄にはなったが、自分の身で試すことで、よくわかった。 多少かな? 時間の無駄でした。


 まあ、これで日本語の会話や読み書き問題については完全に解決できた。



 あと、いくつか判ったことがある。

 電波が届かずスマホが使えないと言うことは、インターネットへの接続ができない。

 インターネットが使えないノートパソコンは、ほとんど役に立たたたない。


 夜は電池で動くLEDランタンがあり、騒音が出る発々は動かせない。

 テレビなども電波は入らないので使えない。

 冷蔵庫はストレージがあるので不要だ。

 調理もすでに終わっており、加熱も使うことはない。


 結論。

 電気が必要かと思って、発々を買ったのはお金の無駄使いでした。

 エンジン式の草刈り機を1台買えばよかったです。


 便利なスレイト通信が使えるようになりました。

 これって超能力者が使うテレパシーと同じなのですかね。

 イメージを伝えるので、スレイト通信よりも進んでいるのかな?



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この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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