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2-02-02 本物の結界

 山に登るときに突然加わった真希さん。

 慎二たちの秘密を隠し通す事は難しいと考え、迷った末、少しだけ秘密を話すことにしたようです。



「真希さん、これからあなたに話しておきたいことがあるのですが、それについては秘密にして欲しい」


「あらたまって、何ですか?」


「真希さんの担いでいる、その大きな荷物をここに置いてもらってもいいですか?

 これって、登る途中で使うものが入っていますか?」


「いや、途中で使うものはすべてベストのポケットに入れている」


「この荷物、俺が預かって持っていきますが、いいですか?」


「いや重いぞ、それ。

 そういえば、君たちの荷物はどこかにあるのか?

 1週間は長いぞ」


「それでは、さっき言った秘密を守ってください。

 私は奇術を使います。 手品、魔術、魔法……」


 と、言いつつマキの荷物を指差し、「ワン、ツー、スリー」 そのまま指をスーと天に向け、その間に真希の荷物をストレージに収納する。


 真希は俺の指につられて空を見上げるが、視線を戻すと自分の荷物がいきなり消えており、ひどく驚く。


「本当に、これは奇術なのか?

 信じられない。

 確かに、私の荷物が消えてしまった」


 大事な荷物がなくなってしまったので、かなり狼狽している。


「一度目を閉じてください」


 もう一度、「ワン、ツー、スリー」 と言って、指をパチンと鳴らし、荷物を出してあげる。


 真希は、目を開けると自分の荷物が無事であることがわかり、少し落ち着いたようである。


 もう一度目を閉じてもらって、再び「ワン、ツー、スリー」と言って指をパチンと鳴らし、荷物を収納する。


「見えませんけど、これ俺が持っていきます。

 いいですね?」


「お、おぅ」

 まだ真希は動揺して、荷物があった場所を見つめている。


 隣にいたサリーが、俺の話を聞いていて


「こちらの世界にも、魔法ってあるの?」って質問が。


 ここで君からの質問ですか?


「いや、これは奇術で、フェイクで、本当の魔術ではないさ」


 と説明する。

 すると俺とサリーの会話を聞いていたマキが質問を。


「今更だが、彼女は日本語がわかるのか?

 外人だから、ずっと話ができないものと思っていた。

 彼女はどこの国の人で、何語を使うのだ?

 あと、こちらの世界ってどういうことだ?」


「さっきもお願いしましたが、これから不思議なことがあるかもしれませんが、いま詳しくは勘弁ください」


「あ、いやこちらこそ悪かった。

 そういう約束だったな」


「すみません。

 では、身軽になったところで、出発しましょう」



 今俺たちは、すこし広けた場所に来たのだが、その山側には 1メートルくらいの2つの石がある。

 ここも、婆さんに言われた目印の一つだ。


 俺達はその2つの石の間を通り、生い茂った蔦のような草をかき分けながら山の中に進んでいく。


 草で進みにくい中、3人も慌てて俺の後ろをついてくる。

 少し進み、木々にまとわりつくように高くまで茂った草のカーテンをようやく抜けた場所に出た。

 この周囲だけ、ぽっかりと草が生えていなくて、そのまま地面が見えている。


 すると、アーが突然目の前にポップアップしてきた。

 スレイトは消していたので、アーだけがポップアップしてきた。


『ゲートを通過しました』

 と、アーがいう。


 やばい! 俺はアーが見られたかと思い、後ろにいる真希の姿を見るが、幸い真希はまだ茂みから出てきてはいなかった。

 どうやら、アーは見られてはいないようだ。


「アー、そのゲートってなんだい?」


『それです』

 と言って、草が途切れた部分にある地面から顔を出した、小さいピラミッド状の石を指差す。


 確かに、手のひらに乗るくらいの大きさの、白っぽい艶のある石が、通ってきた場所の両側に1個ずつある。


『そのゲートは、目に見えない空間マーカに固定されており、そこで2つの次元がリンクされています。

 許可された者がマーカに近づくと、ゲートが開いて2つの空間の出入りができます』


「これって、触っても大丈夫かな?」


『大丈夫です』


 石は、地中深くにまで入っているのか、強く押しても全く動かない。


「こんなところに、そのゲート? マーカ? が置いてあって、誰か持って行ったり、無くなったりはしないのか?」


『大丈夫です。

 ゲートは、マーカにリンクしていますので、位置を動かすことはできません。

 マーカは次元空間マーカ、略して空間マーカとか、単にマーカと呼ばれるもので、次元空間の座標に配置されたものです』


「以前イザベラとマリアが転移に使った転送石とは違うのか?」


『これはモノを転移するものではなく、ゲートですので既存空間に自由空間を継なげるものです』


「ゲートだっけ? 誰がそんなものを買って、どうしてここに置いたのか?

 あ、俺の婆さんか?」


『いえ、ゲートとこの空間は、起動してから、地球の時間で1000年以上経過していますので、慎二のお婆さんでないと推測します」


「えっ! そんな昔からスレイトは使われていたのか?」


『私は慎二以外のマスターについては知りませんので、それについては判りません』




「ゲートなんて初めて聞いたな」


『慎二も、それと同じ機能の物を、持ってますよ』


「えっ! どういうこと?」


 確かにサリー達は次元を超えてきたが、なにか次元をつなぐものなんて持ってたかな?

 あ、スレイトとストレージか!


 確かにストレージは、スレイトをゲートとして異なる次元空間をつないでいる。

 パラセルは、スレイトと互いの間に次元ゲートを開くことで購入商品の配送を行っている。



 アーとの話に夢中になり、ずっと話していたが、一緒に真希がいたことに気が付く。

 はっ、と後ろを見るが、3人娘以外に、まだ真希がそこにはいなかった。


 俺がここについてから、アーと話し込んでいたから、そこそこ時間がたっているはずだ。

 途中で真希が迷った?!


 俺は、アーに消えていてもらうように話し、3人にもここで待つように指示し、急いで引き返した。


『ゲートを通過しました』

 戻ることに際してゲートを抜けるが、今度はアーはポップアップしないで声だけが俺に聞こえる。


 同じように草のカーテンを抜けると、真希が広場に座り込んでいた。


「あっ! よかった!

 どうやっても草の中を進めなくて、何度この中に入っても、ここに戻ってしまったよ。

 どうなってるんだ、ここは!

 君はなかなか戻って来てくれないし、私一人になっちゃって、すごく心配してたんだぞ!」


「気が付くのが遅れてすみませんでした。 じゃあ今度は俺の後ろにしっかりとついて、もう一度この先に入ってください」


「わかった。 すぐ後ろをついていくからお願いする」


 俺は、そうして蔦のような草が生い茂るカーテンの間をもう一度通り抜けていき、サリー達の元に出た。


「あ、お帰り! 真希さんはいた?」


「いたいた、もう来ると思うが…… あれ? やっぱり来ないぞ!

 困ったな。 本当に結界でもあるのかな? でも皆はここまで来てるしな?」


「あ、だったら今度はサリーが行ってみるね!」


 俺が止める間もなく、サリーが草のカーテンに突っ込んでいった。

 しばらくすると、サリーと手をつないだ真希がやってきた。


「慎二、やっぱり真希さんは途中で戻っちゃったみたいだよ。

 私が手をつないで来たら入れたみたい」


 どうやらゲートは普通には通れないようだ。

 ただ、サリーと手をつなぐとゲートは通れたようで、サリーが行ってくれなかったら気が付かなかった。

 女性と手を取り合って歩くことなんて事は、俺では考えられないものね。


 ひょっとすると、マスターかメンバーと接触している場合、通れるのかな?


 多分、ここがゲートなので、ここから先はもう大丈夫だと思うが、殿も気にしながら進むことにした。

 そこから、また草の中に入り、草をかき分けてしばらく進むと、いきなり目前が開け婆さんの畑のあった場所に到着した。


 以前来たときはもっと開けた感じだったので、きっと婆さんが草を刈っていたようだ。


 続いて3人も順にやってきた 真希も今度は無事についてきている。


 マリアとイザベラの足も心配なので、探索を行う前に一度休憩しよう。


 結界を抜けた先は、また結界? そりゃ、けったいな。


 当初の文書は、内容が少し難しかったので、サイドストーリーに移動しました。

 元の文章をお読みになりたい場合は下記をご覧ください。


 パラセル テクニカル外伝 - パラセルと異次元空間

 外伝P2-02-02 本物の結界

 https://ncode.syosetu.com/n3633gf/1/


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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