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7-05-03 飛行場建設


 唯華の努力もあって、日本国と特別通商条約を結ぶことが出来た。

 この条約を実行するためには、人的な交流が必要となり、それはすなわちカノ島に日本から人を迎え入れる施設の必要性を意味していた。


 そのために、カノ国への交通手段を早急に設ける必要がある。

 摩導コンテナの運用は行われ始めたが、これは秘密の交通手段であり、摩導バングルを持つ国民用であるので、一般的な交通手段が早急に必要となっている。


 船舶について、貨物船については、大きな物や大量の貿易が始まっる前に検討する必要がある。

 しかし、客船による一般の人の入国用の港湾は作らないことにした。

 最初にこの島に来た時みたいに、探査船のような船をチャーターして島に接近して、上陸艇で来ることはできるが、それは誰もができる話ではない。


 ということで、この島へ来るためには、航続距離が長いジェット機で来ることになる。

 しかし、本格的な滑走路や管制制御、空港施設などを建設して、入出国管理の運用することは今の我々には難しい。

 何せ素人集団だからね。


 だったら、それはそれ。 自分たちでできる範囲のものを作ってみようとなった。



 まず、飛行場は島の北側の海岸線に近い沖合に摩導シートを用いて作る。


 摩導シートを海面に敷けば平らな滑走路面を作る事ができ、使用しないときは海中に沈めることになる。

 実際使用する時には、海面より数メートル浮上させているのだが、島の海岸線から見ると、海に浮かんでいるように見える。


 本当のことを言うと、滑走路は着陸の為の物ではなく、着陸ポイントを目視で確認するためのお飾りである。


 着陸する際に滑走路が無いと、常識にとらわれた機長だと、着陸の際にパニックになるので、見かけ上に滑走路が準備されている。

 何回か利用し、本空港に慣れた機長だと、着陸時に滑走路は不要と伝えてくる。


 では、どうやって離発着を行うかというと、我々には摩導具がある。


 簡単に言ってしまえば、飛んできた飛行機を、摩導具の引力で捕まえて、滑走路上にゆっくり引き下ろしてあげればいいのだ。

 ただ、島側の摩導具でつかむのだが、飛行機側に摩導具が付いているわけではない。

 高速に飛行している飛行機をいきなり捕まえて止めてしまうと、飛行機の中の物体は、それまでの飛行速度のまま慣性により前方に吹き飛ばされてしまう。

 急激なGの発生だ。


 自動車などよりも、はるかな速度で移動している物体の箱を、一気に速度を0にする事は、箱の中で壁に衝突する事に成る。

 機内のすべての物体にGが働き、機内は地獄絵図となってしまうであろう。


 そのために、機体内部内に衝撃がおきないように、機体速度を徐々に落とし、エンジンを冷却させ、空中から安全に地上へ引き寄せる必要がある。

 そこでいくつかの摩導具を組み合わせ、安全に着陸できるような仕組みを空港施設に備えている。


 まず本空港を使用する航空機には、位置を特定するために、摩導マーカが組み込まれた摩導具があらかじめ渡されており、それをコックピット内に置いてもらう。


 摩導マーカを目印に、地上では着陸する航空機の位置をモニターする。

 さらにこのコックピットの摩導具には、離発着時に島の管制と通話ができる通信機のように働く。


 マーカの無い航空機が飛んできても、滑走路はないため、着陸できる場所はない。

 もっとも、摩導具のシールドで囲われた島の防空圏内には、許可した以外の航空機の侵入はできないが。


 摩導マーカによる通話により、この島に着陸する飛行機が降下ポイントに達すると、エンジン出力を最低にまで落としてもらう指示がでる。

 完全にエンジンは切らずにお願いするのは、エンジンを冷却してもらうためと、飛行機はエンジン出力を用いて機内用の発電をしており、予備発電装置を持たない機体の場合、機内への電力供給ができなくなる機体があるからだ。


 出力を低下してもらう時点で、飛行機はすでに摩導力で補足されているので、機体速度を落としても問題ない。

 引力と斥力で航空機はがっちりと掴まれた状態で、空港の真上まで引っ張て来られたのち、空港内の指定着陸ポイントへ機体をそっと下ろす。

 外部からの魔力による垂直着陸である。


 また離陸するときは、スターターにより地上でエンジンを起動し、エンジン出力を上げておく。

 そして摩導力で固定した状態で機体を飛行高度まで持ち上げ、機体の前方から摩導力で機体に強い風を与える。

 自分が飛ばなくとも、前方から風を与えることで翼に揚力が発生する。

 風洞実験の模型飛行機のように翼に揚力が発生し、模型が浮き上がるような感じだ。


 機体に十分な揚力が得られた時点で、徐々に機体を押さえ込む摩導力を弱めると、エンジン出力により機体は空中で前方にするすると進みだす。

 機体が飛行可能な速度に達すると、前方からの風を弱めて、それまで機体を支えてきた摩導力を切り、あとはジェットエンジンの自力で飛行していく。

 これにより、滑走距離が0で離陸ができる。


 空港にはこの仕組みを用いているので、離発着に本当は滑走路など必要とはしないが、やはり滑走路が無い場所への着陸は常識があるベテランパイロットほど恐怖に感じるようだ。


 そのために着陸場所の目安として、視覚的な滑走路を作ったわけである。

 素人の手作りですから、従来の航空技術者から見るととんでもない空港なのかもしれない。


 摩導具による離発着操作は摩導サーバにより行われることになる。

 しかし、航空機側でもエンジンスロットルを操作するタイミングを伝えるなど、パイロットへの情報が必要となるために、コックピットに置いた摩導具で指示が出される。

 慣れたパイロットには自動音声でも良いが、初めてのパイロットは着陸でパニックにならないように、人間による応対が出来る、管制室もどきの空港施設を作った。


 小さな放送ブースを持ったこの部屋から、航空機の操縦室内に置いた摩導具を通してお互いに会話を行うことになる。


 わが島に日本から航空機が来ることになるため、空港設備として、他にも必要となるものがある。

 みやげ物売り場? これ買っていかないと、待ってた家族が冷たくって...


 いや、それも重要なのかもしれない。 しかし、日本から航空機がここまで飛んできた場合、航続距離が短いジェット機の場合、戻りの燃料の補給が必要となる。

 この島内では石油というものを一切使用していないため、給油ができない。

 そこで戻りの飛行機の為に、空港に航空機専用の小さな給油設備を作ることにした。


 航空燃料はタンカーをつかって日本から輸入することになる。


 タンカーが安全に着岸・離岸するためには港が必要であり、またタグボートなど港湾施設の必要となる。

 また、ガントリークレーンのようなコンテナの荷下ろしの大型設備も必要になるかもしれない。


 正規な外国船を着岸させる為には、港には意外と多くの設備が必要となるのもあり、この島に大きな港を作る事はやめた。

 まあ、魚は食べたいので、海岸に船を引き上げるような小さな漁港は欲しいと思っているが。


 特に航空燃料を積んでくるタンカーには、積載重量が大きいため、船は深く海中に沈むため、港周辺には深い水深が必要となる。


 しかし、カノ島の周囲は遠浅なので、船を着岸させる為には海岸を大きく掘る必要があり、それはしたくない。


 そこで、船が安全に近寄れる水深が得られる沖合に、小さな浮島を設け、その浮島を使って燃料の給油を行うことにした。


 浮島周囲の水深として小型タンカーが停泊できる25m以上確保するとし、安全を見てカノ島の海岸から約1Km沖合まで摩導チューブを伸ばし、そこを浮島の定位置とした。


 GPSで島の目標付近に到着したタンカーは、そこにアンカーを下ろし、錨泊してもらう。 これはおおよその位置で良い。


 タンカーが停船すると、浮島自体がタンカーに向かって移動していき、タンカーに横付けする。

 浮島には、タンカーの給油ホースを給油口に接続するだけの機能があり、特に大げさな設備は持っていない。


 浮島の燃料給油口はチンアナゴであり、タンカーから降ろされた給油ホースをパクリと咥えると給油が開始される。

 チンアナゴは摩導チューブの先端であり、燃料を分解してリソースとして島内の摩導べインズに取り込んでいく。


 空港施設内に設置した燃料タンクには、リソースから取り出された燃料が再合成されて充填される。

 摩導べインを介しているので、タンカーと燃料タンクは直結しているわけではない。

 一見すると通常の給油タンクに見えるが、裏では高度な事が行われている。



 なお、この空港自体の運営や整備は、日本の自衛隊に委託して行ってもらっている。

 空港エリアはカノ国の中にあるが、ここは第一種治外法権の特別地区としており、空港内であればカノ国の国民でなくとも使用することはできる。


 空港への輸送機の離発着は当面民間機の予定はなく、日本の自衛隊に委託が決まっている。

 これは、日本国政府からの強力な援助の申し出により、押し切られたような感じで実施されることになった。

 しかし、摩導具による離発着の管制はカノ国でないとできないため、彼らは到着した航空機の整備と燃料補給と空港脇に作った自衛隊の駐屯資材倉庫の管理をお願いしている。


 先日、出来上がった空港に、輸送に必要なカーゴやトラクター、エンジンの起動車(スターター)など機材を持ち込んだとの報告を受けている。


 この空港に出向する自衛官には、日本国政府との特別な協定で、我が国と日本国との二重国籍と同じ扱いが出来る特別な取り決めのもと、我が国の国籍の取得をお願いしている。

 自衛官の宿舎は空港脇に造った駐屯基地内にあるが、カノ国の国民IDをつけてもらうことで、カノ国に自由に出入りすることがでる。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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