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7-05-02 インフラストラクチャー


 カノ島で、主な通行手段となる主要道路の建設が始まった。 そう社会基盤の整備である。


 道路を敷設する場合、砂利を撒く、石やレンガなどを敷き詰める、アスファルトで舗装するなどいくつかの方法がある。

 残念ながら、今この島には土木建設機械はないし、人手もほとんどない。 猫の手も借りたいくらいだ。


 ということは、砂地であるこの島に道路は作れない。


 もし普通の車であれば、タイヤを砂に取られて走れない。

 歩くことだって長距離は厳しい。


 そこで先日より実験を行っていた摩導カートは、砂地であっても浮上して走行する事ができるので、例え道路が無い場所であっても運用することが出来る。

 確かに、数人で暮らすのであれば、砂地の上を摩導カートにより移動すればよいので、島に道路設備なんかはいらない。


 そうは言っても、最初に俺たちが上陸した時と、カノ島はすでに様相を異にしており、直径100キロメートルになる円形の大きな島の砂地が広がっている。

 高速に島内移動を行う場合であっても、安全に移動できるために摩導カートの高速走行が可能な道路を設けておく必要がある。


 そこで、島内に高速道路を建設し、道路を自動的に作る摩導具による重機を作る事を考えた。

 島内の道路には、新しく作った長い摩導シートを使う予定だ。

 その高速道路は、地上より約5メートルの高さになるように高架を設けて、一般道路の上に配する事に成る。

 道路は2層構造とし、上は高速用、下は一般道とする予定である。


 摩導シートは20キロメール巻きの物を用いているために、途中で何度かロールを交換しながら道路敷設の作業が続く。

 この道路敷設は、複数台の重機により、最初に設置した空間マーカを基準にして、その間を設計図に従い敷設していく事に成る。



 道路幅は摩導カート2台が並走できる3メートル幅とし、それを2本並べて上下分離した車線を設ける。

 摩導カートは幅が1メートルなので、一般的な自動車と比べると狭いが、特別仕様の2メートル幅の摩導カートもあるのでそれの走行も考慮してある。

 カノ島では、道路を走る摩導カートはすべて摩導サーバから制御され、人間が運転するわけではないので、信号機や道路標識など人間用の表示は一切ない。

 場所や走行する情報は、必要により摩導カートの中に表示される。




 道路建設の最初は、島の中央のグランドゼロを基点として、小山を取り囲む中心円を書き、そこから外側に向かう放射状に8本の道路の敷設が始まる。

 主要道路は将来拡張が予想されるので、道路の両端の土地は十分に余裕を取って利用することになる。


 島をどのように利用していくかのマスタープランはすでに出来上がっており、将来の人口増加に向けて島の開発を考えている。


 俺達の計画では、異次元の人たちと分け隔てが無く暮らしていける新たな国にしたいと思っている。

 どのくらいの国民が住む島を想定するかにもよるが、国として廻していくためにはある程度の人口が必要となる。

 まだ人数はほとんどいないので、これから多くの国民を受け入れる必要があるので、人口増加に合わせて島を発展させたい。

 特に、現代の日本で生まれ育った俺としては、文化がある生活がしたい。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 マスタープランには、島のいくつかの場所に、必要な施設が記載されている。

 島での生活で重要な設備の一つとして、摩導ベインにリソースとしての水分を供給する、海水取水設備が必要となる。


 それを建設するために、俺は地上から太いホースを地下に向けて挿入している。


 この島は周辺海域では、本来の海底まで深度が2キロメートル程ある。

 その本来の海底付近に達する位置まで給水ホースを伸ばし、そこから海底の綺麗な海水を採取する予定だ。

 いわゆるミネラルたっぷりの海洋深層水ってやつだが、かなり深い海底から採取する事に成る。


 島の周囲は海底に向かってスロープになっているので、島から海底まで達する距離としては50キロメートルを超えてしまう。

 通常であれば、深海の採水には長いホースを海中に入れたり、立坑を掘って、そこからシールドマシンを入れて、そこから横に掘り進むのであろうが、そこは摩導具。

 拠点脇の伊勢湾では、比較的近距離で取水を行ったが、カノ島は海底に達するまで潜らせ、そこから取水を行う予定である。

 ここで、ミーミズと呼ばれる摩導具のホースを作成した。


 ミーミズは直径70センチメートルある太い蛇腹のホースに摩導回路を取り付け、ホースを摩導具化したものだ。

 ホースの先端には、先端の状態が確認できるように、摩導ボールカメラが2個取り付けられている。


 ミーミズは、摩導具化したことで柔らかくなり、ホースの先端がニューっと細く伸び、先端にむけて延びる事で前方に進行する。

 その際、パイプは細い部分と膨れた部分が出来るようになり、膨らみが後ろに送られるような動きで、パイプはどんどん前進していく。

 それは大きなミミズの様な動きであり、自分自身で穴を掘りながら地面の中に進んでいく。


 また、ホース内部では、その膨らみの移動により、先端が飲み込んだものが後ろへと送られていく。

 これは、蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれれ、食べ物を飲み込むような動きである。


 動き出したホースの先端は地面に潜り込み、島の下に敷かれた摩導シートに沿って、堆積した砂の中をホース自身が海底に向かって斜めに穴を掘りすすめていく。

 地上では、ミーミズの進行に伴いホースを後ろに連結していく。


 掘った土砂はミーミズの蠕動運動により圧縮され、ホースのお尻から小さくまとまって押し出されていく。

 そう、それはミーミズの排泄物に様に見える。


 ミーミズは海底にまで達すると、垂直に向きを変えて砂の中から海中に先端をひょこっと出す。


 先端だけを見ると、水族館の水槽からピョンと立ち上がった、人気者のチンアナゴのような状態だ。


 こちらは拠点に設置したよりもはるかに大きなチンアナゴ、いや取水口である。

 こちらもサイズこそ違えど、キョロっと愛くるしい2つの目玉カメラが付いた、チンアナゴが…


 チンアナゴの先端が4つに割れ、ガバッと大きく開くと、大量の海水をゴクンと銜えこむ。

 先端が4つに割れぱっくり飲み込む姿は、ちょっとホラーだ。


 飲み込まれた海水は、ミーミズの蠕動運動により、お尻方向にゴクゴクと押し出される。

 そう、ホース全体がポンプ機能を持つ、ミーミズポンプだ。


 取水口であるチンアナゴにはフィルタ機能があるので、海水以外の土砂や生物はペッっと吐き出され、チューブに入り込まないようになっている。

 フィルタを通過した海水は、ミーミズ内で分子成分に分離され、そこで腸のように魔道ベイン内に吸収されていく。

 そして地上で接続された高速道路の魔道ベインを経由し、リソースとして島内を循環する事に成る。


 摩導べインは敷設する島に様々な資源を配送する血管(VEIN)である。

 取水された海水は、主に水の分子がリソースとして供給されるが、海水成分から酸素、水素、塩素、ナトリウム、マグネシウム、硫黄、カルシウム、カリウムなどを取り出すことができる。

 摩導べインを循環し、島を一周して戻ってきたリソースのうち、海水から補給できる成分が不足している場合自動的に補給される。

 ここは取水施設ではあるが、実体はこの地下に潜ったミーミズだけしかなく、特別な建物がここに作られているわけではない。


 なお、取水は島内の重要な設備であるため、海水を採取する場所は複数設けられている。



 それと必要な施設として、摩導ベインで不足するリソースを補給するための施設がある。

 こちらは、倉庫エリアにある処理センターで、ストックされた物資によって摩導ベインに補給される。

 またこの施設では、摩導ベインを流れている物質に関して、再利用できない廃棄対象となる物質が流れてきた場合、この処理センターにより抽出され、固化されて廃棄される。



 生活を行う際に、いくつかの電気製品が必要となる事も考えている。

 しかし、島内に発電施設は設けていないし、今後も設ける予定はない。

 これは、この島では化石燃料など、資源を消費して、地球の環境を悪化させながらエネルギーを生み出す方法を減らしたいと考えている。

 なるべく電気エネルギーは使わないと思っているが、特に電気技術を否定しているわけではない。


 そこで、壁には電気コンセント型の小型発電機が設けられている。

 これは、摩導ベインから供給される物質を使って発電を行っているのだ。

 電池として使う化学物質により直流電圧を発生し、インバータ回路により家庭で使用するAC電源を提供している。

 発電所のような大きな電力の発生は出来ないが、家庭で用いる15アンペアくらいは作り出せるようになっている。


 これは、さっそくトイレのシャワー便座で活躍している。

 島民が増える前にシャワートイレの代替え摩導具の開発が急務となるかもしれない。


 今後、工場などでこの世界の技術で出来ている生産設備などで大きな電力が必要となる事も考えられる。

 その場合は、その施設ごとに大型のダイナモ設置を検討している。

 ダイナモは、タービンを摩導具で回転させるために、電気を得るために資源や酸素の消費は必要なく、環境を害する廃棄ガスはでない。


 とりあえず、摩導具で使える物であれば摩導具を使うと言う基本方針を貫くことにしている。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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